■ヴェロンディ連合王国/王家の森(湖)
「わたくしに、居て欲しい・・・」
レムリアは、思わず驚きに大きく目を見開いた。胸の動悸が止まらず、頬が熱い。
「・・・お、お戯れを、エリアドさま。わたくし、などとご冗談を仰らずとも、エリアドさまには、釣り合いのとれる姫君が数多もいらっしゃるでしょうに・・・」
漸くそう言いかけたものの、その語尾は小さく消えてしまう。
──あぁ、何を言っているのだろう・・・
考えが全く纏まらなかった。
手が白くなるほど握り合わせると、唇を噛んで下を向く。
だが、相変わらず相手の視線は、自分へと注がれているようだった。
「・・・」
大きく、息を継ぐ。
胸の動悸が、少しずつ収まってくる。
何時もの如く、自分の内面を見つめるように、静かに自分に言い聞かせる。
そうね──そんな筈が無いでしょう? 幻想を見ては駄目。幻想を抱いても駄目。あなたは──魔性の瞳、災厄を招く者、呪われし者なのだから──想いを断ち切るのは、簡単だから・・・。
──でも。
そう──でも。逡巡する心を、このままにしておきたくはない。誰にも話さず、一人で嘆く現状が好きなわけでもない。寂しくない──訳じゃない。
──でも・・・
意を決して、顔を上げる。相手の目を真っ向から見返すと。
「一つだけ、教えて下さい。何故、わたくしなのですか」
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