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  魔性の瞳 作者:冬泉
第二章「惑う夢」
魔性の瞳-52◆「外装」
■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/宮殿/レムリアの寝室→厩→正面玄関

 自分の寝室に戻ったレムリアは、ワードローブを開けて乗馬服を手に取った。白いブラウスの上に赤いベスト、脚にはピッタリフィットする乗馬ズボン。それに、非常に軽い黒のブーツを履く。目立たないようにと、灰色のフード付きマントを羽織れば、準備は完了だ。

 姿見の鏡の前で自分の装いを確認する。
 問題・・・は無くはない。
 フゥっとため息をつくと、レムリアはちょっと眉を上げて独りごちる。

「何を着ても、似合わない・・・」

 痩せすぎ、そして雰囲気が堅すぎ。それが、レムリア自身が下した評価だった。
 アンヌなどに言わせると、“とんでもない! レムリア様は何をお召しになっても、とっても似合うんです!”となるのだが、自分に自信がないレムリアには、アンヌの評価はとんと理解できないものだった。

「・・・乗馬するのだから、似合おうが似合うまいが、さしたる問題ではないわ。」

 逡巡しゅんじゅんする心を割り切って決めると、レムリアは手早く乗馬服を身に付けると厩に向かった。
 自分の馬、“風の囁き”には何時も自分で鞍を付けている。これは、この都に来て、“風の囁き”と巡り会ったときから続いていることわりだ。

「エリアド様の馬は・・・そうね、“月光”にしましょう」

 レムリアが“風の囁き”に鞍を付けている間、厩の侍従が“月光”の鞍を置いた。
 二頭の馬を伴って、レムリアが玄関に回ってみると、まだエリアドは来ていなかった。

「・・・」

 鳥の声に誘われて天を仰ぐと、雲間の切れ目から何処までも蒼い空が見え隠れしていた。


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