第07話:ツンデレな男
有名進学校、白皇学院。
心はそこの時計塔を眺めていた。
「気になるか?」
そう訊ねたのは薫 雪ノ介だった。
「お、弱虫じゃないか」
「弱虫言うな!で、気になるか?」
「ああ」
「これの頂上にはな、生徒会室があるんだ」
「ふーん」
「そこのバルコニーから見える景色もう最高でさ。上ってみるか?」(注:雪ノ介は高所恐怖症です)
「ああ」
「じゃあ行こうか」
雪ノ介はそう言ってエレベーターの前に移動し、ボタンを押してドアを開けた。
「雪、良いのか?入って」
心は入り口に貼られた、<許可無き者の立ち入りを禁ずる>と書かれた紙を指差した。
「俺が許可する。俺、生徒会長だから」
「ふーん」
心は可哀想な者を見る目で見詰めた。
「何だよその顔?」
「別に? そんな事より、早いとこ上ろうぜ」
心はそう言って、雪ノ介と共にエレベーターに乗り込んだ。
最上階に着き、生徒会室に入る二人。
心はバルコニーに出て絶景を眺めた。
「雪、良い眺めだぞ」
「俺は良い」
「何だ、見ないのか?」
心は振り向き様に訊ねた。
雪ノ介は「見てるよ?」と目を瞑り答えた。
「目瞑ってたら見えないじゃないか」
「心の目で見てるんだ」
「怖いのか?」
その問いに雪ノ介は目を開けた。
「こ、怖い訳無えだろ!」
そう言ってバルコニーに出て来て絶景を眺める雪ノ介。
彼は絶景に恐怖を覚え、足が竦みだした。
そしてついに耐えきれなくなり「怖い!」と涙目で心に抱き付いた。
心は「よしよし」と抱き締めてやった。
そこへ、三人の女生徒が現れた。
「ほほう」
「おやおや?」
「何やってるの?」
その三つの声に驚いた心と雪ノ介は慌てて離れた。
「薫くん、その娘誰?」
と一人の少女が訊ねた。
「俺の従姉」
「綾崎 心だ。心と呼んでくれ」
「趣味は弱い者虐めだ」
「そうそう。弱い子を見るとつい蹴り飛ばしたくなるんだよね。って、誰の趣味が弱い者虐めだ!?」
心はそう乗り突っ込みをして助走無しドロップキックを雪ノ介にお見舞いした。
攻撃を食らった雪ノ介は吹っ飛んでバルコニーから転落を開始。
「やべっ!」
心は慌てて駆け寄り、雪ノ介の足を掴み・・・損ねた。
「うわああああああ!」
雪ノ介は悲鳴を上げながら、真っ逆さまに落ちていった。
「雪!」
心は咄嗟に飛び降り、雪ノ介に追い付き、彼をお姫様抱っこすると、体勢を立て直して着地した。
「てめえ、殺す気かよ!?」
「んな気無えよ。それに、殺意があったら助けねえ」
「本当かよ?」
「私は嘘は吐かない」
「あ、そ。て言うか降ろせよ?」
雪ノ介は頬を赤らめそう言った。
心はそれに従い、彼を降ろした。
雪ノ介は心から顔を逸らして「……とうな」と言った。
「え?」
よく聞こえなかった心は首を傾げた。
「雪、今何て?」
「な、何でも無えよ! じゃあな!」
雪ノ介はそう言って走り去っていった。
(何怒ってんだ、あいつ?)
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