ヴァンパイアハンター日誌 金髪のヴァンパイア(17/36)PDFで表示縦書き表示RDF


ヴァンパイアハンター日誌 金髪のヴァンパイア
作:金城 ユウ



選択肢



「ほら、水だ」
 田坂さんが放り投げた500mlのペットボトルを受け取った。まだ冷たい。
「どうだった? って、その顔を見ればわかるわな……」
「ええ、上から命令が出たそうよ。6:00まで扉は開かない」
 ペットボトルの水を直接飲む。体中に染み渡る感覚がたまらない。水がこんなに美味しいと思ったのは久しぶりだ。
「そうか」
 ちょっと空気が重い。私は少し明るめに言ってみた。
「大ピン〜チ、よね」
「大ピンチって秋穂さん、他人事みたいに」
 佐藤さんの言葉を聞きながら、私は倒れていたパイプイスを立てて座った。
「ここで質問。この後どのように行動しましょうか?」
 私は選択肢を上げていく。

 A、この場に留まり夜が明けるのを待つ。

「ただし、ここも安全でないのは見ての通り。」

 B、はぐれた人達と合流を目指す。

「合流できたらいいけど、出来なかったら最悪よね。薮蛇にもなりかねない。」

C、当初の予定どおり、容疑者を追う。

「でも戦力的には不安よね。しかも相手の正体が私が考えているとおりなら、返り討ちにあうのがオチね」

「そのあたりを踏まえて皆さんの意見を聞きたいのだけど?」
「ところで、秋穂さんはどれが良いと思います?」
 佐藤さん…… 聞いているのは、私なんですけど……
「俺達も、あんたの意見を聞きたいな」
 と、舞奈さんと行動していた捜査員からもありがたい言葉をもらった。
 それで意見を聞いたら、それにしようというつもりですか? 日本人らしいけど…… 本当に日本人らしいけど……
 今の日本人って、ほとんどの人が外国人の血が入っているはずだけど、こういう所ってかわらないのよねぇ。
 助けを求めるように田坂さんを見たが、なにやら考え込んでいる。
 ……駄目だ。私自身はBが良いと思うけど、さて……
「ええっと、私は皆との合流を目指す方が良いと思います。私1人ならここで夜が明けるのを待っても、いいのですけど……」
「……」
「……」
「……」
「……」
 ちょっと、何か言ってよ。私、何か悪いこと言った? 
「お嬢ちゃん、合流する人の当てはあるのか?」
 田坂さんが沈黙を破った。しかし、いつまで人の事を「お嬢ちゃん」と呼ぶつもりなのかしら……
「舞奈、いえ月島さんを探そうかと思っています。無事であればここに向かっているはずですし、負傷していても最後に別れた場所の近くにいると思います」
「それじゃ、行こうか」
 ちょっ、ちょっと、田坂さんまで、自分の命が掛かっているのよ。そんなのでいいの?
「どうかしたのか?お嬢ちゃん」
 田坂さんが私の表情に気が付いたらしい。
「お前ら、他に意見あるか?」
 残った3人に聞く。だが、あろう事か3人とも首を横に振った。
 パニックになるよりはいいかもしれないけどさ…… つ、疲れた。体中から力が抜けていく。この人達、生存本能あるのかしら? 誰か助けて……
 私は心の中で頭を抱えた。


今回もなにやら困っている秋穂でした。

今回もあまり動きがありませんでした。
次回は秋穂の師匠である月島舞奈さんのシーンをお送りします。
すっかり影の薄いレイ君も登場予定です(笑

ではまた水曜日に。











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