ヴァンパイアハンター日誌 金髪のヴァンパイア(7/36)PDFで表示縦書き表示RDF


前回の続きのパートです。
ヴァンパイアハンター日誌 金髪のヴァンパイア
作:金城 ユウ



連続事件


 ホテルを出てすぐに佐藤さんの携帯が鳴った。また殺人事件だそうだ。死因は失血死。何者かに血液を吸われた可能性が大。
「同一犯とは考えられませんかね?」
 う〜ん、普段ならこんな事は考えられないのだけど…… ひとり人を襲えば通常1ヶ月は人を襲わないでも大丈夫なはずだ。
 それに、吸血鬼は意外とハンターを怖がる。個々では能力的に劣る人間も事件が大きくなると複数のハンターを投入する。ようは質を数で埋めてしまうのだ。
 そしてヴァンパイアハンターは、主人クラスのヴァンパイアでも単騎で倒してしまうほどの技量うでを持っている。
「結論は急がない方がいいでしょう。とりあえず現場に行きましょう」



 現場のラブホテルには警官や鑑識の人はいたが、ハンターはまだ来てない様だ。
「お嬢さん駄目だよ。関係者以外立入禁止だ」
 現場に立ち入ろうとした私に警官の声が飛んだ。いつもの事なのだが…… 田坂さんと佐藤さんが笑っている。そこ笑うな!
「巡査、彼女はハンターだ。見かけで判断しない方がいいぞ。秋穂さんもハンター証を見やすいところにつけてくれ」
 私は、ハンター証を左胸につけた。田坂さんが名前で飛んでくれたが、気を使ってくれたのだろうなと思う。この依頼を果たしてくれた時にはちゃんと名前で呼ばせて見せると密かに誓った。
 部屋に入るとベッドの上に中年男性が横たわっていた。首筋に牙の跡。だが血液の後はまったく無い。これは被害者の命や吸血鬼化させる事を考慮しなかった時の特徴だ。吸血鬼化させるときはある程度の血液が残っていないといけない。つまりこの死体は吸血鬼やゾンビ化することはない。
「佐藤さん。ちょっといいですか?」
 佐藤さんが近づいてきた所で、私はひじの内側を佐藤さんの鼻に近づけた。本来は現場に香水をつけてくるべきではないのだけど、先刻のゾンビとの戦闘で鼻が曲がる思いをした私は、愛用の香水をほんの少しだけひじの内側につけていた。
「私がつけているのとは違う甘い残り香…… わかりますか?」
 佐藤さんを、死体の前に押し出す。
「あ、はい。なんとなくですが、わかります」
 佐藤さんは頷いた。
「香水というのは同じ物でも、つける人やつける場所で、香りのたち方が変わるのですがおそらく同一犯ですね。香りの印象が先ほどの現場と全く同じですもの」
「しかしよくわかりますね。最初の部屋が犯行後最低6時間。この部屋でも一緒に入った女性が部屋を出て1時間は経っていますよ」
「昔から鼻はいいのよ。料理の中の材料や調味料がわかるくらいにね」
 私は現場に呼ばれた監察医と供に死体を詳しく調べてみたが、手がかりになるようなものは見つからなかった。典型的な吸血鬼による犠牲者だ。後は検死待ちだけど、有用な情報は得られそうもない。
 この人に家族は、いないのだろうか? 奥さんは? 子供は? こんな所で死んだと聞かされた家族はどう思うだろう。
 うーん。犠牲者の姿を見たのは初めてというわけではないが、考えなくても良いことを考えてしまう。ハンターの師匠からは「捜査中は余計なことは考えないで」と何度も言われたものだが、こればっかりは直らない癖だ。
「おーい、秋穂。田坂さんが、他のハンターを紹介してくれるそうだ」
 部屋の外からレイの声が聞こえた。
「わかった。今、行く」
 私は返事を返して部屋の外に出た。


お付き合いありがとうございました。

次回、物語にとってではなく、秋穂にとって重要な人が登場します。
ではではまた来週。

追伸。
できましたら感想をください。アクセス数は伸びているのですが、何の反応もないと心が折れそうになります。モチベーションって大切だなぁと実感しますね。











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