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第416話 ステノ工房の決断2と異邦人との話。

「なるほどね。」

ステノ工房のフリップが言った事は先の2工房から言われていた事と同じだった。

つまりは小銃や懐中時計を作った事が嫌がらせの始まりだという主張なのだ。

ただ・・・武雄はそこで少し違和感を覚える。

嫌がらせが始まったのが小銃を町の武官を経由して魔法師組合の研究所に売り込んだ後。

で、立退料を出すから出て行けと毎日のように来訪され言われていた。

毎日来られて客数が激減し、運営資金が段々無くなり赤字になる前に立ち退いた。

・・・小銃を目の敵にされたわけでは無く、ただ立ち退かせただけなのでは?武雄は根底から考えを改める必要があるように感じていた。

「・・・シントロンさん、ビセンテさん。

 あの町はアナタ達が立ち退いた後どうなるんでしょうね?

 何か言われていましたか?」

武雄はアレホに聞く。

「キタミザト様。

 第3皇女殿下もお亡くなりまして・・・あの町の後ろ盾がなくなりました。

 それに伴ってあの町は大規模再開発をすると発表されました。

 立ち退きの嫌がらせは第4皇子殿下が跡継ぎに決まってから始まりましたね。

 それに新しい商品を開発する事を禁止する事と数社の合併を奨励されていました。」

アレホが言ってくる。

「そうですか・・・」

武雄はさらに考える。

やはり再開発があっての立ち退きだったのでは?と。

それに嫌がらせだけなら立退料は出て来ないと武雄は思う。

「・・・ちなみにフリップさんの工房は規模的にあの町で何番目だったのですか?」

「自分で言うのも何ですが・・・あの町で一番の規模を持っていましたし、他地域にも名が通っていたと考えています。」

フリップが難しい顔をして答える。

「・・・そうですか。

 まぁ他国の事にあれこれ意見は差し込む事べきではないでしょう。

 連れていく事も自体は構いません。

 ですが・・・他の2工房と同じ私が住んで居る街に住むことが条件です。

 良い腕の職人を他の街に行かせるわけにはいきませんからね。

 シントロンさんとビセンテさんのお2方には言っていますが、出来れば2工房と協力して小銃と懐中時計を作ってください。」

「はい、それも構いません。

 2工房と協力し、懐中時計と小銃を作らせて貰います。」

フリップが返事をする。

「良いでしょう。

 私からの依頼は懐中時計を月最低20個作る事と小銃と弾丸の製造依頼です。

 住居の紹介までは私が責任を持って手配をしましょう。

 物を作れば買い手があるなどと楽な事は考えず、努力を惜しまず、品質を高め、新たな発想を常にしなければこの産業は廃れるでしょう。

 人員は紹介できるでしょうが、その人物たちを説き伏せるのは私ではありません。

 アナタ方2人で説き伏せなさい。」

「わかりました。」

フリップが答える。

「それと私の事はこの場では何も言えません。

 国境を越えてから改めて自己紹介はさせてもらいます。」

「はい。」

「ちなみにですが・・・小銃と懐中時計と小太刀・・・誰が発案しましたか?」

武雄はしれっと聞く。

「「え・・・」」

フリップとスズネが武雄の質問に固まる。

アレホもボリバルも固唾を飲んで見守る。

マイヤー達も何も言わずにフリップ達を見ている。

「言えませんか?」

武雄が真顔で聞いてくる。

「・・・私です。」

スズネが声を上げる。

「スズネ!」

フリップが声を荒らげる。

「いえ、親方!ちゃんと言うべきです!

 キタミザト様、小銃も懐中時計も小太刀も私が皆に伝えました!

 ですが、実質的な構造設計や組み立ては各工房の職人が考え出しています!」

「そうですか・・・

 スズネさん・・・でしたね?」

「はい!」

「ふむ・・・スズネさん。

 東京タワーって綺麗だと思いませんか?」

武雄はにこやかに質問をする。

「え?・・・なんで東京タワーを知って・・・」

スズネは驚きで固まる。

他の皆は「何の事?」と不思議がる。

「スズネさん、少し2人で話をしましょうか。」

武雄はスズネを誘い皆から離れるのだった。

・・・

・・

「さて、ここまでくれば話し声は聞こえないでしょう。」

「その・・・キタミザト様。

 アナタは・・・その誰ですか?」

「まぁ、そういう質問しかできないでしょうね。」

武雄は苦笑する。

北見里キタミザト 武雄タケオです。」

と武雄が手を出す。

「あ・・・滝野タキノ 鈴音スズネです。」

鈴音は武雄の手を握り握手をする。

「ふふ、座りましょうか?」

「はい。」

武雄と鈴音は向かい合って座りお互いの事を話しだすのだった。


------------------------

「・・・2人は何の話をしているんでしょうね?」

「さて・・・スズネがあんなに自己主張するのは珍しいんだがな・・・」

アレホがフリップに聞くがフリップが渋い顔をしながら答える。

「あの発想力はかなり魅力的だからなぁ。

 いろいろ聞きたいんだろうの。」

ボリバルが呟く。

「まぁ・・・キタミザト殿ならいろいろ聞き出すでしょうね。」

マイヤーが呟く。

「・・・あの女性を口説くとかあり得ますかね?」

バートが聞くが。

「・・・アリス殿が居るのにできると思うか?」

「・・・無理ですね。」

アーキンが答えバートもそれには同意する。

「大丈夫だろう。キタミザト殿はその辺はしっかりとしていそうだし。」

マイヤーがそう呟くが「大丈夫だよね?王都壊滅とかないよね?」と若干、心配になるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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