■ヴェロンディ連合王国/王都シェンドル/王宮→庭園
「・・・それは、哀しい考え方だ。」
私は呟くようにくり返す。
だが、いったい何が彼女をそこまで追い詰めているのだろう・・・。
しばし薄闇に包まれた庭園をバルコニーから静かに見降ろす。
「ん?」
ふと、視界の片隅を白いものが過ぎる。
“そう言えば、彼女が着ていたドレスも白だったな”
やはり、気になっているのか。
自分自身に問い掛ける。
“まったく気にならぬと言えば、嘘になってしまうかもしれないな”
それが正直なところだ。
「あれは・・・」
そう・・・。それは、何者かに抱えられた白いドレス姿の女性だった。
“彼女なのか?”
一瞬、自分の目を疑う。しかし、その女性は間違いなく、彼女であるように思えた。
しかも、抱えられた彼女には、どうやら意識がないらしい。
いったい何があったというのだ?
まさか王都の祝宴で、このような光景を目にすることになろうとは・・・。
“仕方あるまい。行ってみるか”
逡巡は一瞬だった。
バルコニーから人影の向かう方向を見てとると、そのまま眼下の薄闇に身を投じる。
「・・・我が身よ。羽根の重さとなりて、大地に降りん。」
“羽毛降下”(Feather Fall)の呪文の助けを借りて、音もなく薄闇の庭園に降り立つ。
そして、私はその人影の後を追った。
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