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第41話 プリンを作ろう。

武雄はフレデリックに連れられ、厨房に向かっていた。

アリスも付いてきている。

「ここが屋敷の厨房になります。」

と、少し大きめの厨房があった。

意外と屋敷の真ん中ら辺にあったのには驚いた。

「えーっと・・・」

とフレデリックが人を探す。

フレデリックと目線が合ったのか、とある人物がやってくる。

「おぉ、フレデリックか。もうすぐ夕飯だぞ。」

と声をかけてきた。

「さすがはジョージ。時間通りですね。

 ところで、タケオ様、こちらはエルヴィス家の調理長ジョージと言います。

 ジョージ、こちらがタケオ様です。報告はいっておりますね?」

「タケオ・キタミザトと言います。

 タケオで構いません。

 紆余曲折ありましたが、ご厄介になることになりました。

 立場はアリスお嬢様の部下となります。

 よろしくお願いします。」

「あぁ、俺はジョージ・グレンヴィルと言う。

 料理長と言ってくれれば通るからそれでよろしく。

 で、どうしたんだ?

 飯ならもう少しだぞ?」

「そうなのですが、実は・・・」

「フレデリックさん、私が説明します。

 料理長、プリンと言う物を作らせていただきたいのです。」

「ほぉ、聞いたことないな。

 それはメインディシュになるのか?」

「いえ、お菓子になりますので、食後のティータイムや来客時に出せるかと。」

「うん、そういう新しい物はどんどん作るべきだ。かまわないぞ。

 食材は何を使う?どのくらい必要だ?」

「使うのは、卵と砂糖と牛乳です。陶器の器はどのくらいありますか?

 できれば、この屋敷の皆にも食べて欲しいのですが。」

「んー・・・卵も高価だが数は何とか足りるだろう。

 ただ、砂糖が今、あまり在庫がないんだ。代えになる物は何かないか?」

「そうですね・・・ハチミツはありますか?」

「それなら結構あるな。

 陶器の器も小さい物が数は揃っている。他にはあるか?」

「フライパンか蒸す物はありますか?」

「蒸す物はないな。」

「では、フライパンとそれにふたが出来る板を用意してください。

 それと・・・」

と武雄と料理長は打ち合わせをしていく。

料理長は武雄が指定する物を部下たちに指示を出し、食材から容器、かまどの手配をしていく。

「アリスお嬢様とフレデリックさんは、一旦客間に戻ってください。

 ティータイムまでには出来上がるので、夕飯も先にお願いします。」

「畏まりました。」

「ここで見ていたいですが、邪魔な様ですし・・・退散しますわ。」

と二人は厨房を去っていった。


「ご無理を言ってすみません。」

二人を武雄は見送り、料理長に言う。

「構わんよ。新しい物は何でも試作するべきだ。

 そして淘汰していけばもっと美味しい物が作れるからな。」

「失敗したら全額私に請求を回してください。

 分割で返していきますから。」

「ふ、その時は半分は俺が肩代わりしてやる。安心しろ。」

「すみません。」

「ちなみにだな、タケオ。お前は料理について、どう思う。」

「すっごく漠然とした質問過ぎて答え辛いですね。

 ですが、そうですね・・・」

と回りを見てみる。

食事の手配もあと少しで終わるのだろう。

手の空いた料理人もこちらの言葉を聞こうとしている。


「料理とは、魔法ですね。」

「ほぉ。その意図はなんだ?」

料理長は感心した様に言う。

「魔法と言うのは戦力として見られています。

 ですので、魔法を使える=戦力として言うのなら食事も戦力であり魔法です。

 確かに人を救ったり、街を救ったり、敵を倒したりと言ったことはできません。

 しかし、食事には人々を笑顔にする力があります。

 こんな素晴らしい魔法はありません。」

その言葉を聞き、料理長は頷く。


「・・・私はね、料理長。

 料理の腕がどんなに良くても、どんなに高級な食材を使用しても、食べる人が笑顔にならないのなら、そこに価値はないと思います。

 それに食材がそこにあり指定された内容の料理をただただ作る人を料理人とは言えないと思います。

 真の料理人とは、どんな状況下でも、食事で人々を笑顔に変える力を持った人のことだと思います。

 ここに集まっているのは、この街でトップクラスの料理が上手い人達です。


 ・・・皆さん、初めて作った料理はなんでしょうか。

 美味しかったですか?調理に失敗してしまいましたか?

 でも、貴方が一生懸命に作り、料理を出した相手はとても喜んでいませんでしたか?

 その笑顔の為にさらに美味しい物を・・・と思っていたのではないですか?

 その初心を忘れない方が料理人になりうるのではないですか?

 なので私は、料理人は魔法使いなのだと思います。」


改めて周りを見ると。料理長は腕を組んで目を閉じて聞いていた。

周りの皆も手を止めて聞いている。

アレ?・・・失敗した?と武雄は内心冷や汗をかく。

しばらくして、

「うん。そのとおりだ。」

と料理長は武雄の背を叩く。・・・痛いんですが・・・

「ふふ、良い演説を聞いた気がするぞ。」

「演説をしたつもりはありませんが?自分の内心を言っただけです。」

と武雄は言うが料理長は聞いていない。


「じゃ、そのプリンとやらを作るか。

 タケオ、我々を笑顔にできるか?」

「はは。お気に召してくれればいいのですがね。」

とプリンを作り始めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 良い話だけどこの場面ではくどいように感じました。
[気になる点] 炊き出しでは人や街は救えませんか?? 栄養のある料理で力をつけるのは戦いの 役には立ちませんか??
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