ヴァンパイアハンター日誌 金髪のヴァンパイア(23/36)PDFで表示縦書き表示RDF


ヴァンパイアハンター日誌 金髪のヴァンパイア
作:金城 ユウ



黒い影



「美月ごめん。先に行くね」
 シャワー室で汗を流していると、桜が声をかけてきた。
「どうしたの?」
「見たいテレビがあるんだけど、録画予約忘れちゃった。それじゃーね」
 桜はバタバタと出て行った。
 見たいテレビねぇ。あ、桜が好きなアイドルグループがトーク番組のゲストとか言っていたわね。確か、あと10分かそこらしかないけど、間に合うのかしら。



「レイ君、毎日迎えにこなくてもいいよ。レイ君も何か目的があって旅をしているんでしょ?」
「まあ、別に急いでいるわけでなし、ゆっくりでいいさ。美月達が迷惑なら考えるけど」
 チラッと美月のほうを見たレイに、美月は慌てて首を振る。
「そんな事無いわよ。ほら、お母さんが死んでからは、お父さんと二人暮しだったから、家族が増えたようで楽しい」
「そう言ってくれると助かる。ん?」
 路上にカバンが転がっている。レイが拾い上げる。かばんには見慣れたマスコット人形がぶら下がっていた。
「これ、桜の」
 吸血鬼…… 最近頻発している。吸血事件が頭に浮ぶ。でも、人通りが少ないとはいえ、まだ明るいこんな住宅街の中で……
「桜! いるの? 返事して!!」
 20メートルほど先の十字路まで走る。正面と右には居ない。左、居た!
 薄暗い街頭に浮ぶ。美月のほうに手を伸ばしている制服姿の少女と、その少女に絡みつく黒い影。
「桜!」
 美月が叫ぶと同時にレイが黒い影に飛び掛るが、一瞬にして黒い影は掻き消えた。美月には影が消える瞬間、ニィと笑ったような気がした。
 レイが倒れる桜を抱きとめる。
「レイ君」
「吸血されているが、まだ息がある。急いで病院に運ばないと」
「うん、お父さんの勤めている病院が近いから。救急車呼ぶより直接行った方が早いわ」
 私はお父さんの携帯電話に連絡を入れた。



 私とレイは、処置室前の待合室に並んで座っていた。お父さんは処置室からまだ出てこない。警察への通報と桜の家族への連絡は、顔見知りの看護士さんがしてくれた。
 廊下に足音が響いた。やってきたのは、桜の両親だ。
「美月ちゃん。桜は?」
「今、中です。おばさん、ごめんなさい。待たせてでも一緒に帰っていれば……」
「いや、君らが見つけてくれなければ危なかった。あまり自分を責めないで」
 桜のおじさんはそう言ってくれたが、そうわりきれる訳ではない。その時、処置室の扉が開いてお父さんが出てきた。
「お父さん?」
「先生!」
「もう大丈夫ですよ。後は、体力が回復するまで入院してもらいます」
「先生、ありがとうございました」
 桜の両親はお父さんの手を握って喜んでいる。本当に良かった。私は安堵から長椅子に座り込んでしまった。よかった、本当によかった。涙が溢れた。
「美月、良かったな」
 レイが微笑んで言ってくれた。
「レイ君、ありがとう。私一人だったら桜を運べなかった」
「お喜びのところ、よろしいかしら?」
 後ろから声をかけられた。振り向くと、いつの間にきたのか金髪に蒼い瞳の女性が立っていた。ダークスーツの上からでも、出ているところは出ていてしまる所はしまっているのが判る。ボン、キュッ、ボンッて、感じだ。男の人ってこういう方が好きなんだろうなと思う。
「警察のカミラ=東條です。事件の目撃者はあなた達? 話を聞きたいのだけどいいかしら?」
 微笑む女性。何故か、彼女の笑みをどこかで見たような気がした。


展開的にはバレバレなんですが(笑

美月編が後2回ぐらいかな。











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