第72話 小銃の改造依頼2。仕様の確定と主が居ない部屋に侵入者。
武雄と店員は、お茶をしながら仕様を決めていた。
「では、この薬きょうを使って弾丸を生成しましょう。」
「お願いします。手順をちょっと変えて貰えますか?」
「はい。なんでしょう?」
「私がこの小銃を持った時から離すまで強化をし続けてほしいのですが。」
「なぜです?」
「当てそこなった相手に斬りつけられたらコレで剣を受けると思うのです。」
「なるほど。」
「なので手順は、
小銃の強化→構える→氷の弾の生成→氷の内部に爆発の魔法を仕込む→筒と弾の隙間に水の膜を生成→引き金を引く→弾の後方で爆発→発射 としてください。」
「で、基本的には使用魔力は25ずつかけるのですね?」
「はい、そうですね。
最初から私が使える最大魔力を使ったらどんなのが出来るのかやってみようかと。
もし威力が高いなら低い物を作るかもしれませんし、逆に威力が低いなら高くする方法を考えないといけませんからね。」
「わかりました。
その様に試作します。」
「あとは、2脚を付けるのと肩紐で背負えるようにしたいですね。」
「2脚とは、何ですか?」
「伏せて撃つ際にある程度、小銃を固定させる物ですね。」
と武雄は図面に書き込む。
2脚は色んな角度に対応でき、折り畳み式で銃身の横に添えることと書いた。
「なるほど・・・魔法よりこっちの方が難しいかもしれません。」
店員は苦笑した。
「改造期間はどのくらいかかりますか?」
「そうですね・・・1週間はかかるでしょうか。」
「では、1週間後に試射をしましょう。」
「わかりました。」
「では、弾丸の収集と小銃の改造をお願いします。」
と武雄は席を立ち、店を出るのだった。
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時間は丁度、昼になった様で鐘が鳴っている。
エルヴィス爺さんとアリス、スミスは食堂に行き簡単に昼食を済ました。
「では、お先に。」
アリスは席を立つと食堂を出ていこうとする。
「ん?・・・アリス、急いでどこか行くのかの?」
「・・・いえ、部屋に戻るだけですが?」
「・・・まさか・・・」
エルヴィス爺さんはニヤつく。
「・・・お爺さま、まさかの後を言ってください。」
「タケオの部屋に行って、ベッド」
「しません!」
アリスは顔を赤らめ否定する。
「ほぉ、どちらをしないのかの?」
アリスはその言葉に返事をせず食堂を後にした。
・・・
・・
・
「お爺さま。お姉様は、タケオ様の部屋に行くと思いますか?」
「ふふ、行くじゃろ。
席を立った際のニヤケ顔が良い証拠じゃ。
まぁ、今回は追わないでおこうかの。
命の危険がありそうじゃからの。」
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アリスは武雄の部屋の前に着いた。
「全く、お爺さまったら、私を変態みたいに言って。」
と愚痴を言いながら扉を軽く押す。
扉は鍵がかかっていない様でスンナリと開いた。
「タケオ様・・・無用心過ぎます。」と心の中で溜め息をつきながら部屋に入る。
手に持っていた鍵は机の上に起き、目当ての本を探し始める。
ほどなく、目当ての本を見つけるとアリスはホッと一安心。
改めて、部屋を見ると雑貨屋で買ったものが隅に置かれ出番を待っていた。
そしてベッド。
アリスは目線を移動できないでいる。
「・・・イヤイヤ、私は変態ではないし・・・」
・・・
・・
・
「・・・誰も来なさそうだし・・・少しくらい・・・」
一応、部屋の鍵はしておく。
ドキドキッ
「えいっ」
かけ声とともにベッドへダイブをかますアリス。
ムフーっと顔を埋めたり、息を吸い込んだり・・・
ご満悦です。
しばらくそんなことを繰り返し。
堪能した様子でベッドから降りてくる。
「一端、部屋に戻ってから客間に行こうかな?」と机の上に置いた鍵を取ろうとした時、メモが置いてあることに気がつく。
手に取り見てみるも読めない。
「タケオ様が書いたのかしら?」と思うと同時に「もしかしたら私のことが?」
・・・そう思い付いてしまえば、是が非でも見たくなる。
「お爺さまのメガネを借りれば見れるかも・・・」
鍵を持ちアリスは足早に客間を目指すのだった。
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