ヴァンパイアハンター日誌 金髪のヴァンパイア(18/36)PDFで表示縦書き表示RDF


ヴァンパイアハンター日誌 金髪のヴァンパイア
作:金城 ユウ



月島 舞奈



「ふん、人間の割にはよくやった方だな」
 黒衣の男が数メートル前にたたずんでいた。私は廃墟の壁にもたれかかり、男、いや、ヴァンパイアを無言で睨みつけた。はっきり言ってしんどい。あの娘、よく1人でヴァンパイアを退治したものだ。アシスタント達ともはぐれてしまったのは思いのほか痛かった。
「ほう、いい目をする。我が花嫁にしてやろうか?」
 冗談じゃない。
 ヴァンパイアが少しずつ歩みを進める。あと、2メートルまで来た時、私は右手に持ったワイヤーを思い切り引いた。
「ぐぉぉぉ、おのれ、人間ごときが!」
 目の前でヴァンパイアが極細のワイヤーに娶られている。
「人間を舐めるな。クソヴァンパイア」
 さらにワイヤーを引く。目の前で断末魔の悲鳴を上げてヴァンパイアが細切れになる。
「早く、皆と合流しないと……」
 足から力が抜けた。視線が低い、バラバラになったヴァンパイアの残骸と同じ高さだ。私の意識はそのまま闇に飲み込まれた。



 バラバラにされた肉塊が、グチョグチョと蠢くと人型を成した。
「このクソアマ、カミラ様の血をもらって無ければ、消滅する所だったぞ。殺す前に、生きている事を後悔するまで、犯しぬいてくれる」
 女の腕を掴もうとした時、胸に灼熱感が走った。胸から血に塗れた銀色の切っ先が生えている。消滅する前にヴァンパイアが見たモノは金色に光る双眸だった。



「月島さん、大丈夫?」
 俺は目を覚ましかけた、舞奈さんの頬を軽く叩きながら声をかけた。
「あ、貴方は? 確か、秋穂の所の…」
「秋穂の助手をしているレイ=ブラッド」
「ヴァ、ヴァンパイアは?」
 まだ力ない声で、舞奈は聞く。
「月島さんの横で灰になっていたよ。灰は回収しておいたから、少し休んで秋穂達と合流しましょう」
「あなた1人なの? 今、秋穂達は?」
「本部の近くで、月島さんといた警官達と合流したよ」
「早く、合流しないと、あの娘に負担がかかりすぎる」
 まだ、力の入らないはず身体を起こすと、舞奈にかけられていたレイの上着が落ち、白い肌があらわになる。
 レイは舞奈から視線を外した。
「すいません。脱がさないと止血できなかったものですから」
「謝らなくてもいいわよ。ちょっとだけ、そのまま向こうを向いていて」
 衣擦れの音だけが静寂に響く。
「もう、いいわよ。ごめん、上着、血で汚れちゃった。帰ったら弁償する」
「いいですよ。気にしなくても」
「駄目よ。お姉さんの言う事は聞きなさい。レイ君に似合いそうなのコーディネートしてあげる。秋穂も一緒にショッピングよ」
「はいはい。分かりました」
 早い話が、荷物持ちじゃないか…… レイは、投げやり気味に返事した。


秋穂の師匠月島舞奈さんの登場です。
ピンチです。
それにしても、レイは何をやっているのだか。あちらこちらフラフラとしてからに(笑

次回からある意味新展開です。ではまた水曜日に。











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