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第42話 プリン試食会と今日の武雄。

武雄は、厨房から客間に向けてプリンを運んでいる。

ハチミツを使ったので少し味に癖があったが、食べて貰った皆には好評だった。

・・・スイーツ担当は泣いていたが・・・気にしないでおく。

ちなみに料理長からは、今後は厨房と食材を好きに使って良いと満面の笑みで言われた。


------------------------

客間のドアを武雄はノックする。

中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認し扉を開け入室する。

中にはエルヴィス爺さんとアリス、スミス、フレデリックがいた。

「失礼します。」

と武雄はプリンが載った盆を持って入る。

皆、武雄が作るお菓子を待っていたようで、前のめり状態だ。

皆の前にプリンを置き、武雄は席に着く。

「出来ましたので持ってきました。」

「うむ、ご苦労。

 食べても良いかの?」

「構いませんよ。」

武雄の「かま」辺りから皆が食べ始める。

どんだけ楽しみだったんだ・・・

エルヴィス爺さんとスミスは満面の笑顔で一心不乱に食べている。

アリスは一口食べると武雄を見て、目をこれでもかと見開き驚いている。

アリスお嬢様・・・ただでさえ目が大きいのにそんなに見開くと目が落ちますよ?と武雄は思う。

フレデリックは「ほぉ」と頷きながら食べている。

「お気に召しましたか?」

「「「「・・・」」」」

皆、無言でコクコクと頷くだけだった。

「皆さんのその顔を見れただけで満足です。」

と武雄は微笑む。


皆が食べ終わり、フレデリックがお茶を皆に出していた。

「幸せじゃったの。」

エルヴィス爺さんは、幸せそうな顔をしながら言う。

「どうでした?ハチミツを使ったので味に癖が出てしまいましたが。」

「え?タケオ様はあれでは満足しないのですか?」

スミスは言う。

「いえ、皆さんを笑顔にしたと言う意味では大満足ですよ、スミス坊っちゃん。

 ただ、私はプリンを作りたかったのです。」

「ええ。コレがそうなのでしょう?」

「いえ、これはハチミツプリンです。

 私が知るプリンは砂糖を使うので、食べた後の後味があっさりします。」

「えええ・・・あっさりよりも今回の方が良さそうです。」

スミスは想像してみて、そんな感想を言う。

エルヴィス爺さんとアリスも頷く。

「はは。確かにプリン単体で食べるならハチミツプリンの方が人気になるでしょう。」

「タケオ様はプリンの方が利用価値があると?」

フレデリックが聞いてくる。

「ええ。例えばジャムを乗せようと考えた時に、ベースとなるプリンがハチミツ味だった場合、乗せる種類を限定される恐れがあります。

 食材とは本当に不思議で、単体では味があっさりしている方が、トッピングや味付けで、無数のバリエーションが出来る可能性を秘めていることが多いと思います。」

「言っている意味はわかるのですが、今はさっき食べたプリンが最高です!他のプリンを想像できません!」

アリスは幸せそうに断言する。

「そんなに幸せそうな顔をされると嬉しいですね。

 では、また機会があったら作りましょう。」

「絶対ですよ!」

アリスは顔をキラキラさせながら「期待しています」という顔をする。


------------------------

「さて、アリスから今日のタケオの報告でもしてもらおうかの。」

「はいはい。では、まず仕立て屋からですが、

 総発注数は最大で900。我が家からは売値の2割程度の補助金と支払いは3年間でとの伝達をしました。

 また、階級章と所属章は、魔法具商店にて作成することも伝えています。

 どちらも向こうは了承した感がありましたね。

 タケオ様のスーツも二人分のトレンチコートも明後日の昼過ぎに出来上がります。

 あと、受け取りの際にコートの暫定価格と納期の打ち合わせをすると伝えています。」

「うむ。納期か・・・タケオはどう考えるのじゃ?」

「現状のあの店の人数で出来る仕立ての数は、いくら採寸をしないで4種類しか作らないと言っても

 月に30着が限度ではないでしょうか?」

「うむ・・・皆に行きわたるまで3年はかかりそうだの・・・」

「ええ。納期の打ち合わせで、あの店がどこまで本気かわかるでしょうね。」

「ちなみにタケオ様。希望でいいのですが、将来は月いくつぐらいを目指していますか?」

フレデリックが聞いてくる。

「エルヴィス領の新兵が毎年50名くらいでしょうか?」

「だいたいそのぐらいですね。」

「・・・最低50着。欲を言えば、月80着は出来る能力が欲しいですよね。

 それを維持するためにはエルヴィス領と同じ規模の軍7つくらいから引き合いを貰わないといけないですね・・・」

そのくらいの規模に出来るのだろうか・・・武雄は悩む。

とりあえず、エルヴィス家はOKとして2年間の雇用は何とかなるだろう。

しかし、その後あの仕立て屋の人達を路頭に迷わす訳にはいかないと思った。


「うむ。月々の納入数と販売価格は金3枚を上限にタケオに一任する。

 仕立て屋とタケオの契約書には、わしも連署するからの。

 契約書の最終素案を持ち帰ってきてくれるかの?」

「わかりました。」

武雄は気を取り直し、まずはこの契約をまとめないといけないと思うことにした。


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「魔法具商店では、階級章と所属章、そしてネームタグを作成してもらうことになりました。」

「こちらが各襟章の見積もりです。」

と武雄は見積もりを机に置く。

「うむ。・・・予算の範囲内かの?」

とエルヴィス爺さんは見積もりを見て、フレデリックに聞く。

「ええ、想定内です。」

とフレデリックは言う。

「うむ。タケオ、これも兵士に買わせるのかの?」

「いえ。襟章とネームタグは、あくまでエルヴィス家が与えるべきでしょう。退官する際は所属章のみを返納で良いかと。」

「うむ・・・タケオの仕様で問題ないじゃろ。

各階級章は50個ずつ頼むので、こちらも契約の最終素案を作ってもらってくれ。」

「わかりました。」

と武雄は頷く。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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