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第396話 ミアの初任務・・・奴隷へ意見聴取。

武雄達が男性に声をかけたぐらいの頃。

男性のすぐ脇の路地でミア達が気配を潜めてしゃがんでいた。

「では、ミア殿、タマ殿、気を付けて。

 何かあればここに走って戻って来て来てください。

 一緒に逃走しますので。」

ブルックがミア達に声をかける。

「はい。」

「ニャ。」

チビッ子達が頷いてから行動を開始する。

アーキンとブルックは「あぁ・・・子供の初めてのお使い並みに心配だ」と気が気ではなかった。

・・

「主達は順調に話をしていますね。」

「ニャ。」


ミアの感覚で気配を感知はしているが、実は種族によって・・・もっと言えば個々によって気配の感じが違うのだ。

大まかに言えば、武雄やアリス達人間の気配は柔らかく感じているし、クゥは高圧的に感じているし、タマは水っぽく感じている。

言葉ではあまり言い表せないが、大まかな違い+αでミアはどんな種族が居るのかを感じているのだ。


「んー・・・この気配は絶対どこかで会った気がしますね。」

ミア悩みながら歩いていたら、路地の出口に着いてしまっていた。

「タマは通り側を、私を大勢から見えないようにしてください。壁沿いに行きますよ?」

「ニャ。」

タマが頷く。

ミアを隠しながら壁沿いをタマと一緒に移動を開始し、奴隷のすぐ後ろに着く。

「こんにちは。」

ミアが声をかけると奴隷の2人が驚きながら後ろを振り返って来る。

「ん?・・・やはりこの近くに居てもどこかで会った気がしますが・・・

 んー・・・どこででしょうか?」

「アナタは妖精?」

女性・・・女の子の方がボソボソッと声をかけてくる。

「はい、ミアです。よろしくお願いします。

 こっちはタマです。」

「ニャ。」

チビッ子2人が挨拶をする。

「妖精か・・・魔王国王城で1度会ったことがあったな。」

初老の男性もボソボソッと声をかけてくる。

「あぁ・・・では親と一緒に行った時ですかね?

 私も1回しか行った事がないですし・・・ん?・・・という事は・・・

 王城内で会えたという事はどこかの族長や代表ですか?」

「なぜこんなことになっているかはわからぬが・・・

 伯爵で領主だ・・・誰も信じてくれんがな・・・」

「まぁ・・・そうでしょうね。

 伯爵が奴隷になるなんて聞いたこともないです。

 あ、そうそう。今ここの主人と話しているのが、私の主です。」

「・・・アナタも奴隷?」

「いえ・・・部下ですね。

 美味しいものをたくさん頂いています。」

「そう・・・」

と武雄と奴隷商との会話が聞こえてくる。


「・・・月々の給料から購入金額を返済して貰って返済が終われば奴隷契約は解除したいんですけどね。」

「なるほどな・・・若旦那は優しいな・・・・」


「と、主は考えています。」

ミアは誇らしげに言ってくる。

「良いご主人様ね・・・」

女の子が悲壮感を漂わせながら言う。

「主からアナタ達の目的も聞いてくるように言われたのですが・・・何かありますか?」

「目的か・・・我は自由が欲しいな・・・」

「私も自由が欲しいですが・・・今は良い主と出逢いたいです。

 アナタのご主人様みたいな理解がある方に拾って貰いたいわ。」

「それは伝えましょう。

 ちなみに・・・主は魔王国に面している地域の伯爵様に仕えています。」

「「!?」」

2人は驚愕の顔をミアに向ける。

「ですが主達は自ら戦を仕掛ける気はありません。

 主の配下になったら勝手な行動はしないと誓えますか?

 また万が一、戦があった場合は同胞と戦えますか?

 それが守られるなら、主にアナタ達の買取を願ってみようと思いますけど。」

「・・・それは・・・」

女の子が困った顔をする。

「勝手な行動はしないとは誓える。

 だが・・・すまんが・・・戦えるかと問われたら、戦えるとは思うが・・・殺せないと思う。

 同胞を・・・領民を手に掛けることなど出来ない・・・

 妖精殿、お主はどうだ?」

「・・・敵に回るなら容赦なく。まぁ私達妖精は戦力にはならないので戦場にはいませんが。

 それに主達は侵略戦争は無意味と言っています。

 戦が起こるのは侵攻された時でしょう。

 仕掛けてきた敵は同胞だろうと敵です。」

ミアが真面目に答える。

「そう・・・強いわね。

 アナタのご主人様は強いの?」

女の子が聞いてくる。

「はい。主は間違いなく人間種でトップクラスです。

 料理も美味しいですし、それにご一家の皆様が私を家族のように扱ってくれます。

 ご一家の皆様は領民が笑っていることが自分たちの幸せだと思っているようですね。」

「良きご一家なのね。」

女の子が笑いを返す。

「おっと・・・話し過ぎました。

 では、主には先ほどのように伝えます。

 あ、最終確認ですけど。

 2人とも主の元に来る気はありますか?」

ミアが聞く。

「私は行ってみたいわ・・・今の私達にとって、自由になる条件を提示してくれるだけでもありがたいです。」

「そうだな・・・同胞や娘を殺すことが出来ないこと以外は全て飲んでも構わない。

 勝手な行動はしないとは誓おう。」

「わかりました。

 願わくば主が私の意見を聞き入れてくれることを、そしてアナタ達が先に売られないことを。

 では、タマ。行きますよ?」

「ニャ。」

ミアとタマがまた壁に沿って戻って行く。

「お父さま。」

「あぁ、後は運任せだな。」

奴隷の2人はミア達の気配が遠ざかるのを少し寂しく思いながらも、明日への希望が少し見え顔に生気が戻るのだった。


------------------------

「戻りましたー。」

「ニャー。」

チビッ子達が路地に入り挨拶をする。

「ミア殿、タマ殿、おかえりなさい。

 大丈夫でしたか?」

ブルックがミア達に声をかける。

アーキンは周囲を警戒している。

「はい、ちゃんと話を聞いてきました。」

「そうですか、そうですか。

 キタミザト殿に報告に行きましょう!」

と、ブルックがチビッ子2人を抱きかかえ、リュックに入れる。

「よろしくお願いします。」

「ニャ。」

チビッ子達は来た時と同じようにリュックの中でくつろぎながら言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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