ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
  魔性の瞳 作者:冬泉
第二章「惑う夢」
魔性の瞳-62◆「湖泳」
■ヴェロンディ連合王国/王家の森(湖)

「エリアドさま! あなたもいらっしゃいませんか!」

 そう言うと、彼女レムリアは私に向かって手を振った。
 既に湖水の半ば位まで達しているが、かなり手慣れた泳ぎだった。

「・・・さて、どうしたものか。」

 私は湖を泳ぐ彼女レムリアの姿を眺めながら、しばし考える。
 湖水は思ったほど冷たくはなかった。いや、むしろ冬場にしては、不自然に暖かく感じられるほどだ。
 私自身けして泳ぐことが嫌いなわけではないが、さすがに彼女のような若い女性の前で裸になることに、躊躇いがないといえば嘘になる。

“・・・まぁ、服の替えはあるのだから濡れてしまってもかまわぬか”

 私は口の中で小さく呟くと、

「・・・せっかくのお誘いだ。おつきあいさせていただくとしよう。」

 彼女レムリアの言葉にそう応じ、背中のクロークと腰のポーチを外す。それからブーツと上着を脱いで脇に置き、上半身だけは裸になると湖に飛び込んだ。さすがに、ズボンは穿いたままである。
 先にいる彼女を追って、普通に話しても声が届くあたりまで一気に泳ぐと、そのあたりで空を見上げるように仰向けに浮かぶ。

「最初から泳ぐつもりなら、言ってくれれば用意してきたんだが・・・ね。
 ・・・だが。まぁ、たまにはこういう趣向も悪くない・・・。」

 私は冬場に珍しく晴れ渡った蒼い空を見上げながら、そんなことを呟いた。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。