■ヴェロンディ連合王国/王家の森(湖)
『一つだけ、教えて下さい。何故、わたくしなのですか』
その彼女の言葉に、無意識のうちにフッと表情が緩み、私は軽く微笑む。
「覚えているかな? ついさきほど、この場所が好きな理由を聞いた私に、貴女はこう答えた。
『好きになるのに、理由は必要でしょうか?』
むろん、言葉にできる理由もあるし、それを知りたければ、いくらでもお教えしよう。だが・・・、けして、それだけではない、ということはわかってほしい。」
私は静かに言う。
「・・・それに、先に断っておくが、これは私の単なる思い込みに過ぎないのかもしれぬし、いくつかある“言葉にできる”理由のうち、私にとっては意味のある、一つの答えに過ぎないということも忘れないでほしい。
貴女なら、私のことをわかってくれるのではないか? わかろうとしてくれるのではないか・・・。そして・・・、私なら、貴女のことをわかってあげられるのではないか。いや・・・、貴女のことをわかりたい、理解したい、と・・・、そう思えた。・・・そして、もし互いに相手のことをわかり、相手を受け入れられるなら、良きパートナーになれるのではないか。そう思えた。
たぶん、それが今、私が貴女に一緒にいてほしい。一緒にいたい、と思う最大の理由なのだろう」
苦笑して、こう続ける。
「・・・理屈っぽい前置きのうえに、わかりにくい答えで、すまないな。だが・・・、今の私に言葉にできるのはこの程度のものだ」
そこで言葉を切り、もう一度彼女の深い瞳を正面から見つめる。
「ところで・・・、聞いてもいいか? 貴女は私のことをどう思っている?」
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