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  魔性の瞳 作者:冬泉
第四章「怪の扉」
魔性の瞳-148◆「内通」
■ヴェロンディ連合王国/王都/回廊

「はいっ」

 エリアドに答える契那けいなの声は弾んでいた。レムリアも、嬉しそうに契那に微笑みかける。

「わたくしからも宜しくね。契那ちゃん」
「勿論です、姫さま!」

 レムリアに満面の笑顔を向けた契那は、一転難しい表情を浮かべると、エリアドに向き直った。

「都の結界は、そう簡単に撓められるようなものではありません。人為的に弱めることも、それには含まれます。結界自体を損なわない限り、結界の効果は持続されます。けれども・・・」

 眉根を寄せるて、契那は一つ溜息をついた。

「内通者がいれば別です。けれども、その内通者は内通する相手に、その心を開かねばなりません。もっとも、心を支配されてしまっては、城の内陣に入れません。従い、もしも内通者が手引きした場合は、よほど特殊な“契約”を交わしたのだと思います」
「・・・なるほど。・・・だが、そのような特殊な“契約”を交わした内通者がいれば、それは不可能ではないということ、か。
 しかし、もしそうだとすると、内通者か、あるいは、その者が“契約”を交わした相手の、少なくともどちらか一方は、そうした特殊な“契約”を結ぼうと考えつくだけの智恵と、そのために必要な知識を持っている、ということになるな」

 しばし思考すると、エリアドは契那の言葉にそう応じた。

「・・・そのような内通者を見分ける方法は、あるのかな?」

 直感的に言ってしまうことができれば、すでに、それが誰の仕業なのか、エリアドはまったく推測していなかった訳ではない。だが、それを正しいと証明することができなければ、それは単なる言いがかり以上のものではなかった。

「・・・そうだな。たとえば、何か“契約のあかし”だと言えるようなものがあれば、その者の裏切りを証明できることになるはずだが・・・」

 [20.11.09]文章修正。


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