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偽・竹取物語
作:白山菊理



敢え無い!阿部のみむらじ!!(三)


 あれこれと出世と金儲けしか考えてないお爺さんに対し、かぐや姫は結婚したくないからどうにかしなければいけないという事ばかり考えていました。
かぐや姫はご存知の通り家庭に縛られるタイプではありませんし、結婚したら今皆が持っている自分の清純なイメージが崩れてしまうことを、彼女は自分自身でよく理解していました。
そこで、かぐや姫は右大臣安部のみむらじが持ってきた‘火鼠の皮衣’を実際に焼いてみようとお爺さんに提案しました。
お爺さんはそんなこともちろん反対でしたが

「だーいじょうぶだって。本物なら焼けないじゃん?それで偽物かどうか分かるんだから安いもんじゃーん」

と言うかぐや姫に押し切られてしまいました。
一応、お爺さんは右大臣安部のみむらじのところに「かぐや姫がこのように言ってますが…」と言いにいくと、右大臣安部のみむらじは

「この皮は唐の王慶さんにまで協力してもらい天竺から仕入れたものです。絶対に本物ですから、焼いちゃっても構いません。どうせ焼けないでしょうから。」

というので、実際に燃やしてみることにしました。
かぐや姫は右大臣安部のみむらじが自信満々なので本物だったらどうしようかとドキドキしていましたが、とりあえず自分の懐から護身用のジッポのライターを出して火をつけてみました。何故、護身用にライターなのか、何から身を護るかなどは謎ですが。

ともかく、火をつけた皮衣は普通に燃えてしまったのです。

「やっぱ偽物じゃーん。また騙されそうになるとか私どんだけー。そういう星の元にうまれたんかなー?」

結婚しなくて済むということから清々しい顔をしてそんなことを言うかぐや姫の横で、右大臣安部のみむらじは顔が草の葉の色になって座っています。
青ざめるの通り越して草の葉の色なんて重症です。
安部のみむらじを見て、ちょっと哀れに思ったのか、かぐや姫は箱に歌を入れて返しました。

『なごりなく燃ゆと知りせば皮衣思ひのほかにおきて見ましを(訳*うちに持ってくるくらいなら観賞してりゃーよかったのにー)』

ごもっともな意見を言われ、言い返す術もなく安部のみむらじはトボトボと帰っていきました。


この一件の後、世間の人はかぐや姫宅の人に「結婚するの?」とか「皮衣の噂は本当?」とか色々聞きまくったのですが「火鼠の皮衣は偽物で燃えちゃったから結婚しないよー」と言われたので、この一件のように、やり遂げられないものを「安部」にちなんで「あへなし」と言うようになったとかならないとか。












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