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第91話 王都での会話。(タケオの処遇・・・お咎めなし。)

「・・・で、そんなアリスの想い人の件なのだが・・・どうするか?」

アズパール王は皆に聞き始める。

「・・・王都壊滅の危機を迎える覚悟があるなら・・・その『タケオ』の指を・・・」

ウィリアムが言うが。

「『威光』の指輪程度でそのリスクは・・・」

「では、処分は何もなしで?」

第一近衛分隊長は言う。

「・・・そもそも王都から出たとの記録がないから処分ではない。

 それに『鮮紅』アリスとその想い人『タケオ』の婚約指輪だろう?

 婚約指輪を取るのは不信が募るぞ・・・婚約自体は我に異論はないぞ?

 それに『威光』も『鮮紅』と一緒ならオッドアイの効力だと言いきれば、バレないだろうし・・・

 この件はタダの王家の紋章の指輪として処理するか

 ・・・しかし。」

「『威光』のかかっている指輪を放置するのは、あまり得策ではないですね。」

王家専属魔術師は言う。

「そうだなぁ。残る一つは王都で管理させるか・・・」

「それだと、うちのお爺さまもアリスも不審がるのでは?」

レイラが言う。

「・・・確かにな・・・では、王家の紋章付だが、エルヴィス家にて管理してもらうか。

 ・・・しかし、誰かが勝手につける可能性もあるし・・・」

「それなら私は弟のスミスに上げたいですね。」

レイラがしれっと言う。

「・・・レイラ?」

「なんでしょう?お義父さま。」

「お主には、弟がいるのか?」

「はい、今年で12歳ですね。来年の春には王都の寄宿舎にくるのでは?」

「・・・なるほど。『威光』を持つにふさわしい者に教育できるな。

 それに多少の威圧感は皆のレイラに対する畏怖の表れとして誤魔化せるか・・・」

「スミスがイジメに合わなければ良いのですが・・・」

レイラはそんな独り言を言う。

「なに、平気だろう。

 寄宿舎に入る人数はそんなに多くないだろうしな。」

アズパール王は言う。


------------------------

「では、我は決めたのでこの場で通達するぞ。

 ・この指輪は王家の紋章付のタダの指輪として処罰は無し。

  『威光』については口外もしない。公表もしない。

 ・アリスとタケオの婚約指輪についても特例だが王家の紋章を許可する。

  これは2年前のアリスの功績の副賞として授与したとし、紛失問題を挿げ替える。

 ・残りの1つの指輪はエルヴィス家次期当主スミスの寄宿舎入学の前祝でウィリアムとレイラから贈与された物とする。

 以上だが何かあるか?」

「私的には寛大な処置で安堵しております。」

アズパール王の言葉にレイラは感謝する。

「うむ、お主の弟まで巻き込むが許せよ。」

「いえ、王家にしか存在しない『威光』を次期当主が授かるのです。

 エルヴィス家にとって最大の褒美にございます。」

「それに、王家からスミスに嫁に行けば問題なさそうだしな。」

とアズパール王はしれっと言う

「・・・なにか今凄い事を言いましたよね?」

レイラはスルーが出来ずに聞き返す。

「いや・・・ちょうど我の弟の孫娘がそのくらいの年齢だったと思ってな。

 もちろん本人達の意思は尊重するがな。」

「アズパール大公の?」

「ああ。この間、弟と酒を・・お茶をしていたらそんな話になってな。

 『お転婆でどうしょうもない。このままでは許婚が決まらない』と愚痴を言っておったぞ。」

「許婚ですか?うちのお爺さまも父も母も私達姉弟に許婚を作りませんでしたが、作るものなのですか?」

レイラは素朴な疑問を言う。

「作ったり作らなかったりだな。

 うちのアホ息子達は勝手に決めてくるだろうと我は呑気に構えておったのは確かだ。」

「確かに僕らアホ3兄弟は勝手に決めましたから。」

アズパール王の発言にウィリアムも肯定する。

「まったく、お主とレイラの時は戦帰りに向こうの屋敷で突然にだからな・・・

 認めるしかないではないか。」

「はは。」

とウィリアムは笑う。

「私も同じことをお爺さまに言われました。

 レイラは唐突に決めるのだなと。」

とレイラは苦笑する。

「そりゃそうだ。我とエルヴィス伯爵は苦笑いしか出来なかったぞ。」

とアズパール王は楽しそうに言う。


「ちなみに・・・そのお嬢様はお転婆程度なのですか?」

「程度・・・なのか?娘がお転婆だと嫁ぎ先がないと言われるご時世なんだが?

 知力・体力・機転は良いのだが、少々実力行使に出る節があるそうだ。

 気に障ったり、理不尽なことと感じたなら殴るとかは普通だとか・・・

 容姿は我が言うのもなんだが結構、可愛いのだがな。」

「あら、その程度ですか。」

「ん?なぜレイラは普通にしておるのだ?そこは苦笑いの所だと思うが?」

「エルヴィス家には、アリスが居るのですよ?」

そこでアズパール王は止まる。

「抑止力として最大だな。」

「アリスもお転婆でしたし、『鮮紅』の二つ名まである始末。

 良く今回、婚約が出来たと思っていました。

 『タケオ』さんには感謝しちゃいますね。」

「確かに他の貴族からアリスを嫁に紹介してくれという話は2年前からトンと無くなっているな。」

「あら?それ以前はあったのですか?」

「レイラ・・・お主とアホ息子との結婚を契機に盛り上がったのだよ。

 皇子とお近づきになりたいとな。」

「アリスを道具として?」

レイラは機嫌が悪くなる。

「レイラ・・・貴族はそういう者も多いのだ。

 エルヴィス伯爵はそんな気もなくてな。

 『アリスが気に入れば』と乗り気ではなかったし。」

「お爺さまは政争の道具に家族を使うのを嫌がっていますから。」

レイラはそう言う。

「そうだね。そんなことで近づいてくる貴族は相手にしたくないね。」

ウィリアムも言う。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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