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第44話 漠然的な疑問と武雄の心情。

「とまぁ簡単ですが、この小銃が出来るまでの話をしました。」

「うむ。武雄が言う不安がわかってきたの。」

「そうですか?たぶん違うと思いますが・・・」

「なぬ?これの登場で今までの戦術が効かなくなるという不安じゃろ?」

「そんなことではないですね。」

と武雄はキッパリと言う。


「ちなみにコレの欠点なのですが、わかります?」

と武雄は小銃を指さす。

「やはり、単発でしか撃てないことが欠点ですよね。」

アリスは聞いてくる。

「ええ、まだまだ遅いですね。」

「んー・・・わかりません。」

とスミスは降参する。

「この弾丸です。」

「「「「え?」」」」

皆が手に持ち見ているが、思いつかないみたいだ。

「これを作るのに単価が高すぎるのです。

 初期の段階では1発辺り銅40枚~50枚はかかるかもしれません。」

「そ・・・そんなに・・・」

スミスは驚く。

「まぁ大量生産すれば単価は下がっていきますね。

 よく見るとわかるのですが、弾丸の後ろの部分が一体成形なのです。」

「あ・・・」

と皆が言われたように弾丸を見ている。

「つまりこれは工場で機械的に作られた物になります。

 ・・・他国に輸出するのですから、もしかしたらある程度の量を定期的に生産できる目途が付いたのかもしれませんが。」

「うむ。」

「スミス坊ちゃんの説明では、カトランダ帝国とは隣接していて、定期的に戦争をしているのですよね?」

「そうです。」

スミスが言う。

「・・・なのに、戦争に参加している者から王都に銃の報告がない?

 ・・・もしくはしているが他の者に伝わっていない?

 ・・・そもそも実戦投入していない?」

「うむ、変じゃの。」

「ええ。どちらにしても、この銃の価値がわかっていませんね。

 旧戦法で戦うと痛い目を見る可能性があります。」

「王都に報告するかの?」

「しない方が良いでしょう。」

エルヴィス爺さんの問いに武雄は即答する。

「え?なぜです?王国の危機ですよ?」

スミスが言う。

「・・・スミス坊ちゃん。

 私の今の心情を言いますよ?」

「はい。」

「私は、エルヴィスさんに拾われて、衣食住を与えて貰った恩があります。

 訳も分からない者を救う。

 これは想像を絶する賭けなのです。

 エルヴィスさんはその賭けをしてくれました。

 それに私に仕事を与えてくれて、アリスお嬢様という頭の回転も良く、気立ても良くて、すこしからかうと顔を真っ赤にして抗議してくる可愛く有能な上司を与えてくれました。」

「・・・タケオ様、1つ変なのが混じってますよ?」

アリスはジト目で抗議してくる。

武雄は無視して続ける。

「私は、その恩に報いなければなりません。

 エルヴィスさんを始めとしたエルヴィス家に恩を返す。

 エルヴィス家を擁するこの街に恩を返す。

 エルヴィス家が治める領地に恩を返す。

 エルヴィス家が所属する王国に恩を返す。

 ・・・王国の荒廃は私にとっては優先順位がそれほど高くないのです。」

「それは・・・エルヴィス家の者としては嬉しいのですが・・・」

スミスは困惑する。

「うむ。タケオの忠勤を嬉しく思うの。」

「まだ何も返していませんがね。」

武雄は苦笑する。

「それに、どう説明するのですか?スミス坊ちゃん?」

「え?どうって、今のタケオ様の説明通りにですが?」

「・・・銃の価値がわからないのに?」

「あ・・・そうですね。」

「『こんな物に臆するのか?』と王都で笑いものにされますよ。

 エルヴィス家の家名を落としかねません。

 なので、今は報告しないでおきましょう。」

「はい。」

「うむ。フレデリックはどう思うかの?」

「はい。タケオ様のご説明はもっともです。

 この銃の脅威は、ここにいる皆はタケオ様の説明で認識しています。

 私も今は報告する時期ではないと思います。」

「うむ。わしも報告をするつもりはない。」

「「「「はい。」」」」

と皆は返事をする。


「ちなみにまだ私の不安部分を説明していませんでしたね。」

「ん?この銃が大量に配備された可能性があるというのではないのかの?」

「ええ、そんなことではないですね。」

「そんなことって・・・」

アリスは呆れる。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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