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  魔性の瞳 作者:冬泉
第二章「惑う夢」
魔性の瞳-48◆「横顔」
■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/宮殿/レムリアの居室

「・・・承知した。・・・では、のちほど館の前で。」

 エリアドは、席を立って隣室に引き上げるレムリアを見送ると、食器を下げに来た侍女にゆっくりした口調で問いかけた。

「・・・侍女殿。少し聞きたいことがあるのだが、よろしいか?」
「はい、どのようなことでございましょう?」

 柔らかな返事とともに、薄い茶色の瞳が見返してくる。
 レムリア付きの侍女アンヌはコーランド出身だ。
 シェンドルの様な北国暮らしでも褪めない小麦色の肌、肩口までの栗色の髪が“南国人”らしかった。

「・・・手数をかけてすまぬな。」

 エリアドは侍女の顔をちらりと見ると、静かに言葉を続けた。

「・・・これでも、私はこのフリヨンディの生まれではあるのだが、国を離れている間に少々長い“時間とき”が過ぎてしまったらしい。・・・ゆえに、正直今のこの国のことはよくわからぬのだ。あるいは、これからする私の問いは、答えづらい質問であるかもしれぬ。もしあなたが答えたくなければ、無理に答えずとも一向に構わない。」

 真顔でそう言うと、そこで少しだけ間をとって、見ようによっては少々意地悪に見えるかもしれぬ薄い微笑を浮かべる。

「・・・が、その問いをする前に、一つ・・・いや、二つほど、聞かせてほしい。・・・あなたは、私のことをどの程度知っている? そして、あなたの目には、私はどのような人物に写っている?」


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