第409話 アンダーセン達に手紙が届く。アリスのバイト終了。
学院長室でトレーシーとアンダーセンがソファに座りながらマイヤーからの手紙を読んでいる。
「・・・アンダーセン、どう思う?」
「手紙の内容のままだろう。
盾の資料を用意する事とアズパール王国、ウィリプ連合国、カトランダ帝国で使われている平均的な盾を購入出来るかの確認と盾の試験方法を考案する事だな。」
「そうだね。
まずは既存の盾の性能評価をすると見た方が良いかもね。
で基準を作ってそれと比較して盾の性能を評価するのかな?」
「あぁ、そう言えばキタミザト殿はフルプレートに使われている鉄板の厚さでは小銃の攻撃では貫通しないと言っていたよな?」
「言っていたね。
軽くて丈夫な盾が出来れば良いとも言っていたんだよね。
普通に考えれば鉄板1枚の盾を作るのだろうけど・・・
そんな物でキタミザト殿が納得するのかなぁ?」
トレーシーが頭を捻る。
「わからんなぁ・・・キタミザト殿が求める性能が・・・
どうした物か・・・」
アンダーセンが悩む。
「とりあえず、その評価基準を考えるのがアンダーセンの宿題なんだね。」
「まぁ、そうだな。
あとは他国の盾の入手か・・・場所が書かれているが・・・
トレーシー、この店わかるか?」
「・・・さて?この住所の所に武具屋があったかなぁ・・・」
「だよな。ここに武具屋があるイメージがないんだよ。
トレーシー、この後は暇か?」
「んー・・・明日から1週間くらいはゴタゴタしてるね。求人票の貼り出しやその面接と各求人先への報告書作成があるからなぁ。
・・・今日の9時課の鐘までなら平気かな?」
「そうか。飯を食いに行きながら店に行ってみるか。」
「わかったよ。」
アンダーセン達が行動を開始するのだった。
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「終わった・・・」
「きゅ・・・」
アリスとクゥが机に突っ伏しながら呟く。
何事も無くイベントは無事終了。
「皆さま、お疲れ様でございました。」
店長が皆を労う。
「お客さんの反応はどうだったかしら?」
レイラが店長に聞く。
「最高でした。
前回のアリス様の伝記が発売された時以来の人混みでしたね。
これからも定期的に実施して欲しいくらいですが・・・
それは止めておきましょう。」
店長が顔をホクホクさせながら言う。
「サインは数が少ないから価値があるわよね・・・
毎回出来ないか。」
「はい、数が少ないほど希少価値があると思います。
このようなイベントは発売記念という特別感がないと出来ませんし。」
「そうね。」
レイラが頷く。
「レイラ殿下、また次回作を楽しみにしております。」
「店長も気が早いわね。
まだ第2弾が発売されたばかりよ?」
「いえいえ、販売が開始されましたので私共の作業的には一旦終了です。
次の売れる物を探さないといけません。レイラ殿下の本は売れ行きが良いので期待をしてしまいます。」
「そう・・・でもまだまだ先かな?
まだ何も題材がないからね。
と、じゃあ、後は任せます。
アリス、クゥ殿、美味しい物を食べに行きましょうか。」
「はい。」
「きゅ。」
レイラ達一行が本屋を後にするのだった。
・・
・
「あぁ!サインをあんなにいっぱいすると肩が凝るわね!」
本屋の裏口から出たレイラが肩を回しながら言う。
「レイラお姉様、今日の小遣い稼ぎはどうなのですか?」
アリスはクゥを抱きながらジト目で聞いてくる。
「話題作りよ。今日のお小遣いは微々たる物だわ。
これからの売れ行きが私の本当のお小遣いなのよ。
アリス、クゥ殿、何でも食べて良いわよ。」
レイラが楽しそうに言う。
「クゥちゃん何を食べたいですか?」
「きゅ?・・・きゅ?」
何を食べようかと思案したクゥだが、顔を上げて通りの方に向かって鳴く。
「ん?クゥちゃん、何かありましたか?」
「きゅ、きゅ。」
クゥが腕を伸ばして通りの方向を示す。
「とりあえず通りに出ましょうか。」
「そうね。」
アリス達がのんびりと通りに出ると。
「きゅ!」
クゥが少し大きめに鳴く。
周りの人達がアリス達を見るが、何事もないとわかると歩き始める。
だが、見知った2人がアリス達を発見し近寄って来る。
「レイラ殿下、アリス殿、どうしてこちらに?
クゥ殿が鳴いていましたが、何かありましたか?」
アンダーセンが声をかける。
トレーシーも目礼をしてくる。
「いえ、何も・・・たぶんクゥちゃんがお2人の気配でも感じたから鳴いたのでしょう。」
「きゅ。」
クゥがアリスの言葉に頷く。
「私達は本屋から出てきて今からお昼です。
第三魔法分隊長と学院長は?」
「はい、我々も昼食を。その後にキタミザト殿からの指示で武具屋を探そうかと。」
「タケオ様から?」
「はい。マイヤー殿から手紙が着まして、何でもアリス殿達が王都に着いた際に行った武具屋に行って依頼をする事とあったのです。
ですが・・・指定された住所に武具屋があった記憶がなくてですね。
探しに行かないといけないかと。」
「あぁ、あのお店ですね。
正確な場所は覚えていませんが、店先まで行けばわかります。
レイラお姉様、お2人と昼食を食べませんか?
その後一緒に武具屋に行こうかと思うのですけど。」
アリスがレイラに聞く。
「私の用事は終わったから構わないわよ。
第三魔法分隊長と学院長はそれで良いの?」
「「はい。」」
アンダーセンとトレーシーが答える。
「そう。じゃあアリス、とりあえずお昼を取りましょうか?」
「ですね。」
アリス達が昼食の場所を探すのだった。
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