第82話 4日目の夕飯後の報告会。(アリスの体調は?)
「今日の行動は、こんな感じです。」
と武雄は報告を終える。
「うむ。充実していた様だの。」
「いつか私もアリスお嬢様と戦ってみたいですね。」
武雄はしれっと言う。
「「「「は?」」」」
皆一様に驚く。
「ん?なんでしょう?」
「うむ・・・タケオ。今日のアリスを見て何とも思わないのかの?」
「カッコいいと思いましたが?」
「いやいや、違うじゃろ?畏怖とかないのかの?」
「・・・あの威圧感と威力は凶悪ですが、でもそれだけですし。」
「え?タケオ様、お姉様の魔眼をそれだけ呼ばわりですか?」
スミスは驚愕しながら聞いてくる。
「ええ、アリスお嬢様は別に武術の達人ではないでしょ?」
「はい、素人ですね。」
「素人二人がじゃれ合うなら良いかなぁって思っただけです。」
「・・・うむ。近日中にやってみても良いかもしれぬの。」
「はは、アリスお嬢様。私が死なない程度でお願いしますね。」
「ふふ、わかりました。」
武雄とアリスは笑いあうのだった。
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「そういえばお姉様、体調は平気なのですか?」
「スミス、平気よ。」
「?スミス坊ちゃん、アリスお嬢様は病気なのですか??」
武雄はスミスに質問する。
「あ、いえ。2年前にお姉さまが魔眼を使った際は3日間寝込んだのです。」
「え!?・・・アリスお嬢様、平気ですか?」
「タケオ様まで・・・平気ですよ。」
「うむ。しかし、2年前の事を考えると明日は寝込むかもしれぬの。」
「明日になってみないとわかりませんね。」
「明日はトレンチコートの納入日なのですが・・・
昼過ぎだったはずなので、それまでに体調が悪ければ静養ですかね?」
「うむ、大事をとって明日の昼まではとりあえずアリスは寝ていることじゃ。
で、体調が悪ければそのまま静養じゃの。」
「わかりました。」
「・・・では、明日の昼ご飯は私が作りましょうか?
アリスお嬢様に持っていきますね。」
「なぬ!?タケオが作るのか!?
何を作るのじゃ?」
「なにを期待しているのですか・・・ただの『フレンチトースト』です。」
「なんじゃ『フレンチトースト』とは?」
「んーパンを牛乳で浸して、フライパンで焼いた物です。
しっとりとするので胃に優しいのです。」
「なんじゃ『ミルクトースト』か・・・ちょっと期待してしまった。
わしは遠慮するかの。」
「今回は、浸すのはミルクではなくて、プリンの原液ですが。」
「では、お爺さまの分は私がいただきます。」
とすかさずアリスが貰い受ける。
「ぐぬぬ・・・」
「あ、僕もいただきますよ。」
「ええ、皆さんの分もちゃんと作りますよ。」
と武雄はにこやかに了承するのだった。
「ちなみにのタケオ。」
「なんでしょう?」
「病人に無理はさせてはいかんぞ?」
エルヴィス爺さんはニヤリと笑う。
「・・・しませんよ。」
武雄は目を細めながら言う。
「そうか。」
「元気だったら多少の無理は良いので?」
「話し合いのうえであればの。」
「良いので?」
「遅かれ早かれするのじゃろ?」
「それはそうですが、相手の意思を尊重しますよ。」
「うむ。」
とエルヴィス爺さんと武雄は何やら話す。
アリスもスミスもわからないみたいでスルーしている。
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客間から武雄は自室に戻ってきていた。
「さて寝るかの」とエルヴィス爺さんの言葉と共に皆が部屋に帰っていった。
とドアがノックされ、武雄が「どうぞ。」と言うとアリスが入ってきた。
「こんばんは、アリスお嬢様。」
「はい、タケオ様。こんばんは。」
「どうしました?」
「いえ、特にはないのですが・・・」
とアリスはハニカミながら言う。
あぁ・・・と武雄は思う。
武雄はアリスに近づき抱擁する。
アリスも「えへへ♪」と言いながら武雄の背に手を回す。
「アリスお嬢様、今日はお疲れ様でした。」
「いえ、タケオ様こそお疲れ様でした。」
「それにしても、あの赤い甲冑はアリスお嬢様に似合っていましたね。」
「タケオ様も作りますか?」
「甲冑をですか?」
「はい。」
「・・・ちなみにあれはどのくらいの重さがあるのですか?」
「そうですね、30kgですかね?」
「いりません。」
「否定が早いです!」
「まぁ胸当てとかは必要でしょうね・・・兵士の装備で良いでしょう。
何かの機会に買いに行きましょうかね。」
「そうですね、タケオ様がフルプレートを着ているイメージが沸きません。」
とアリスはコロコロ笑いながら言う。
「どんな防具があるかも知りませんから。
アリスお嬢様に見繕って貰いましょうかね。」
「はい、まかせてください。」
「と、アリスお嬢様は寝ないといけませんね。」
武雄とアリスは抱擁を解く。アリスは部屋を出て行こうとする。
武雄も扉まで付き添う。
「アリスお嬢様。」
アリスは呼ばれて顔を武雄に向ける。と、
「んっ・・・」
武雄がいきなりキスをする。
「おやすみなさい。」
扉の手前でされ、おやすみの挨拶で廊下にでる。
「おやすみなさい。」
と顔を赤らめてアリスも返事をする。
武雄は「はい、では。」と扉を閉める。
アリスは思う「これは日課にしよう」と。
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