第387話 男性陣と女性陣の事情聴取。
「ふぅ・・・行きましたね。」
マイヤーが武雄達が去って行った玄関を見ながら言う。
「マイヤー殿、外し終わりました。」
アーキンがマイヤーに言ってくる。
「ふむ、タマ殿。すみませんがよろしくお願いします。」
「ニャ。」
タマがやる気満々で頷く。
「アーキン、タマ殿を抱えてバートと一緒にまずは例の絵画を持って受付で説明してこい。
ダメでも強引に置いてこい。
私はここでミア殿と各部屋を確認していく。」
「わかりました。
えーっと、タマ殿?こちらに。」
「ニャ。」
タマはトコトコとアーキンに近寄る。
アーキンはそっと抱えながら「何!?この可愛いのは!?」と大事に抱えるのだった。
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武雄達は宿の近くの雑貨屋に来ていた。
「やはり女性はそういう配色を好むのですね。」
武雄はブルックとフォレットが楽しそうに選んでいるのを見ながら呟く。
「はい。キタミザト殿はどう思いますか?」
ブルックが聞いてくる。
「どうでしょうか・・・確かにピンク色や水色の花柄も良いのですが・・・
料理を置くと少し浮いてしまうかもしれませんね。
まぁ数日のみなので問題はないでしょうけども。」
「・・・ちなみにキタミザト殿、今日も食事を作るのですか?」
フォレットが聞いてくる。
「はい、そのつもりですよ。
ミアとタマがいますからね。
外食はできませんよ。」
「ん?ジョハンナ、昨日はキタミザト殿が夕飯を作ったの?」
「はい、全食キタミザト殿が作りました。」
「あら・・・それはすみません。
私達がしないといけないのでしょうけども・・・」
ブルックが武雄に謝って来る。
「あぁ、気にしなくて良いですよ。
今回の旅は私のわがままですので、私が作っているのです。
まぁ皆さんにご苦労をかけてしまっていますからね。」
「いえ、任務ですので、問題はありません。
・・・その本当に作っていただけるので?」
ブルックが若干期待している目をしながら聞いてくる。
「ええ、何か要望はありますか?
出来るだけ作りますよ?」
「何でも構いません。
そうか・・・あの王家の方々が絶賛する料理が食べられるのかぁ・・・
王都守備隊に入って良かった!!」
ブルックは楽しそうに言う。
武雄達は各食器や鍋やフライパンを選んで行くのだった。
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ミアとマイヤーが最後の部屋・・・湯浴み場を確認していた。
「ミア殿、ここも問題はないと思いますが。」
「はい、マイヤー様。私も違和感は感じません。」
と、タマ達が戻って来る。
実に4往復していた。
「マイヤー殿、戻りました。
最初は驚いていましたが、事情を聴いてすんなりと受け取っていました。
それにタマ殿の愛くるしさにメロメロでしたね。」
「お疲れ様です、こっちも確認は終わりました。
とりあえず違和感は無いようです。」
「はい、了解です。
アーキン、バート、キタミザト殿が戻るまでのんびりとお茶でもしましょう。」
「「はい。」」
男3人はお茶の用意をするのだった。
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「意外と多かったですね。」
武雄が3人が持っている量を見ながら言う。
「はい。6人分とミア殿とタマ殿・・・意外とありました。」
フォレットが答える。
「最小限にしたつもりなのですけどね。
意外と食器はかさばるのですね。」
ブルックが答える。
「そう言えば、2人とも今回の任務の副題は知っているのですか?」
武雄がしれっと質問をする。
「ん?
付き合うかどうか見定めること・・・でしょうか?
もっと言えば結婚できるかの確認でしたかね?」
ブルックが答える。
「え!?そうなのですか?」
「ん?ジョハンナ、知らないの?
・・・あれ?総長から言われなかった?」
ブルックが聞くがフォレットが首を振って答える。
「なるほどね。
で、どうでした?」
武雄が聞く。
「まぁ・・・私もこの歳なので多くは望みませんけど・・・
ギリギリ及第点でOKかなと。」
ブルックが答える。
「ほぉ、おめでとうございます。」
武雄が楽しそうに言う。
「はい・・・まぁもう少し付き合ってみて決めようかと思います。」
ブルックがハニカミながら答える。
「うん、それで良いのではないですか?
