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第402話 アズパール王国に魔王国からの手紙。

アズパール王の書斎にてアズパール王とウィリアム達第3皇子一家とアリスの5名がお茶をしている。

「毎日来てくれぬか?」

アズパール王が皆に懇願する。

「・・・流石にそれは面倒ですね。」

ウィリアムが呟く。

「お義父さま、そこまで休みがないのですか?」

レイラが聞いてくる。

「ない・・・この間の貴族2家の追放から3家の爵位を剥奪と新貴族として7家の創設・・・

 なんでこんなに認可する書類が出てくるんだろうな?

 ついでに言えばウィリアム関係の土地改造着手許可書だの兵舎の増築許可書だの・・・

 あ、アルマ、レイラ、屋敷の間取りを早く決めてくれ。裁可の期限がもうすぐだ。」

「あ・・・まだかかりますね。」

アルマが苦笑する。

「アルマお姉様、レイラお姉様、まだ決めていなかったのですか?」

「う・・・ちゃんとアリス達の部屋は増やしたわよ?」

レイラが苦笑しながら言ってくる。

「それで?」

アリスが目を細めて聞いてくる。

「いや・・・決めたと思ったんだけど・・・」

アルマが口ごもる。

「僕がね・・・子供部屋が少ない事に気が付いてね。」

ウィリアムが苦笑する。

「3部屋か4部屋か・・・迷っていて。」

「3部屋あれば十分だろう?」

アズパール王が即決する。

「いや、お義父さま!これは重要な問題なんです!」

アルマが食って掛かる。

「・・・何がだ?」

「だって2人ずつ産んだら4人目はどうするのですか?」

「じゃあ、4部屋にすれば良いだろう?」

「片方が2人でもう片方が1人だった場合、1人だった方に対して嫌味になります!」

「・・・だったら6部屋作れば済む問題だろう?」

アズパール王がため息交じりに言う。

「そんな広さはありません!」

「・・・早く決めてくれ・・・」

アズパール王がガックリとする。

「ウィリアム殿下的には何人欲しいのですか?」

アリスがウィリアムに聞いてくる。

「ん?僕かい?

 アルマやレイラではなく?」

「はい、お姉様方に聞いても埒が明かなそうですので。」

「そうだね・・・男2名と女の子1名は欲しいかなぁ。」

「え!?そうだったの!?」

レイラが驚く。

「ウィリアムはその辺を言わないから気にしないかと思っていたわ!?」

アルマも驚く。

「そう言うアリスはタケオさんとの間に何人欲しいんだい?」

ウィリアムが妻たちを無視して楽しそうにアリスに聞く。

「私ですか・・・何人でも良いですが女の子は最低1人は欲しいですかね。」

アリスが考えながら言う。

「いや・・・アリス、タケオも貴族になるのだから男子を生まなくては存続できんぞ?」

アズパール王が言ってくる。

「・・・男子1の女の子2ですかねぇ・・・まぁ何人でも良いのですけど。

 タケオさんが居れば楽しい家庭が築けそうですし。」

「ねぇアリス、女の子が生まれたらうちの男の子に嫁いでみない?」

レイラが言ってくる。

「ん?まだ生まれてもいないのに許婚を作るのですか?

 レイラお姉様、気が早いですよ。」

「いや・・・だってタケオさんが教育するんでしょ?

