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事情を説明しました

「――……と言う訳なんだ」


 俺はとりあえず、フランに学校でどういう事があってどういう友達かっていうのを説明した。

 俺はフランに、戦士学校で出来た友達はヤンキーみたいな感じって話はしていたけど、どんな経緯で友達になったか話していないからだ。このあたりをちゃんと説明しておかないと、後で俺がグレたみたいにとられかねない。

 ……って思ったけど、説明しながら逆効果な気もしてきた。

 説明ながら思ったけど、よく友達になったなと思う。


 ジャグナル君との出会いは、途中入学で入った教室で初っ端から絡まれて、初日から実技の授業という名のケンカだし、バルテル君とはクラスの番長対決だし、ドーラ君とは一年生のトップをかけた戦いが出会いだった。

 思えばケンカして仲良くなるっていうリアルではあまりないパターンの友達が三人……まるで何かの漫画のようだ。


 ライア君に至っては、出会いはまともだったけど、アッチ系疑惑の為、しばらくは警戒してたし。……って疑惑は晴れたよな?


 というか、改めて考えて見るともの凄く濃いよな……。


 とまぁ、今までの話をした訳だけど、フランは俺から距離を取っているのか、ジャグナル君から距離を取っているのか分からないけど、少し離れた位置で話を聞いている。

 それにしてもジャグナル君の不自然な笑顔……少しきもい……。


「それでお兄ちゃんに会いに来たって訳?」

「そうみたい」


 今日までろくに口をきいてなかったけど、これはよさげな感じだ。

 なんとなく自然に会話が出来ている。

 ジャグナル君にいろいろ言ったけど、少しは感謝しないといけないかもな。


「いえ、自分はフランちゃんに会いに来ました」


 ジャグナル君は決め顔でフランに言う。

 肝心のフランはかなり顔を引きつって「そ、そう。私は用はないわ」と言っている。

 我が妹ながら容赦ないものだ。

 

 それにしてもジャグナル君……キャラ変わったね。

 ライア君なんかもう笑い堪えきれず笑っちゃっるし、ドーラ君は我関せずで「早く特訓しようぜ」って言っているし、そこへすかさずバルテル君が「ドーラ、空気、読む」って言っている。

 なんだかいろいろ悩んでいたけど、なんかどっかに飛んで行っちゃったかも。


「とりあえず私は帰るから!! ……お兄ちゃん、夜ちょっと話がある」


 フランはそう言って走って帰って行った。

 話か……。

 いや、話が出来る機会が出来ただけよかったとしよう。


「フランちゃん……」

「残念だったね、ジャグナル君」

「何を言ってるんだライア! さっきライトに言ってただろ? 話があるって。きっと話っていうのは俺の事を好きに――」

「大丈夫、それはないから。ねぇライト君?」

「……うん」


 さっきまでのシリアスだった俺は何なのだろうか?

 良く分からないうちに、みんなのペースに飲み込まれてしまっている。

 それにしても、ジャグナル君はポジティブシンキングだな。今もライア君にばっさり切られたのに、「いや、きっとそうだ! ライト! もし、そんな話だったら夜中でもすぐに言いに来いよ!」って言ってるし。

 また、それをばっさりとライア君が、「だから、それは絶対あり得ないって。命かけてもいいよ」って完全に否定している。

 ライア君は相変わらずライア君だな。


「それより早く特訓しようぜ!」

「ドーラ、それ、ばっか」


 いつの間に特訓する事になっていたのか分からないけど、今帰ってもフランとは喋れないだろうし、身体でも動かしている方がいいな。


「よし、久しぶりに模擬戦しようか!」

「おう、そうこなくっちゃな!」

「よし、フランちゃんの為にもっと強く……」


 ライア君とバルテル君は、やれやれって感じだけど異論はなさそうだ。

 俺は、昔フランと特訓してた場所へみんなを連れて行った。


―――


「ふぅ~久しぶりにいい運動だったな」


 俺はみんなとの特訓の後、帰路へ着く。

 久しぶりに、体をしっかり動かした事で気分も爽快だ。


「でも、俺にはこれから一番の試練が待っている」


 誰に言うでもなく、家の玄関の前でひとり呟く俺。

 こうでもして気合を入れないと、なんだか落ち着かないのだ。

 でも、ここで立ち止まっていちゃ何も解決しない! 行くんだ俺!!


「ただいま!!」


 俺は気合を入れて玄関を開けた。


―――


 気合いを入れて家に入ったけど、家に帰ってからフランは今までみたいに避ける訳でもなく、かと言って前みたいに甘えてくる事もなく、なんとも言えない感じだった。

 そして、食事も終え、風呂も終えて俺は今自分の部屋で待機している。

 あの気合はなんだったのか……。


 そして俺は、自分からフランのところへ行ったほうがいいのか、フランが訪れてくるのを待っている方がいいのか……と迷っている。

 俺は、すっかり判断できない男になってしまっているようだ。

 どうしよう……?


『コンコン』


 すると、俺の部屋のドアをノックする音がする。

 フランから来たか……よし。


「どうぞ」


 内心では落ち着かないけど、出来る限り落ち着いた感じで俺はノックに答える。

 さて、どんな展開になるか……。


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