■ヴェロンディ連合王国/王家の森(湖)
その一言を、聞かれたくはなかった。自分では尋ねておいて、何て不公平なのだろうとは思う──だが、レムリアは自分でも杳としてその答えが見つからないのだった。
「・・・あの・・・」
何か話さなければ──焦りが、更なる焦りを生み、際限ない悪循環に捕らわれる。
「・・・わたくし・・・」
何を言おう。どう、答えよう。迷う以前に、何を迷っているのかが判らない。このもやもやした感じは何? わたくしに、何を言わさせようとしているの?
聞いても、誰が答えるわけでもない。心の中の自問自答は、迷宮の中を堂々巡りするだけだった。しかし、黙ったままでいるわけにはいかなかった。相手は、自分の正直にその心情を吐露した──自分も、その想いに精一杯答えなければいけない。
「・・・あの・・・お気を悪くしないで、聞いて下さい・・・。わたくし、わたくし、は・・・」
何かが胸の奥から込み上げてきた。唇を強く噛むが、何の役にも立たない。目頭が熱い。どうして熱いの? 頬を伝わる滴は何?
──わたくし、なぜ泣いているのでしょう・・・
止まらなかった。後から後から、熱い涙が頬を濡らした。何でだろう。どうしてだろう。
──哀しくないのに、なぜ涙がながれるのしょうか・・・
「涙なんて・・・枯れ果てたと思っていたのに・・・。変・・・ですわよね、わたくし・・・」
レムリアはしどろもどろになっていた。相手は、自分の唐突な錯乱振りに呆れ果てているだろう。でも──涙は止まらない。
“知恵の塔”での試練の時以来初めて、レムリアは自分の心の制御を失っていた。あたかも幼い少女の様に、ただただ、涙を流すだけだった。
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