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  魔性の瞳 作者:冬泉
プロローグ
魔性の瞳-07◆「予感」
■ヴェルボボンク子爵館/庭園

「・・・知って、いた・・・?」

 そう・・・不思議なことだが、レムリアは真理査に切り出された話の内容を知っていた。何で知っていたのだろう・・・そう漠然と思うのだが、『知っていた』としか、自分でも言いようがなかった。そう、ただ『知っていた』のだ。

 真理査の説明は短く、端的だった。自分の前にある選択肢。言葉にして、思い返してみる。

「一つは、平凡だが平穏な人生をおくるみち。誰かと結婚し、子を為し、何時かは死ぬ。多くの人が歩む路。護られる路・・・」

「もう一つのみち。平凡でも平穏でもない路。自分を捨て、人のために尽くし、世を支える苦難の路。誰も歩きたがらない路。護るための路・・・」

 どの路がいいのだろうか? 常識で考えれば、疑問の余地はない。『楽』な路。『安心』できる路。『護られる』路。何の不満もない。何の不満を感じることがある? でも・・・本当に、それでいいのだろうか?

「護られること。そして、護ること・・・。
 明日を待ち望むこと。そして、昨日に思いを馳せること。
 想いを受け止める。
 想いを・・・伝える?」

 想いを・・・どうしたいのだろう。何も生み出さないのなら、何を想うのだろう。今は、まだ知らない。今は、まだ判らない。でも、判っていることがある。それは・・・

「昨日までの“想い”を忘れて、明日を生きることは出来ない。それだけは、確信がある。だから・・・護られる路は選べない。護られて、昨日を忘れることは出来ない。現在、過去、未来。全てが細い一本の線で繋がっている。繋がりを断ち切ってしまったら、それはもはや“私”とは言えない・・・」

 心は決まった。

「・・・『言葉を預かる者』となろう・・・」


 レムリア、“夢見”となる事を決意します。“夢見”は、真に自分の心の内奥と向き合うことが出来たもののみが到達する“境地”です。


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