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第391話 エルヴィス邸に例の物到着。さっきの事をまとめよう。

エルヴィス邸でのマッタリな午後一・・・

「「うわぁぁぁぁ!!!鼻がぁ!!!!」」

厨房から複数の悲鳴が上がる。

「窓を開けろ!勝手口もだ!」

料理長が皆に指示を出している。

「・・・何ですこの匂いは?」

フレデリックが厨房に駆けつけ一言。

「う・・・フレデリック、来たか。」

「ジョージ・・・これは一体・・・この匂いは何ですか?」

フレデリックが来たので料理長がすごすごと近寄って来る。

「実はな・・・タケオからさっき荷物が届いたのだが。」

「はい、その報告は受けましたね。7つぐらいの陶器製のツボらしいですね。

 『開封厳禁』と書いてあったとか・・・まさか。」

「開けました・・・すみませんでした。」

料理長がフレデリックに深々と頭を下げて謝る。

「タケオ様がわざわざ『開封厳禁』と書くという事はそれだけでこうなると予想は出来ますけどね・・・」

「だがな・・・『新しい調味料の原料です』と書かれていてな・・・興味が・・・」

「まぁ・・・新しい食材なら興味はひきますね。

 で?中を見た感想はどうでした?」

「コレは発酵物という総称で呼ばれる物だな。」

「発酵物?コレは腐敗臭ではないのですね?」

「あぁ・・・似てはいるんだが・・・長年やっているとわかるんだよ。

 パンやチーズ、お茶を作る過程で同じような工程があってな。

 まぁ・・・ここまで匂いは酷くはないが・・・同種の香りだな。柔らかい感じがする。

 フレデリック、コレをどこか温度がほぼ一定の小屋に入れたいんだが・・・」

「ふむ・・・ワインの貯蔵室はどうです?」

「いや・・・止めた方が良い。全滅するぞ。」

「なるほど・・・確か薪小屋の2つ隣に小さめの物置がありましたね。

 あそこの中身を移動させますからソコに入れましょう。

 執事とメイド達に移動をさせます。」

「わかった、後で持って行くよ。

 あと、小さい小瓶で原液が一緒に来ているのだが・・・食べてみるか?

 タケオから調理方法が入っていたぞ。」

「では、何か軽めの物を作ってください。」

「わかった、後で呼ぶよ。」

「はい、ではまた後程来ます。」

フレデリックが厨房を後にするのだった。

「料理長、キタミザト様は何を作れと?」

調理人の1人が聞いてくる。

「ふむ・・・コレは魚醤というらしい。魚を塩漬けにして発酵させた物と書いてあるな。

 タケオ的には『癖が強いので魚介系スープの隠し味にどうぞ』との事だな。

 ・・・全員集合はしているな。

 皆で原液を舐めてみるか。」

料理長は皆を集め新しい調味料と試してみるのだった。


------------------------

武雄達はステノ工房近辺を見れる位置のカフェで早めの昼食を取っていた。

「・・・キタミザト殿、あのやり取りは何だったのですか?

 小銃がわからないフリまでして・・・」

マイヤーが昼食を取りながら言ってくる。

「ん?・・・それは後で良いでしょう。

 今は食事を楽しみましょう。」

武雄達はもくもくと食べるのだった。

・・

食器も下げられ、皆でティータイム。

「さて、さっきのヤツですが。

 いろいろ情報を垂れ流していましたね。」

「はい。」

マイヤーの言葉に皆が頷く。

「さて、簡単にヤツの話した情報をまとめましょう。」


≪情報≫

・ルイ・セイジョウ

・男性

・ウィリプ連合国在住 (出身は他国)

・小銃の基本操作方法を熟知

・ライフルスコープ(狙撃用照準器)付きの小銃を装備

・小太刀を知っている(小太刀を見て刀と言う)

