第58話 アリスお嬢様の思い出。(時の鐘と長男の初めてのお使い。)
アズパール王国では次の様に鐘がなるとなっている。
日本の時刻 アズパール王国
午前0時 朝課の鐘
午前3時 賛課の鐘
午前6時 1時課の鐘
午前9時 3時課の鐘
正午 6時課の鐘
午後3時 9時課の鐘
午後6時 晩課の鐘
午後9時 終課の鐘
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晩課の鐘が鳴っている。
屋敷から城門までの一本道沿いにあるスイーツ店に来店があった。
「失礼します。」
その声に店のおばさんは奥から出てきた。
そこで受け取りに来た人を見て驚いた。
「スミスお坊ちゃんとフレデリックさん!!!!???」
フレデリックは分かるが、まさかスミスお坊ちゃんが来るとは予想だにしていなかった。
「ジェシーお姉様からこちらに注文した物の受け取りを依頼されましたので、参りました。」
「はいはい、ご用意は済んでおります。今お持ちしますね。」
と店の奥から持ってくる。
「お代は、こちらに置いていきます。」
とフレデリックはお金の入った袋をカウンターに置いた。
「お姉様が無理を言ったみたいで申し訳ありません」
とスミスはお辞儀をする。
「いえいえ、やりごたえのある仕事をさせていただきました。
それにアリスお嬢様の為とあっては腕の振るいがいがありましたよ。」
「アリスお姉様ですか?」
「ジェシーお嬢様から伺っておりますよ。何か悩まれていると。」
「・・・まさか手紙の事も!?」
「手紙?・・・ですか?」
「ええ。あの日の夜にアリスお姉様宛に届いた投書の話では?」
「んんっ」とフレデリックは咳払い。
「!?・・・申し訳ありません。今のは聞かなかったことにしてください。」
スミスは途端に口を押え、若干、顔を青くして弁明した。
「え?・・・わかりました。」
「・・・では。僕達は、夕飯に間に合うように帰らないといけませんので、失礼いたします。」
と店を去っていったのだった。
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その日の夕飯後のティータイム。
美味しいスイーツを皆で食べながら
「時にお姉様、ゴドウィン様とはどうなのですか?」
とアリスが問いかける一幕があり。
笑顔溢れる会話がなされた。
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また、次の日。
長女ジェシーは、屋敷から裏の城門までの一本道沿いにあるお酒屋に向かって歩いていた。
そして、前日のスイーツ店と同等のやり取りを行うことになる。
また、今回も受け取りに来たスミスとフレデリックが屋敷に向かって帰宅途中。
「フレデリック、僕は上手くできたでしょうか?」
「スミスお坊ちゃん、上手くいったかと言えば及第点と言わさせていただきます。
しかし、これから多くの経験をなさることで上手くなっていきます。
例えば、会話の流れも今回は少し強引でしたが、徐々に上手くなると思いますよ。」
「そうかぁ・・・すぐには上手くならないか。頑張るしかないね・・・」
と自身に言い聞かせるように歩くのだった。
「ええ。ジェシーお嬢様もいろんな経験をされてあれほどに成られました。
最初から上手くは行かない事も多々あり、継続でしか身につかない技能があると今回学べたのは大きい事です。」
「そうか。」
そんな話をしているともうすぐ屋敷だ。
今日は美味しい酒と楽しい話で盛り上がりそうだ。
ここまで読んで下さりありがとうございます。