■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/宮殿/奥の部屋
「・・・同情ではない。私がいかに貴女を理解したいと望んでも、私は貴女自身ではありえないのだから、貴女と同じ想いなど抱けようはずもない。・・・本当の意味で同情など、できようはずもないのだ。」
私は感情を無理やり抑えた低い声で言った。
「・・・しかし、私はそれでもそう想わずにはいられなかった。ただ、それだけのことだ。・・・そのような私の想いが貴女を苦しめてしまったのなら、今はすまないと謝ることしかできないが・・・」
少し躊躇いながらこう続ける。
「・・・私は、光の下で貴女の仮面の笑顔を見るよりも、闇の中であっても貴女の本当の顔を見ていたい・・・。」
薄闇の中、少しだけ間を置いて、私は彼女の顔をもう一度じっと見つめる。
「・・・だが、貴女がそう望むのなら、今宵は引き取ろう。」
ゆっくりと扉へ向かう。
「もし貴女が望むなら、私は・・・」
・・・私に(彼女のために)何ができるのだろう。
それは、私がそれまでに感じたことのない“想い”であったことは間違いない。
☆ ☆ ☆
「・・・明日の朝。陽の光の元で、またお逢いしましょう・・・」
その囁くような声は、相手に聞こえたのだろうか。
ゆっくりと頭を下げると、レムリアは黙って相手が部屋を立ち去るのを見送った。
パタンと小さく音を立てて扉が閉まると、ほっと溜息を付く。
「闇の中の素顔・・・ですか・・・」
その言葉に他意が無いことを頭では理解していたが、それでも相手のの言葉が小さな棘のように、じくじくと心を苛んだ。
「わたくしは、わたくし以外の者になろうと思ってはならない・・・そう言うことなのでしょうか?」
その独り言を聞いた者は、誰もいなかった・・・。
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