白皇学院に通う高等部2年の綾崎 颯は、三千院家の執事である。
その彼には今、気になっている人が居る。
今年、高等部1年に入学した日比野 文である。
「はあ」
ハヤテは校門の前で溜め息を吐いた。
手にしているのは、ハート型のシールで封をした封筒。ラブレターの様だ。
(今日も渡せなかったなぁ)
ハヤテはラブレターを見ながら心中で言った。
そこへヒナギクが現れ訊ねる。
「あら、ハヤテくん。こんな所でどうしたの?」
「あ、ヒナギクさん。もう帰りですか?」
「うん。所で、それ何?」
「これ?ラブレターです」
「誰から?」
「僕が書いたんですよ」
「私に?」
「何期待してんですか?」
「なっ、違うわよ!ハヤテくんのバカ!」
ヒナギクは走り去って行った。
それと入れ替わりに、文が「忘れ物」と連呼しながらやって来た。インド人のシャルナとセットで。
(チャンス!)
そう思ったハヤテは、文に声を掛けた。
「日比野さん!」
「うわっ、誰ですかあなた!?」
文は立ち止まり、振り向くと驚いてそう言う。
その行動にシャルナが突っ込む。
「文ちゃん、落ち着いて。この人は文ちゃんの知ってる人だから」
「え、文の知ってる人ですか!?」
「綾崎です。これを受け取って下さい」
ハヤテは半は強引にラブレターを渡して去っていった。
「シャルナちゃん、これは何なんでしょう!?」
「読んでみれば判るんじゃない?」
文は封を開け、中に入ってる紙に書かれた文章を読んだ。
『僕は、始めてあなたを見た時、胸がトキメキました。良かったら僕と付き合って下さい。ハヤテ』
「良かったわね、文ちゃん。これで私も一々突っ込まないで済むわ。これからあの人に突っ込んで貰うのよ」
シャルナはそう言うと去っていった。
文はどうしたら良いか判らなくなり、取り敢えず走り出した。
ドッ!
何かにぶつかり、尻餅を着く文。
「大丈夫ですか?」
目の前に手が差し出された。
その手を辿って上を見上げると、ハヤテの顔がそこに在った。
「あの、私、女の子ですけど良いんでしょうか!?」
「はい」
ハヤテはニッコリと笑う。
「レズですか!?文、女の子に告白されました!」
その言葉にハヤテは傷付いた。
「僕、男なんですけどね」
「えっ、男なんですか!?でも男で女顔ってのは無いですよね」
ピキッ!
ハヤテは額に青筋を立てた。
(はっ!いかん!これしきの事で怒っては、日比野さんに嫌われてしまう!)
ハヤテは苦笑いして答える事にした。
「そうですよね。有り得ませんよね。どうしてこんな顔に生まれたんだろう?」
と棒読みで。
「そんな事より、返事しに来てくれたんですよね?」
文は頷いた。
「どうですか!?僕と付き合ってくれるんでしょうか!?」
文は勢いに圧され、つい頷いてしまう。
「本当ですか!?有り難う御座います!」
ハヤテは大喜びで帰っていった。
こうして、二人は付き合う事になった、そうな。
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