・カトランダ帝国に入り指揮下4名に団長と呼ばれる

・部下が失敗したと言いながら小銃と弾丸を手に入れたと報告していた


「こんな感じですかね。」

皆が武雄の会話を振り返りながら各々でメモを取っている。

「キタミザト殿、ヤツの考察の前にキタミザト殿が使った偽名・・・ジョン・ドウとは何でしょうか。」

バートが聞いてくる。

「ん?・・何と言うか・・・まぁアレは広域な隠語なんですよ。」

「広域な隠語?」

ブルックが聞いてくる。

「ええ。ジョン・ドウとは私がいた所とは違う国で身元不明の者を意味する総称なんです。

 もっと言えば・・・身元不明の遺体の意味で使われる言葉なんですよ。

 まぁ余り知られてはいませんがね。国際情勢を知らないとわからない単語なんですよね。」

「なるほど・・・ヤツはその事を知っていたから『嫌な名前』と言った可能性があるという事ですね。」

バートが頷く。

「さて・・・それはどうだか・・・真偽はわかりかねますね。

 ですが、小銃の利点をわかっているという事は確かな情報ですね。

 そしてライフルスコープを持っていた。」

「さっきもまとめた時に言っていましたが、ライフルスコープとは何ですか?」

アーキンが聞いてくる。

「小銃専用の照準器です。

 そうですね・・・簡単に言うと狙った先の対象の大きさを何倍にも拡大して見せる物ですね。

 望遠鏡とかはわかりますか?」

武雄の質問に皆が首を振る。

「そうですか・・・ないのですね。

 まぁ見てみればわかりますよ。」

と武雄は皆にヤツから奪ったスコープを渡す。

皆が手に取りながら覗き込み「おぉ」と驚いている。

「それにしても運良く取れて良かったですね。」

「ええ。仕込みましたからね。」

武雄はマイヤーの指摘にしれっと答える。

「仕込む?・・・何をしたのですか?」

「小銃をいろいろ見ている時から渡すまでにネジ留めの端部に少しずつ『エレク』と『エクス』をかけていました。

 亀裂が入れば良いなぁと思いながらですけど。」

「上手くいって良かったですね。」

「ええ。まさかくれるとまでは思って居なかったですけどね。

 脅威だったので壊したかっただけですし。

 これで小銃はアズパール王国とカトランダ帝国、ウィリプ連合国の3国で認知され、最低でもアズパール王国とウィリプ連合国では拒否反応が低いとわかりましたね。」

武雄は苦笑しながら答える。

「はい。ですが、後から来た一団の言葉から弾丸と小銃をこの町のどこからか入手した・・・奪ってきたと考えられます。」

ブルックが言う。

「そうですね。

 団長か・・・普通に考えて越境は誰でも出来るのですか?」

「いえ、周辺3か国との条約で越境は国もしくは地方行政機関の許可した者とその随行員しか出来ない決まりです。

 少なくとも公には。」

フォレットが答える。

「ふむ・・・という事はあの一行はウィリプ連合国のどこかの兵団という事が考えられますが・・・

 普通他国で盗みをしますかね?」

「しないでしょうね。」

バートが答える。

「何と言うか・・・誰もしないと思っているから成功すると考えた天才なのか・・・ただの馬鹿者なのか・・・」

「「「「馬鹿者だと思います。」」」」

若手4名が返事をするのだった。

「・・・まぁ、実際にはわかりませんね。

 ところでキタミザト殿ならどうしますか?」

マイヤーが苦笑をしながら聞いてくる。

「何がですか?」

「いえ、ステノ工房がなくなっているのです。

 弾丸も小銃も手に入りません。

 もしこの町に保管されている物があった場合に何かしますか?」

「後々が面倒過ぎてやる気も起きません。

 それに現物が出来ているという事は真似ればいつかは出来る事です。

 時間はかかるでしょうが、こっそりと自力で開発をしていきますし。

 別に弾丸も小銃もないならないで違う事を考えれば良いので惜しくもありません。」

武雄は何とも思わないという顔でため息を付く。

「なるほど。

 この後はどうしますか。」

「そうですね。

 とりあえず他の工房を見ながら表通りを通り宿に帰りましょうか。

 当初の目的は終わりましたが、何か今後のヒントになる物があるかもしれません。」

「はい。」

武雄の言葉に皆が頷くのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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