表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/61

久しぶりにフランと手合わせする事にしました

「あ~今日もいい天気だな、フラン」

「そうね、お兄ちゃん!」


 あれからライア君やジャグナル君たちが毎日遊びに来ているけど、今日だけは断って、今日は久しぶりにフランと魔法の特訓をするために、いつもの場所に行く事にした。

 フランとは気まずい関係が続いていたけど、この前の話でフランとの関係は表面上は昔みたいに戻った。

 表面上というのはフランの対応がだ。


 あの話の後、フランは打って変って俺の彼女、リノアの事を聞いてくるようになった。


 『どんな子? かわいいタイプ? キレイなタイプ?』『魔法はどれくらい出来るの?』『身長は? 胸の大きさは?』とかいろいろ聞かれて困ったけど、俺はフランの迫力に押され、答えられる範囲で答えた。


 するとフランはその答えに、『うっ、でも見てみるまで分からないわ』『これは私の方が上ね』『私だってまだこれから成長期……』とかぶつぶつと呟いていた。

 俺はその様子を見ながらリノアをフランに会わせるのが怖くなったのは言うまでもない。

 でもいずれは顔を合わせるだろうしどうだろう……新たな悩みだ。


 とまぁそんな感じでフランはリノアに対抗意識こそ燃やせど、表面上は前のように戻っていた。

 俺の知りえない心の中では何を考えているのか分からないが……。


「ん? どうしたの、お兄ちゃん?」

「い、いやなんでもない! ほら、早く行こう!」


 フランの横顔を見て考えていた俺は、フランに心を見透かされないように先を急いだ。


――――


「おい、こっちだ!」

「くそ! 負けてたまるものか!」


 いつもの特訓場所へと行くと何やら声が聞こえてくる。この声は……。


「おう! ライト!」

「なんでジャグナル君たちがここに!?」


 声が聞こえてくる方を確認すると、そこには子供やフランと同じ年くらいの男の子相手に模擬戦をしているジャグナル君たちがいた。

 フランはモロに引いていたが、「なんでここに……ちょっと意外だけど」と言葉を漏らす。

 意外ってのは子供と遊んで……いや、特訓をつけているんだろう光景が意外だったのだろう。

 普通に見たらジャグナル君たちが子供と一緒にいる光景なんて想像がつかない。下手すれば衛兵に通報されるレベルだ。


「いや、悪いとは思ったんだけどね。ジャグナル君が『ライトなしでも特訓しようぜ』って言うし、そしたらドーラ君も乗り気でさ。二人でほっとくのは危険だと思って僕とバルテル君も来たんだよ」


 すると、ライア君の後ろにいたバルテル君が、「ライト、スマン」と言葉を発する。

 確かにジャグナル君とドーラ君を二人でほっとくのは危険だけど……。

 ドーラ君なんて俺が来た事に気付かずに子供たちに、「そんなんじゃだめだ! もっと動きシャープに! そして相手の裏を取れ!」とか言って子供たちの相手をしている。

……将来鬼教官だな。


「なんで急にジャグナル君が?」

「それはそれは言わなくても分かるでしょ?」


 そう言って視線を動かすライア君の視線の先を追うと、フランに全力で引かれ、雷魔法を喰らったジャグナル君の姿が目に入る。いったい何をしたんだ……。


「イテテ、さすがフランちゃん……ライトの妹だけあるぜ」


 そう言ってジャグナル君が俺の元にやってくる。

 ふと、フランを探すと少し離れたところで警戒しながらこっちを見ている。

 いやいや、いったい何したの? 何言ったの?

 


「……ジャグナル君、フランに何かした?」


 もしジャグナル君がフランに何かしたとしたら、兄としてジャグナル君に言わなければならない。


「いや、あいさつしただけだけど?」

「あいさつ……?」

「あぁ、普通に『こんにちは』ってな」


 ……うん、どうやらちゃんと話をしないといけないのはジャグナル君じゃなくてフランの方のようだ。

 おそらく、警戒して魔法を放ったんだろうけど、あいさつしただけの人間に魔法を放つなんて危なすぎる。


 俺がフランに代わって兄としてジャグナル君に、「ごめん」って謝ると、ジャグナル君は「いいって事よ! フランちゃんは可愛いから言い寄ってくる男が多いから警戒してるんだろ! 可愛そうに。なんなら俺が守ってやってもいいのにな」って言っていた。


 とりあえずジャグナル君の言葉には突っ込みどころがあったけど、言うと本人が可愛そうだから言わないでいた。

 

 すると、ライア君が、「いや、ジャグナル君が近くにいたら余計にフランちゃんは警戒するし、ジャグナル君に魔法を放ってくると思うよ」ってどストレートに指摘した。

 でも、ジャグナル君はジャグナル君で、「いや、そんなことないだろ、きっと照れているだけだ」と言って笑っていた。

 さすがのライア君もこれには苦笑いで首を左右に振って呆れていた。

 あのライア君を呆れさせるとは……。

 

 それにしても、これだけ露骨にフランに避けられているのに、ここまでプラス思考とは……恋は盲目っていうけど。

 いや、意味が違うか。


 でも、ジャグナル君……なんてプラス思考なんだ……。


 俺は笑っているジャグナル君を見て、ライア君と同様に呆れていた。

 


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