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第90話 王都での会話。(さて指輪をどうするか・・・王都守備隊結成の秘話。)

「さて、話題が変わってしまったが・・・」

「16年前の指輪がなぜ一般に出回っているのか・・・ですね。」

アズパール王の呟きにウィリアムが言う。

「そこだな。・・・冊子によるとその指輪が納品される前に王家専属魔術師が突如、交代しているな。」

「・・・父上、そこでしょうね。」

「だな。交代により紛失したか、紛失したから交代したのか・・・今となってはわからんな。

 どうすべきか・・・」

アズパール王は難しい顔をする。

「・・・でも、お義父さま。それは違う見方をすると良かったのではないですか?」

「?レイラどういう意味だ?」

「王家もあずかり知らぬ『威光』の指輪が出てきてエルヴィス家・・・私の妹『鮮紅』のアリスが管理しているのでしょう?

 王家の宝物庫並みに厳重ですよ?」

「たしかにアリスなら、この指輪を取られることはないだろうな。」

するとレイラは1つの手紙を出す。

「これは?」

「アリスから私宛の嘆願書っぽいものです。」

「うむ。」

とアズパール王は内容を読み始める。とすぐにニヤニヤ顔になる。

「レイラ・・・これは・・・ふふ」

「父上?」

「おや?ウィリアムは見ていないのか?ほれ。」

と手紙を受け取りウィリアムも読む。とニヤニヤ顔になる。

「レイラ、これは・・・恋文だね。」

「ええ。あのアリスがこんな熱のこもった手紙を書くなんて。」

レイラはクスクス笑う。

「良い、実に良い!アリスの相手は・・・『タケオ』と書いてあったか。すごく愛されているな、ふふ」

「私もこの『タケオ』殿が羨ましいですね。

 ここまで想ってくれる相手に求婚できるとは、ふふ」

「最後の『タケオ様と共に歩みたい』なんて、もう目の前にアリスが居たら抱きしめますね。」

と3人は幸せな顔をする。


------------------------

「んー・・・しかし指輪の件はどうした物かな。」

アズパール王は再び悩む。

「こんなにアリスが想っている方の指を落とすのは忍びないですし、それに・・・」

レイラはそこで止めて思案する。

「・・・レイラ、続きを言いなさい。」

アズパール王は続きを促す。

「・・・怒り狂ったアリスをここの王都守備隊何人の犠牲で食い止めるので?」

その言葉にアズパール王以下、ウィリアム、王家専属魔術師殿、第一近衛分隊長の動きが止まる。

「わ・・・我々は何とか持たせます!」

第一近衛分隊長は震えながら言う。

「ちょ・・・ちょっと待て、第一近衛分隊長。

 なんで震えとるのだ?

 お前ら戦場なら喜んで先陣を切るだろうが!?」

「いや・・・お言葉ながら陛下。相手は、あの『鮮紅』のアリスでしょ?」

「そうだ。」

「・・・どう考えてもうちの王都守備隊が総員玉砕する覚悟で臨んで、時間を稼いでいる間に陛下を逃がすのが精一杯かと・・・」

「なに!?そんなにか!?」

「2年前の事で我々も確認しましたが、あの激戦で『鮮紅』アリスは傷一つ負っていないのですよ?

 初代総長のオッドアイと同じなら・・・身体強化の化け物です。

 こちらの剣では傷を付けられる保証すらないのです。よけられるでしょうし・・・

 で、あちらはバターを切る様に・・こちらを紙の様に吹き飛ばしながら進んできます。」

「・・・そこまでだったのか・・・あのアリスは。」

「だから我々王都守備隊は感謝を伝えに行ったのです。

 我々は、敵対はしませんよっという気持ちと畏怖の念も込めてね。」

「ずいぶん、アリスの事を買っているのね。」

レイラはため息交じりに言う。

「レイラ様、確かあの時、初代総長のオッドアイになった経緯を話しましたよね?」

「ええ。それは聞いたし、勲章の授与の時も確か私が言いましたね。」

「はい。

 その時に城門に陣取って仲間が帰還するまで守りきったという話をさらりとしたのですが。」

「確かにそんな話でしたね。」

レイラは「それが?」という顔をする。

「・・・初代総長は何名で城門を守ったと思いますか?」

「え?・・・200名くらいですか?」

「・・・200名いれば撤退戦のみでそこまでの感謝はされなかったでしょう。

 ・・・実際は15名です。」

「は!?」

アズパール王は驚く。レイラとウィリアム、王家専属魔術師も言葉をなくす。

「相手は魔物。2年前とは違い兵団で数は・・・だいたい100だったでしょうか。

 それを15名で持たせました。

 さらに敵の指揮官が突貫してきて・・・つまりは突貫するしかもう戦術的にない状況にまで追い込んだのが初代総長なのです。」

「それは・・・凄まじいな。」

「当時の王は、その武力と感謝で王都守備隊を結成。

 少なくなった各騎士団の穴埋めの為、各地の戦場の遊撃に当たらせます。

 そしてどの騎士団よりも多くの戦果を残し、王都の者に畏怖され王都守備隊は『王の番犬』、『王都の守護』の異名を広めます。」

「そうなのか。王都守備隊の結成秘話だな。」

「ええ。王都守備隊に入隊するとどれだけの戦果を今まで出したのか、歴史を学ばされますが、

 歴代の総長の内、初代総長より多くの戦果を上げられた者はおりません。

 我々が戦場に投入されると最大の武勲を上げるのは初代総長から始まる。我々の使命なのです。

 『味方がどんなに不利な状況下でも形勢を逆転させられるほどの武力を発揮し味方を守る』

 それが王都守備隊の唯一の隊訓ですから。」

「さすがは初代総長の隊訓だな。

 恐ろしく簡潔で要求が高い。」

「はい。話は戻りますが、

 『鮮紅』のアリスは訓練された兵ではありませんので、そこまでの脅威ではないとは思いますが。

 それでもオッドアイの特性上、先ほどの想定を覆せません。」

「なるほどな。」



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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