第394話 町の表通りを見てみよう。と元皇族の旅。
武雄は人通りの多い表通りを歩きながらいろんな露店の商品を見ていた。
ちなみにミアは武雄の内ポケットで昼寝。
タマは武雄のリュックに潜り込んでいてリュックの上部の隙間から顔を出して周辺を見ていた。
「おや?」
武雄が露店で変な物を見つける。
「キタミザト殿、またですか?」
バートが呆れながら聞いてくる。
その言葉にフォレットが頷き、マイヤーとアーキン、ブルックが呆れながら苦笑している。
「ええ、またですよ~。
おじちゃん、コレ何ですか?」
「ん?あぁ、これは扇風機という物だな。
この突起に魔法師が手を当てながら風系の魔法を起こすと中の羽が回るのだよ」
「へぇ、面白いですね。コレください。」
「あいよ。」
武雄は銀1枚を渡し商品を受け取る。
「どうも。」
武雄は散策を続けるのだった。
・・
・
「キタミザト殿、さっきから何かガラクタを買っていますよね。
えーっと・・・今の扇風機?半自動干物製造機?人形のお茶置き?口の大きな水筒?犬小屋?
もう持てませんよ?
なぁ、バート?」
「無理です。買わないでください。」
アーキンとバートは荷物持ち状態です。
「面白い物があるから買っているだけなのに・・・
まぁ良いです。
じゃあ、それをうちに送る方法は何かありますかね?」
「キタミザト殿、送る方法を考えないで買っていたのですか?」
ブルックが呆れながら言ってくる。
「ええ、どうにかなるかなぁ?と思っていましたけど?」
武雄はしれっと言ってのける。
「はぁ、キタミザト殿。
冒険者組合の事務所に頼めば違う街の冒険者組合の事務所までは郵送してくれます。
ただし、料金はかかりますが。」
「なるほど。じゃあ、冒険者組合の事務所に行ってみましょうか。」
武雄達はとりあえずそこら辺の人に聞いて冒険者組合の事務所を目指すのだった。
・・
・
もう少しで冒険者組合の事務所という所で。
「次の左路地に入ります。」
武雄がマイヤー達にしか聞こえない音量で呟く。
皆は頷かないが目線で確認していく。
宣言通り次の左路地に入る。
そこは表通りから裏通りに繋がる建物が2軒分の長さの細路地で他の者が居なかった。
「ブルック、フォレット、向こう側を見張れ。
アーキン、バート、荷物を置いて表通り側を見張れ。」
マイヤーが4人に指示を出し、全員が配置について頷く。
「・・・キタミザト殿、平気です。」
マイヤーが路地の真ん中付近にいる武雄に聞いてくる。
「すみませんね。
で?ミア、どうしました?いきなり叩きだしましたが。」
武雄がコートの上着を少し開きポケットで寝ているはずのミアに声をかける。
「主!今何の前を通りましたか!?」
ミアが驚愕の表情で言ってくる。
「ん?普通に表通りの露天商が多くいる所を歩いていましたが・・・
何かありましたか?」
「主、かなり高位の魔物が2ついます。」
「え!?」
マイヤーが驚く。
他の4名も十分に驚いている。
「ふむ・・・高位ですか・・・
ミア的にはどのくらいですか?」
「・・・タマの母親以上です。クゥには及びませんが・・・
人間より絶対に上です。ここは人間の国なのですよね?
こんな高位の気配だと・・・魔王国の領主や種族長やその一族じゃないと醸し出せないと思います。」
ミアが真剣な表情で言ってくる。
「マイヤーさん、わかりましたか?
私はわかりませんでしたけど。」
「はい、私も・・・皆はどうだ?」
マイヤーが他4名に言うが皆が顔を振る。
「ふむ・・・」
武雄はアーキン達と表通りに近寄ると背中を通りに向けて立つ。
「ミア、どっちの方向ですか?
わかりますか?」
「主、こっちです。」
ミアが腕を伸ばして答える。
「アーキンさん、確認。」
「はい。」
とアーキンがミアが指した方向を確かめるように目を細め見る。
武雄はその間にさっきの位置に戻る。
「ちなみにタマ、何か居たかわかりましたか?」
武雄がタマに言うと。
「ニャ~?・・・ニャ?」
タマが首を傾げる。
「タマ的には同族系と似たような感じはしたが・・・あまりわからなかったと言っています。」
ミアが説明する。
「キタミザト殿、どう思いますか?」
マイヤーが聞いてくる。
「ミアは妖精です。それに元々ミアは周囲200mの気配の感知が出来るのです。
精々10mの通りでは魔力等を隠されていても敏感にわかってしまっても不思議ではないですよ。」
「キタミザト殿、ミア殿が指した先には両脇に4軒の露天商があります。
うち3軒は店先に小物類を置いています。あとの1軒は男性が1人おり店先には何も置かないでパイプをふかしています。」
アーキンが報告してくる。
「・・・ミアは魔物が2つと言いましたが・・・店先ではないのでしょうか・・・」
武雄は思案する。
「キタミザト殿、確認されますか?」
マイヤーが聞いてくる。
と若手4名も近寄って来る。
「それが良いでしょうね。
・・・バートさんとフォレットさんは荷物を持って先に冒険者組合の事務所に行っておいてください。」
「「はい。」」
2人が返事をする。
「確かもう一本手前にも路地がありました。
一度そちらからも確認するべきだと思います。」
ブルックがそう進言してくる。
「それで良いでしょう。
では、行動しますよ。」
武雄の言葉に皆が頷くのだった。
------------------------
「カサンドラ・・・これはどういった依頼なの?」
平民になったエリカが冒険者組合の事務所内の掲示板を見ながら同行者の女性に聞いてくる。
「エリカ様・・・それは薬草取りですね。
一応、私達はBランクなのですから・・・Dランクがする仕事をしてはいけません。
上位の者が下位の者の仕事を奪っていけませんよ。」
「そうなのですね・・・ふーん・・・
簡単そうな物をしてみたいと思ったんですけどね。」
「エリカ様、やってみたいと思う事は素晴らしい事だと思います。
・・・そう言えば餞別を貰ったそうですが・・・いくらだったのですか?
帝都で登録した際に一緒に魔法師組合に預けたのでしょう?」
「あれ?言いませんでしたか?
金貨3000枚ですよ。」
「・・・手切金としては十分ですね。」
カサンドラが渋い顔をする。
「まぁ・・・これからの帝国の政に関わらないという宣誓も父上の前でしたしね。
家族からのありがたい餞別を有効活用しましょう。
それに・・・越境許可書がね。
アズパール王国に行く前に1個くらいこの国の事がしたいわ。」
「・・・そうですか。」
「で、どれか私でも出来るのはあるのですかね?」
「さて・・・何か簡単な物はありますかね・・・」
そう言ってカサンドラも掲示板を見るのだった。
ここまで読んで下さりありがとうございます。