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Mystic Lady ~復活編~  作者: DIVER_RYU
第二章『キャプテン琉のカレッタ号案内』
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『キャプテン琉のカレッタ号案内』 その4

整備の間、食料調達の手段としてロッサに釣りを教えることにした琉だが……?

 琉の見たモノ。それは、近付いてきた魚のうち一番大きな個体の頭に、ロッサの指が伸びて突き刺さっていたのだ。彼女は魚を刺した指を縮めて魚を引き上げた。


「この方が、早い」


 彼女の腕は二の腕からまるで手袋のように赤黒く変色しており、その長い指は鉤爪のように鋭く尖っている。魚は急所を突かれており、ほぼ即死していた。


「あ……。と、とりあえず鰓を切って血抜きしといてもらえるかな? そうそうそう、その爪を鰓の中に入れて……うん、切ったらそこのバケツに頭を下にして突っ込んでおくんだ。…じゃあ、この調子であと3匹くらい、大きいのをお願いできるかな? 俺は船の整備して来るから。じゃあ、よろしく!」


 それだけ言うと、琉は足早にエンジンルームに向かった。


「はぁ、はぁ、はぁ……。な、何なんだあれはーーーーッ!?」


 琉は自分の二の腕に手を置くと指先までなぞり、そのまま自分の指先を見ながら言った。


「あ、あの手は人の手じゃない……。一体何が起こっているんだ、俺は一体何を発掘したんだ? 大体彼女は何者なんだ!?」


 琉は自分の胸に手を当てた。これほどまでにないほど脈が速くなっている。


「落ち着け、落ち着くんだ俺……。そうだ、俺は何をしに来たんだ? 船の整備だ、エンジンの点検だ。とりあえず、様子を見ないとな……」


 一方、後部甲板では。


「やった、二匹目!」


 ロッサは嬉々として魚を仕留めていた。二匹目の魚もやはり頭に突き刺さり、二、三度痙攣すると動かなくなった。彼女は魚の鰓に指先を入れて切り裂くと、バケツに頭を下にして入れた。そして再び海の中に狙いを定める。そんな彼女を、物影から見つめる者がいた。


「あ、あれは……! いかん、すぐに知らせないと!!」


 その者はそれだけ早口に言うと、すぐさま何処かへ走って行った。


「ふぅ、整備終わりだ。まぁ、帰還が予想外に早くなったせいかな。異常はなしか。そうだ、魚は釣れたかな?」 


 琉は船の整備を終えると後部甲板に様子を見に行った。


「まぁ、あんなのは何かの見間違いだろうな」


 そう言いつつ、琉は後部甲板に向かった。だが、その時だった。


「きゃあっ、何!? 誰!? 痛い、痛い! 放してよぉ!!」


「む、ロッサ!? 何があった!!」


 琉は後部甲板に向かって走った。


 バタン!!


「ロッサ! 何があった!?」


 甲板には、フードを深く被った男が二人でロッサを押さえつけていた。


「来い! 抵抗したら命はないぞ!」


「人の姿をした悪魔め、大人しく裁きを受けよ!」


 琉は予想外の事態に驚いた。しかし驚いてばかりもいられない。


「何なんだ、あいつらは? とにかく助けないとな……。パルトネール・シューター!」


 琉は腰に差したパルトネールを出し、更に懐から引き金の付いたモノを取り出すとパルトネールに取り付けた。するとパルトネールはロングバレルのマグナムを思わせる形の光線銃へと姿を変えた。


「パルトパラライザー!」


 先端からオレンジ色の閃光が走る。


「うっ!?」


 男が一人倒れこんだ。


「何だお前は!? 我々の邪魔をするというのか!!」


「琉! 助けて!!」


 不意討ちに合い、相手の男は驚いている。


「……お前さん、他人ひとの船に勝手に上がりこんじゃいけませんって、昔母さんか父さんに言われなかったのか?」


 琉は、ロッサを押さえつけている男に言い放った。


「これは重大なことだ! お前は悪魔を匿うというのか? 神に逆らい、悪魔に魂を売り渡そうっていうのか!?」


「神? 何だお前さん宗教関係の人ですか、だったらお断りだ。見逃してやるからロッサを置いてさっさと行け」


 琉の一言に、相手は逆上した。


「貴様! 神に代わって天罰を下してくれる!!」


 相手はロッサを突き離した。そして懐からナイフを取り出し、琉目掛けて斬りかかる。琉はそれをかわすと、銃口を首筋に突き付けて言い放った。


「悪いことはいわん。そこの仲間を連れてさっさと船から降りろ。さもなくば頭ごと消し飛ばすぞ!」


「おお、神よ。私は貴方のもとへと参ります。どうかこの者に天罰を……」


 ビシューン!


「安心しろ、パラライザーだ。俺に“前科”は不要だぜ」



 琉は二人を近くの建物に放り込み、船に戻るとバケツを見た。


「3匹捕れたか。あと一匹は欲しいかな……っておおっと!」


 丁度良いタイミングでロッサが獲物を引き上げた。


「わあ、何これ、すごーい! っていうか、何かこれぐにゃぐにゃしてて柔らかーい!!」


「すごいすごい、これタコじゃないか! しかも結構デカいぞこれ!!」


 ロッサは、今までにない形の生き物を捕って困惑していた。


「うわわ! 何か巻きついてきた!?」


「ロッサ、眉間だ。目と目の間を直角に刺せ!」


 琉の言う通りにすると、タコは大人しくなった。


「さぁ、今日はごちそうだ、腕が鳴るぜーッ!」


~次回予告~

「ケーキおいしー!」


「こんなモノ、信じる奴なんかいるのか?」

次回から第三章です。

ところで投稿スタイルですが、友人からもっと一回を長くしても良いんじゃないかというアドバイスをいただきました。そこで聞きたいと思います。

今の四話完結スタイルが良いか、はたまた二話完結スタイルにするか、どちらの方が読みやすいですか?

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