■ヴェロンディ連合王国/王家の森(湖)
「エリアドさま! あなたもいらっしゃいませんか!」
そう言うと、彼女は私に向かって手を振った。
既に湖水の半ば位まで達しているが、かなり手慣れた泳ぎだった。
「・・・さて、どうしたものか。」
私は湖を泳ぐ彼女の姿を眺めながら、しばし考える。
湖水は思ったほど冷たくはなかった。いや、むしろ冬場にしては、不自然に暖かく感じられるほどだ。
私自身けして泳ぐことが嫌いなわけではないが、さすがに彼女のような若い女性の前で裸になることに、躊躇いがないといえば嘘になる。
“・・・まぁ、服の替えはあるのだから濡れてしまってもかまわぬか”
私は口の中で小さく呟くと、
「・・・せっかくのお誘いだ。おつきあいさせていただくとしよう。」
彼女の言葉にそう応じ、背中のクロークと腰のポーチを外す。それからブーツと上着を脱いで脇に置き、上半身だけは裸になると湖に飛び込んだ。さすがに、ズボンは穿いたままである。
先にいる彼女を追って、普通に話しても声が届くあたりまで一気に泳ぐと、そのあたりで空を見上げるように仰向けに浮かぶ。
「最初から泳ぐつもりなら、言ってくれれば用意してきたんだが・・・ね。
・・・だが。まぁ、たまにはこういう趣向も悪くない・・・。」
私は冬場に珍しく晴れ渡った蒼い空を見上げながら、そんなことを呟いた。
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