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ストーカー少年が転校して来る第8話。
「心さん、同じクラスですね。by.正太郎」


ヒナアフター
作:Daisy Katsura



第08話:転校生


 3月14日、ホワイトデー。
 この日は、チョコをくれたお返しに男が女にクッキーを渡す日である。
 しかし、心にとっては一番嫌いな日でもあった。
 それは、好きな男が居らず、チョコを上げた事が無い為、クッキーを貰えないからである。
 そんな心が学校に登校すると、机の上にクッキーが一つ置いてあった。
「何故?」
 心は思わずそう口にすると、机に置いてあったクッキーを取った。
 それには、手紙がくっついていた。
 手紙には『僕と付き合って下さい』と書いてある。
 差出人は同じクラスの貴嶋 公きじま こう
 容姿は、薄緑の短髪に青の瞳。見た目、とてもイケメン。
 心はその少年の下に赴いた。
「あの、これなんだけど」
「うん?」
 公が心の方を向く。
 心はクッキーに付属していた手紙を公に見せた。
「私なんかで良いの?」
「じゃなきゃ渡さないよ」
 心は暫し考え込むと口を開いた。
「お前が本気なのは解った。その気持ち、受け取るよ」
 心はそう言うと、席に戻ってクッキーを食べた。
 直後、薫 雪路が入って来て教卓に立った。
「HR始めます。だがその前に転校生を紹介しよう」
 雪路がそう言うと、教室はざわめき始めた。
「皆静かに!」
 雪路がバンッと机を叩いて生徒を黙らす。
「転校生、入るのよ」
 そう言うと、転校生が入って来た。
 そいつは東宮 正太郎。心を剣道で負かして無理矢理彼女にした男である。
(げっ、マジで来やがったあいつ!)
 心は徐に机の下に隠れた。
 すると雪路が「何やってんだ綾崎?」と訊ねる。
「ちっ」
 心は舌打ちをすると、仕方なく椅子に座った。
「心さん!?」
 と正太郎が驚いて目をぱちぱちさせた。
「あれ、二人とも知り合いなの?」
 雪路が不思議そうな顔で訊ねた。
「僕のかの──」
 正太郎がそう言い掛けた所で心が「嘘です」と掻き消す様に言った。
「何だか知んないけど、取り敢えず自己紹介してくれる?」
 と雪路が正太郎の名前を黒板に白いチョークで縦に書き込む。
 正太郎はそれが終わると、自己紹介を始めた。
「潮見高校から転校して来た東宮 正太郎です。趣味は」
 正太郎がそう言った所で心が「女に虐げられる事だ」と透かさず言った。
 すると生徒が、
「マジで?」
「キモイ」
 などと口々に言った。
「一寸待て! 今のは心さんの嘘だから皆勘違いしないで!」
「はあ?何言ってんだお前。私に殴られて喜んでたじゃないか」
 心が言い返すと、正太郎は肩を竦めて「はぁ」と溜め息を吐いた。
「心さん、僕を虐めて楽しいですか?」
「楽しい」
「うわっ、Sだ!」
「悪いか?」
 心はそう問い正太郎を睨み付けた。
「悪くないです……」
 二人が楽しく会話をしてると、雪路が口を開いた。
「あのさ、二人とも? HR始められないから、そろそろ終わりにしてくれる?」
「ああ。すまん、伯母おばさん」
「お、オバサン?」
 と雪路が目を丸くする。
「そう言う意味じゃねえよ! 伯父伯母の伯母だ!」
「わ、解ってるってそのぐらい」
(絶対解ってねえ、此奴……)
 心はそう思った。
「そんじゃあ、東宮くん。席に着いてくれる?」
 雪路が言うと、正太郎は空席を探し、心の隣に見付けてそこに座った。
「はぁ」
 肩を竦めて溜め息を吐く心。
「お前、何で私の隣に来る訳?」
「良いじゃん。恋人同士なんだから」
「御免なさい。私の彼氏、今あの人だから」
 心はそう言って公を指差した。
「どう言う事ですか、それ?」
「こう言う事だ」
 心は正太郎に例の手紙を見せた。
「何て返事したんです?」
「オッケー、と」
「どうして?」
「イケメンだから。そう言う訳で、お前はもう、私の彼氏じゃないんだ。それと、お前の座ってる席は・・・」
 心がそう言い掛けた所で、後ろのドアが開いて三千院 奈瑠が「おはよう御座います」と入って来た。
「って、貴様! 何故に私の席に座ってる!?」
 奈瑠はそう言って正太郎を睨み付けた。
「そいつの席だから退いてやれ」
 心は正太郎をドンっと突き飛ばして椅子から落としてやった。
「いてっ! いきなり何するんですか!?」
 正太郎が立ち上がり叫ぶ。
退け、邪魔だ」
 奈瑠はそう言って正太郎を突き飛ばして席に座り鞄を置いた。
「おはよう御座います、お嬢様」
 心は執事フェイスに切り替え、奈瑠にそう挨拶して会釈した。
「ふんっ!」
 奈瑠はソッポを向いた。
(あれ、嫌われてる?)
「お嬢様」
「……………………」
 シカトされてしまった。
「あの、お嬢様?」
「……………………」
 反応無し。
「無視しないで頂けますか?」
「五月蝿い! 話し掛けるな!」
 奈瑠は振り向き様に怒鳴り、心を睨み付けた。
 それに腹を立てた心は奈瑠に殴り掛かった。
 すると白野威が現れ、心の顔を鋭く尖った爪で引っ掻いて去っていった。
「いってー!」
 心は叫び、机に伏した。
「ざまあ見ろ、この暴力女め」
 奈瑠はそう罵ると前を向いた。
(クソッ、いつか絶対殴ってやる)
 心はそう心に誓うのであった。












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