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第59話 アリスお嬢様の思い出。(次女の帰還。)

エルヴィス伯爵邸から緊急伝文が送付されてから6日後

エルヴィス伯爵邸の玄関に1台の馬車が停まり、一人の女性が降りてきた。

「皆、元気かなぁ?」

それを出迎えたのはフレデリックである。

「ようこそお越しくださいました、第3皇子妃レイラ様。」

「ええ、フレデリックも元気そうね。」

第3皇子妃レイラは、笑顔で返した。

フレデリックは、笑顔で頷き、扉を開ける。


玄関で出迎えたのはスミスだった。

「ようこそお越しくださいました、第3皇子妃レイラ様。」

「エルヴィス家次期当主殿、お出迎えありがとうございます。

 エルヴィス伯爵より、お誘いをいただきましたので、参りました。」

と挨拶をする。

「祖父は、客間にてお待ちです。」

ここまで定型文。


「レイラお姉様、おかえりなさい。」

「ただいまスミス。

 立派に口上が言える様になったのね!!賢くなってぇ!」

と、感激し、少し涙を浮かべていた。

「お爺さま達は客間で待っています。」

「わかったわ。」


フレデリックが客間のドアをノックし、中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認し扉を開ける。

「失礼します。第3皇子妃レイラ様がお越しになりました。」

「うむ、お通しせよ。」

レイラが入室する。

室内にいたのは、エルヴィス伯爵とゴドウィン辺境伯爵夫妻とアリス。

優雅にお茶を楽しんでいたが、全員起立して出迎えた。

「失礼。エルヴィス伯爵殿、お誘いをいただきましたので、参りました。」

「はっ!第3皇子妃レイラ様、この度は、我が家にお越しいただき誠にありがたく思います。」

「ええ。ゴドウィン辺境伯爵も久しいですね。」

「はっ!第3皇子妃レイラ様におかれましてはご機嫌麗しく存じ上げます。」

「ええ。」

と、ここまで定型文。


「・・・さて、ジェシーお姉様、アリス、ただいま戻りました。」

「レイラ、おかえりなさい。」

「レイラお姉様、おかえりなさい。」

「私の旦那様は兄弟3番目で私は側室。こんな堅苦しい挨拶しなくてもいいのにね。

 はぁ・・・最初だけでもちゃんとしないといつかボロが出そうでなので、

 頑張ってやっているのが現状なんだけどねぇ。」

と、レイラは苦笑していた。

「改めまして、お爺さま、ただいま戻りました。」

「レイラおかえり。」

「手紙いただきましたわ。何か楽しいことをするそうで?」

「うむ、それは後で話そう。今はお茶を新しくするかの?」

そういうとフレデリックは今まで飲んでいたのを下げ人数分新しい物を持ってきた。

「では、座って歓談しようかの。」

「ええ。」

「ちなみに到着じゃが、ちと早すぎないかの?

 あと5日かかると思っておったのじゃが。」

「早く着いたのは、昼夜問わず走ったからですよ。

 で、緊急伝文にあった、遊びと言うのは何かしら?」

「ほぉ、レイラも気が付いたのか?」

「ええ、すぐに気が付いたわよ。

 だって本気の緊急ではなかったのですもの。

 ね?ジェシーお姉様。」

「ええ。エルヴィス伯爵家では代々、本気の緊急時は兵士を送ることにしているのは、我々家族は知っていますし。何か面白いことがあるのかな?っというくらいにしか思っていませんね。」

「ふむ、正解じゃ。アリスもゴブリンとの戦闘時に兵士を走らせたからの。

 土壇場で良く思い出したの。」

「ありがとうございます、お爺さま。」

アリスは感謝を述べる。

「で、じゃ。レイラ、どこまで掴んでおる?」

「送られてきた簡易的な報告は私も目にしておりますわ。

 あと風の噂で指揮官がエルヴィス伯爵の末の孫娘と言うのも聞いております。

 また、お爺さまから王都に向け、今回の戦の詳細な聞き取り調査への監査官立ち合いを望んでいる旨も伝え聞いております。

 別件にて何か依頼事があるとのもっぱらの噂がありましたわ。」

「うむ、実にその通りだ。」

「王都では、ゴブリン軍ごときとの戦で詳細な戦時記録が必要なのか疑問視する声がありました。

 これは、文官街道一直線の者が中心に声を上げていました。

 対して、もしかしたら軍事教練の題材になるぐらいの戦いだから、聞き取り調査への監査官立ち合い要請を受け入れるべきとの意見もありました。

 これは、簡易的な報告を見た騎士上がりの文官が中心に声を上げていました。

 最終的には我が夫、第3皇子が

 『妻の実家、それも妹が関係しているかもしれない。我は詳細を聞いてくることに賛成だ。

  もし費用うんぬんや、王都として何か含むことがあるのならば、遠慮はいらないから申せ。

  その場合、我の私心にて立ち合いを実施する。』

 とまぁ、私愛されちゃってます。」

「で、どんな監査官がくるのか、わかるのかの?」

「事実として、この程度の戦時記録の監査は前例もないことなので、軍事行程や騎士承認関係の長クラスが1名。元王都守備隊騎士長の文官が2名の計3名がきます。」

「何ともまぁ上位人が来るのぉ。」

「腐ってはいないであろう文官がきますわ。」

エルヴィス伯爵は、おもむろに書類をテーブルに出す。

「・・・戦の後の慰労会の最中に屋敷へアリス宛に届いた投書じゃ。」

アリス宛に届いた投書をレイラに渡す。

レイラは静かに中を読み、何も言わずエルヴィス伯爵に戻す。

「どうじゃ?」

「王都では2日ごとに出回るありふれた内容ですわ。」

「で、田舎者のわしとしては痛いしっぺ返しをしたいのじゃ。」

「ええ、ありふれていても慣れたり無視したりするものではありませんね。

 それにしてもエルヴィス伯爵家とアリスを脅そうとは・・・

 私の旦那様の耳に入るとは思わないのでしょうかね。」

レイラは苦笑していた。


「ちなみにアリスは今何をしているの?」

「私は外出禁止の為、家でのんびりしています。」

「では、アリスの外出禁止は継続としましょう。」



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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