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  魔性の瞳 作者:冬泉
第五章「闇の舞」
魔性の瞳-178◆「臨戦」
■ヴェロンディ連合王国/王都/大聖堂

 それは全く不意打ちの様だった。余りにも圧倒的な“氣”が爆発的に生じた。強大なその“氣”は、圧力を増しながら大聖堂に近づいてくる。

 程なく、その“氣”を発する者が顕れた。ゆっくりと、大聖堂の扉を目指し、恐怖を引き起こす三つの影が回廊の奥に顕れた。

 比較的小柄な黒衣の人物を、二つの巨大な黒衣が挟んでいる。徐に、その強大な影がそれぞれの得物を引き抜いた。それは、見るだけで恐怖を覚える長大な両手剣と、凶悪な両頭の大戦斧だった。

          ☆   ☆   ☆

 回廊の奥に現われた相手がドレッドロード、・・・いや、あるいはそれ以上に強大な“力”を持つ者かも知れぬ――そんな思いをエリアドは感じていたが、この者たちを相手に“阿修羅”を抜こうとは思わなかった。

 何故なら、さきほどの相手と異なり、この者たちはまだこの世の“ことわり”のうちにある存在だと感じていたからだ。“阿修羅”は、いかに強大な“力”の持ち主であろうとも、この世の“ことわり”の内にある者と戦う時に使うべき剣ではない。

 ──とはいえ、ドレッドロード以上に強大な“力”を持つ相手が三人ということになると、自分一人ではいささか分が悪いと言わざるを得ないことも事実だろう。いや、一人でさえ、まともに相手にできるかどうか。だが、それでも“阿修羅”を使う訳にはいかなかった。

 しかも、この時のエリアドには、後世手にする事になる漠羅爾バクラニの天雷の宝刀“雷電”も、地流の剛刀“震電”もなかった。彼らの“力”に対抗し得るかもしれぬ唯一の可能性は、“炎の鎧”と“双炎剣”のみであった。

「・・・エリアド・ムーンシャドウの名において、“正義”を為さんがため、我は“汝”を求める。・・・“双炎剣”よ、我がもとに。」

 巻き上がった真紅の炎とともに、二振りの細身の漠羅爾刀が手の中に現れる。

「・・・何者か?」

 強大な“気”を放ちながら近づく三人に、エリアドは静かにそう問うた。

 お待たせしました。魔性178話をお送りします。


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