フォレットさんはどうでしたか?」
「え!?・・・その・・・私は・・・」
フォレットは顔を赤くしながらモジモジとする。
「ジョハンナ・・・アナタも子供じゃないんだからはっきり言いなさいよ。」
ブルックが呆れながら言ってくる。
「いえ・・・その・・・キタミザト殿、ブルックさん・・・他の人に言わないでください・・・
私・・・実は・・・昨日が初めてで・・・」
フォレットの言葉に武雄は「しまった・・・聞くんじゃなかった」と後悔をするのだった。
「そう、良かったわね。おめでとう。
で?どうするの?」
ブルックが冷静に受け答えをする。
「その・・・私達も一応付き合ってみようかと・・・」
フォレットが若干、照れながら俯き気味に話す。
「わかったわ。
キタミザト殿、その・・・他の隊員には内緒でお願いします。」
「・・・どの部分がと言うよりも全般的にその辺は言いませんよ。
まぁ・・・向こうでも今聞いていそうですけど。」
武雄の言葉にフォレットがピクッとする。
「キタミザト殿は何か言われていますか?」
ブルックが聞いてくる。
「お宅の総長さんから『4人を頼む!』と力強く言われたとマイヤーさんが言っていましたので、結婚を見定める旅にするのかな?と私とマイヤーさんは認識しています。」
「わかりました。
私もジョハンナも恋人が出来ましたが、任務に支障がないよう努めます。」
「はい、それで良いですよ。
任務に支障が出ないなら楽しんで頂いて結構です。
私やマイヤーさんはあまりに酷い場合は言いますが・・・女性にしかわからない事もあるでしょう。
ブルックさん。面倒かもしれませんが、フォレットさんの精神面のケアをお願いします。」
「キタミザト殿、ありがとうございます。
私が責任を持って管理します。」
ブルックが頭を下げる。と「ご面倒をおかけします。」とフォレットも頭を下げるのだった。
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「え?・・・フォレットは初めてだったのか?
と言うよりそもそもしろとは言っていないんだが・・・」
マイヤーが驚きながら聞き返す。
「はい・・・その流れで・・・
まさか初めてだとは思ってもいませんでした。」
バートがため息を付く・・・若干うな垂れていますね。
「それは・・・マイヤー殿、フォレットは第2騎士団時代から当時の小隊長との交際の噂がありましたよね?」
アーキンがマイヤーに聞いてくるが。
「・・・いや・・・俺の立場ではその辺は何も言えないが、ただうちは次年度採用候補兵全員の身辺調査をして幹部会で話し合うんだがな・・・資料に恋人なしとあったのは確かだな。」
マイヤーは口ではそう言うが「幹部会で分隊長達が『傷心で仕事を思いっきりする気になったのかな?』と言っていたし、元恋人欄に第2騎士団 第4小隊長の名前があったのも事実なんだよなぁ」と思うのだった。
「まぁ・・・とりあえず、アーキン、バート、おめでとう。」
「「はい。」」
「キタミザト殿には後ほど伝えておくが・・・
任務に支障が出ないように楽しんでくれ。
今回の任務はあくまでキタミザト殿の随行員だ。
戦闘があるとは思わないが・・・あまり気を緩めすぎるなよ。」
「わかっています。」
アーキンが答えバートも頷く。
と玄関が開錠され武雄達が入って来る。
「ただいま戻りました。」
「キタミザト殿、お疲れ様です。
これからどうしますか?」
「今日はマッタリで良いです。
夕飯後に少し打ち合わせをしましょう。」
「キタミザト殿、私達からも少し報告があります。」
ブルックが武雄に話す。
「わかりました。
アーキンさん、ブルックさんには夕食後に簡単に報告をしてもらいましょう。
さてと・・・とりあえず湯船にお湯を張りますから女性陣からお風呂にどうぞ。」
「「お風呂とは?」」
女性2人が首を傾げながら言ってくる。
「あぁ・・・湯あみ場にあるお湯を溜められる所にお湯をいっぱい入れますから浸かって良いですよ。
女性が終われば男性陣が入ってください。
お湯は少なかったら私が追加で入れますからね?」
「え!?キタミザト殿がお湯を持って来るのですか?
そんなことはさせられませんよ!」
ブルックが言う。
「ん?・・・あぁ私は魔法でお湯を作れますのでそれで溜めますよ。」
「えーっと・・・それは魔力がなくなってしまうのではないですか?」
アーキンが聞いてくる。
「さぁ?私はそもそも1回に使える魔力量が25ですけど・・・
魔力がなくなることがないので問題ないですよ。」
武雄がしれっと言う。
「・・・いやいや!何ですかそれは!?」
フォレットが少し考えたが詰め寄って来る。
「何です?と言われてもそういう仕様ですから・・・マイヤーさん、何て言えば良いのでしょうか?」
武雄は困り顔でマイヤーに助けを求める。
「さて・・・普通ならキタミザト殿の魔法適性では魔法師を諦めるんですけどね・・・
そうですね。
キタミザト殿、湯あみ場にお願いします。
私はこの4人に説明しておきます。」
「はいはい。」
武雄は説明が面倒そうなのでマイヤーに丸投げして湯あみ場に向かうのだった。
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