勝負0「プロローグ」
いじめ
集団の中で疎外された者にする仕打ち。
それは罪であるはずなのに、
だれも、罰を与えない。
『間違ってるよな?理不尽だよな?』
あいつは、その言葉を俺に残した。
三上裕は死んだ。
俺に、手紙を残して。
あいつは、いじめにあっていた。
いじめにあっている奴を助けて。
いいことしたのに、現実はこれか?
俺が唯一できたのは、裕の友であることだけ。
あいつと話して、笑って、一緒にいて。
でも、あいつは、逝ってしまった。
中学時代、不良生徒としてみられ、結局、良い高校なんか進めず悪い高校へ、
明るい未来なんぞ望めない道をたどるのに、三城晶は微塵も悲観していない。
所詮極道一家の三男、家は長男が継ぎ、次男がサポート、三男はいてくれれば良い存在。
必要とされない存在だが、いなくてはいけない。
よく分からない矛盾のさなか、晶には親友がいた。
もう、今は亡き存在ではあるが・・・・。
別に不良とはいえ、触法行為は一切してない。
窃盗どころか万引き、喧嘩も起こしていない。
無断欠席と授業態度が悪いだけ、そんなものだ。
ただ少し長身であるのと、武道をしていた。
本気で喧嘩すれば、相手を殺しかねない。
それは体の中の血で分かる。
自分の力の恐ろしさは・・・・。
都内で有名な低レベル高校、「白河高等学校」
中学時代、まともに勉学を行わなかった生徒を無理にでも勉強させる国立高校である。
日々心配されるフリーター、ニートの増加を防ぐのが目的のようだが、
実現など出来ているのかどうか、
ただいじめる者といじめられる者を終結させ、更なるいじめられる環境を造っているだけだ
それが現実だ。
そんな高校へ晶は入学した。
と言っても、入学式は行かず、既に三週間の時が過ぎても晶は高校へ行く気がしなかった。
只単、入学した意識がなかっただけである、
だが、今日は違った。
いつも通りの平凡な日の午後、
朝から趣味の書初めをしていた晶は午後は庭で剣道をすることにした。
極道であれ、和を知り道を極めよ、父の口癖であり、この組の訓である。
暇を弄ぶ晶にとっては充実した時間でもあった。
竹刀を握る、姿勢を正し振り上げる。
真っ直ぐに振る下ろすがその時腕は相手の面を狙う如く伸ばす。
足は常に右足が前、軽くかかとを上げ常に動ける姿勢を、
精神を集中させ気合を放つ。
ふと視線を感じた。
即座に振り返ると、誰かが塀を越えて覗き込んでいる。
黒髪の短髪、一見男に見える、だが大人しそうな幼い感じのする少年だ。
どうやら気づかれたと感じたようだ、
慌てていると塀の向こうに倒れていった。
落ちた音とともに悲鳴が聞こえる。
「さ、佐東純です」
先程の少年は白河高校の生徒、つまり晶の同級生。
「なんのようだよ」
晶は門の前で用件を聞く。
「三城君三週間も学校来てないから、その、お知らせの紙とかを届けに」
「あぁ、もう学校始まってるのか」
拍子抜けのする返答。
「え、自覚してなかった?」
「どうせ行く意味もないような学校だろ」
「うん・・・・そうだね」
暗くなる純、変だと思った晶はふと脳裏に裕の姿が見えた。
どことなく似ている姿に晶はドキッとした。
「お前、いじめられてるのか?」
ふと出た言葉に、純は体を振るわせた。
「な、なに言ってるんですか、じゃあ、渡しましたからね!」
そう言って、純は走り去った。
晶の心の中で、ある思いが生まれた。
裕が言った、『間違ってる』『いじめ』『罰』
誰かが苦しんでいる、それに間違いなどない。
「守るべきなんだろな、あいつを、だろ?裕・・・」
無意味な生活ではなく、不必要な存在の撤回のために、
俺には、すべき事がある。 |