 あの知識の一端を持った子供なんて超有望だわ。」

「む・・・そう言われるとそうだな。

 アリス、王家にも1人お願いするぞ。」

アズパール王も楽しそうに言う。

「あの陛下・・・ですからまだ1人も生まれていないのですけど・・・」

アリスは苦笑を返すしか出来ない。

「はは、アリス達は子沢山を目指さないといけないね。」

ウィリアムが楽しそうに言う。

「はぁ・・・それは生まれてから考えます。」

アリスはこの話を打ち切る。

と、アズパール王の書斎の扉がノックされる。

「構わぬ。」

「失礼いたします。」

書斎の前に居る警備兵と執事が入って来る。

「失礼いたします。

 陛下、アリス殿、エルヴィス伯爵より書簡が参っております。」

「うむ、ご苦労。」

「は!こちらになります。

 では、失礼いたします。」

アズパール王が書簡を受け取ると警備兵と執事が退出していく。

・・

「こっちがアリス宛だな。」

アズパール王がアリスに書簡を渡す。

「陛下、ありがとうございます。」

2人は同時に中を見る。

「アリスの方は何と書いてある?」

「はい。

 『ファロン伯爵家の爵位剥奪とファロン子爵家の創設がされた』という魔王国からの通告書とお爺様が向こうの商人から街の雰囲気や最近の面白い事を聞いている手紙ですね。」

「うむ、我にも同じ物が来ておるの。

 そうか・・・ファロン伯爵が居なくなったか。

 この魔王国の書簡は文官に渡しておこう。

 エルヴィス伯爵のは我が持っておくか。」

「父上、会った事が?」

「ないな・・・だが、長年エルヴィス領と対峙している魔王国貴族だ。

 確か・・・我の父の頃から貴族だった者だな。

 施政者として領民に慕われているらしい。」

「そうですか。」

「だが・・・街の者からの報告では雲隠れとあるのだな・・・

 ・・・陰謀か?」

「そうですね。

 この後を継いだファロン子爵が手を出したと思えなくもないですが・・・」

アリスは読んでいる手紙をウィリアムに渡し、アルマもレイラも覗き込んで見ている。

「うむ、だが・・・他国の事だ。

 そんなことを言ったらカトランダ帝国はもっとドロドロしていそうだしな。

 うちは息子達が仲が良くて助かっておる。

 こんな跡目相続のような面倒な事で悩みたくはないからな。」

「まったくですね。

 なんで兄弟で仲良く出来ないのですかね?」

ウィリアムが呟く。

「それはクリフ殿下が長男として次期王として頑張っているのを皆が知っているからでは?」

アリスが言う。

「まぁそうだし、僕もニール兄上も王位に興味がないしなぁ。」

「いや、それもそれで問題なんだが・・・」

アズパール王が呆れる。

「でもウィリアムも一度は王として権勢を振るってみたいと思った事はあるでしょう?」

「・・・ないかなぁ。」

アルマが聞いてくるがウィリアムが軽く考えながら言う。

「ないの?」

レイラも聞いてくる。

「うん。ほら僕の場合、物心ついた時にはクリフ兄上が成人していたし・・・寄宿舎の時には結婚をしてたしね・・・

 この兄が次期王だと元々思っていたからね。

 自分が王になろうとは思ったことがないよ。」

「ふーん、そうなのかぁ。

 男兄弟だと大変なのかなぁ。

 うちは3姉妹の下にスミスでしょ?

 跡目の事なんてこれっぽちも考えたことがないのよ。」

レイラが呟く。

「ですね。

 ジェシーお姉様もレイラお姉様もその辺はスミスの教育を頑張れば良いぐらいに思っていましたよね。」

「ねぇ?まぁ途中で私達はアリスにスミスの教育を任せて嫁いじゃったけどね。」

レイラが苦笑する。

「全くです。

 あの時は3日ぐらい悩みましたよ。どうやって教育しようかと。」

アリスがため息交じりに言う。

「3日程度で済んだのか?」

アズパール王が聞いてくる。

「はい。

 悩んだ結果、どうにかなるかなぁと悩むことを放棄しました。」

「うむ、逃げだな。」

「はい、逃げました。悩んでも結果なんて出ないので。

 書物を与えて騎士団長にお願いして武術を教えて貰ったりを繰り返したくらいですね。」

「まぁ、人の教育とはそういう物だろう。」

「で、あんなに真面目な弟が出来ちゃったと。」

レイラがため息を漏らす。

「ええ、真面目過ぎますよね。

 もう少し手を抜けばいいのに。」

アリスもため息を漏らす。

「何じゃ、真面目が悪いのか?」

アズパール王が聞いてくる。

「真面目過ぎるのも・・・タケオ様が居てくれるので今は良いのですが。」

「そうか。タケオはスミスの事を心配しているからな。

 この間の出立前の飲みでも言っていたな?」

「ええ、スミスの教育をどうするか。スミスの妻との関係をどうするか。

 まぁ最後はニール兄上が『うちのエイミーをどうか!』と売り込んでいましたね。」

「何でそこまでスミスが人気なんですかね?」

アリスが不思議がる。

「タケオにも言ったが、エイミーやグレースの年代は丁度、男子貴族があまりいないのだ。」

「あまりという事は居るのでしょう?」

レイラが聞いてくる。

「あぁ。だがスミスは他の息子達と訳が違ってな。

 寄宿舎卒業後すぐに当主になる手はずになっている。

 レイラもウィリアムもそこは知っているだろう?

 ニールもその辺はわかっているのだ。」

「「はい。」」

レイラとウィリアムが頷く。

「なのですぐに妃を選定する可能性がある。」

「あぁ・・・面子ですね。」

ウィリアムがため息を漏らす。

「面子?」

アルマが聞いてくる。

「王家から行くのに側室はない・・・というのが王都側の判断でな。

 他の貴族ならば結婚は先になるだろうとは思うのだが・・・

 スミスはすぐに誰かと結婚になる可能性があって王家から入れる場合、すぐに入れないといけないのだ。」

「大人の事情ですね。」

レイラがため息をつく。

「うむ。我は正室、側室は関係ないと思うのだが・・・

 文官内でうるさいのが多くてな。」

アズパール王もため息を付く。

「タケオ様も言っているとは思いますけど。

 私も本人達で決めれば良いと思っていますので何も言えません。」

「あぁ、基本的には本人達に任せるが・・・

 上手くいくかなぁ・・・」

アズパール王が心底心配そうな顔をするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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