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  魔性の瞳 作者:冬泉
第二章「惑う夢」
魔性の瞳-49◆「風聞」
■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/宮殿/レムリアの居室

「・・・そうですわね・・・」

 ちょっと困り顔で逡巡すること暫し。やがて、アンヌは意を決したように口を開いた。

「摩訶不思議な魔法の剣をお持ちの、謎めいた剣士・・・これが一般的にムーンシャドウ様に対して流れている風評ですわ。それが正しいのか否かは、わたしの申し上げるべきことではないと思います。」

 表情を和らげて笑みを浮かべると、スカートの裾をちょっと持ち上げてお辞儀をする。

「お気に障りましたなら、お詫び申し上げます。」
「・・・いや、気に障ってなどおらぬゆえ、謝ってもらう必要はない。
 ・・・だが、さきほどレムリア殿にもお願いしたのだが、すまないが私のことは“エリアド”と呼んでもらえまいか。・・・“ムーンシャドウ(月影)”の家名で呼ばれるべきは、この国のために戦い、そして、行方知れずになった我が兄であるべきなのだ。」

 アンヌの答えに、エリアドは静かな声でそう続けた。

「・・・それにしても、“・・・摩訶不思議な魔法の剣を持った、謎めいた剣士・・・”か。
 ・・・それが本当なら、それはまた随分と好意的な評価だと言わねばなるまいな。」

 唇の端に、再び薄い微笑が浮かぶ。

「・・・まぁ、それはいい。では、“一般的に流れている風評”では、レムリア殿はどのように言われているのか、教えてもらってもかまわないかな?」

 アンヌの表情を見ながら、エリアドはそのように続けた。


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