第37話 街の雑貨屋2。
武雄とアリスは、少し遅めの昼食を取り終わりカフェを出た。
「タケオ様、この後はどうしますか?」
「そうですね・・・
先ほどとは違う雑貨屋さんはありますか?」
「わかりました。そちらに行きましょう。」
とアリスは違うお店に向かった。
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先ほどとは違う雑貨屋さん、武雄の中では「雑貨屋2」に着く。
「タケオ様、ここが先ほどとは違う雑貨屋になります。」
二人で入店すると、店員が挨拶をしてくる。
「アリスお嬢様、いらっしゃいませ。」
「ええ。今日は、いろいろ見させてもらいます。」
と挨拶をする。
今回も武雄とアリスは、それぞれ適当に見て回ることにする。
今回の店は雰囲気が少し暗く、アンティーク系の小物が多かった。
武雄は先ほどの店では思いつかなかった物を探した。
ズバリ寝間着だ。
と言ってもどんなのがあるのか見当もつかない。
上下に分かれたのがあるのかツナギの様な物があるのか、はたまた・・・
すぐに寝間着を見つけることが出来た。
のだが・・・え?ネグリジェ?
思い悩む・・・病院服のイメージしかなかった。
・・・あとでアリスにも見て貰おうと保留にした。
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次に目指すのはタバコの代替品だ。
持っていたタバコが残りわずかになっていた。
タバコにもいろいろ種類がある。
紙巻きに葉巻、パイプに水パイプ・・・各国によって吸い方は違うのだが・・・
ここが中世のヨーロッパとするなら、やはりパイプか・・・
武雄は一般に出回っている紙巻きタバコしか吸ったことがなかった。
パイプも映画やゲームで見るくらい。
そんなのを吸えるのか・・・でも吸えるなら試しに買っても良いかな?と思っている。
と、パイプがいろいろ並んでいる棚を発見。
棚の全容を軽く見るも・・・わからん。
元々嗜好していなかったのだ、良し悪しはわからない。
とりあえず隅から見て行こうと思い、いろんな形のパイプを見ていると棚の最後に見たことがあるものが。
キセル(煙管)だ。
え?なんでここに??
時代劇でよく見かけるキセル。
扱い方は、落語でも出てくるくらいなので、ある程度は知っている。
コレにしようと店員を探すのだった。
「すみません。」
「はい、なんでしょう?」
男性店員に話しかける。
「タバコを買いたいのですが。」
「タバコ・・・とは?」
「あ・・・パイプですね。」
「あぁ、わかりました。」
と、武雄と店員は一緒にパイプが陳列されているところまで行く。
「初めてでして、どんな物が良いのか判断できないのです。」
「なるほど・・・では、初心者用のこちらはいかがですか?」
と漫画に出てくる様な小さなパイプを手渡してくる。
「これは、扱いやすいのですか?」
「ええ。」
「ちなみに、これだけ形が全く違うのですが?」
武雄は、キセルの方に目線を送る。
「あぁ、それは聞いたこともない国からの流入品です。
巡り巡ってここまできました。
説明書はあるのですが、こちらもパイプと同じだと書かれていますね。」
「詳しくはわからないのですか?」
「申し訳ないですが、私も問屋さんで見かけて格安でとのことで購入したので。
パイプをされる方も興味は示すのですが。・・・全く売れません。」
と店員は暗い顔をする。
「・・・これはいくらですか?」
「・・・買います?」
「検討中としましょうか。」
「そうですね・・・銅10枚でいかがでしょうか?」
・・・え?安くない?
「それは・・・安いですね。」
「仕入れ値ですから。」
「これは1個しか仕入れていませんか?」
何気なく武雄は聞く。予備も欲しいからなのだが。
「・・・いえ、実は5個あります。」
・・・押し付けられたのか・・・武雄はちょっと同情する。
「そうですね・・・まずは2個買いましょうか。」
「え!?本当ですか!?」
店員は驚く。そして嬉しそうだ。
「私はこれでパイプを始めてみようと思います。」
「そうだ。これ専用の携帯ケースもあったのでそれも付けます。」
と隣の引き出しからキセル入れを出してくる。
「他も見るので最後の会計の時に合わせて買います。
あと、葉を小箱に入れておいてください。
できれば刻んであるのがいいですが。」
「わかりました。準備しておきます。」
と店員はキセル2個とそれぞれの携帯ケースとタバコの葉と小箱を持ってカウンターに行く。
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武雄はアリスを探す。
アリスは小物入れを念入りに見ていた。
「アリスお嬢様、こちらでしたか。」
「あら、タケオ様、どうしました?」
「実はアリスお嬢様のアドバイスが欲しくて。
・・・そちらの小物入れを気に入られたのですか?」
「ええ、気に入ったというか気になるですね。」
・・・少し華美だが、何のことはない小物入れだ。
持ってみると見た目に似合わずかなり重かった。
「・・・なんだか変ですね。」
「タケオ様もそう思います?」
「ええ。見た目のサイズに似合わない重さをしています。」
箱を開けるも底が浅い小物入れだ。
・・・怪しい・・・
「買ってから考えましょうか。」
「そうですね。」
と購入を決めた。
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武雄はアリスを連れて寝間着売り場にいた。
アリスはキョロキョロしたり、ギクシャクしながらここまで来た。
顔はうつむき気味で耳まで真っ赤だ。
「・・・タケオ様・・・」
「はい?なんでしょう。」
「ここ・・・男性用の下着売り場なのですが・・・」
「ええ、そうですね。」
武雄は「それが何か?」とアリスの問いに答える。
「普通、女性はここまでこないかと・・・」
「?・・・なぜ?」
「え?なぜって・・・男性用だからです。」
「・・・まぁ、だったらさっさと終わらせましょう。」
と武雄は寝間着を持つ。
「こっちではこういう寝間着が一般的なのですか?」
「ええ、そうですね。
外で寝るときは服のままですね。」
「・・・ちなみにですよ?
寝るときは寝間着の下は・・・付けますか?」
「!!・・・わかりません!わかりませんが、たぶん付けます!」
アリスは小声ながら必死に回答してくる。
「そうですか。」
と武雄は2つ取ると。
「どちらの柄が良いと思います?」
アリスは片方を指す。
「では、こちらにしましょう。」
選び終わり、さっさと男性用品コーナーから脱出する。
「タケオ様のおかげで恥ずかしい思いをしました。」
アリスは顔を赤くして抗議してくる。
「ん?そんなに恥ずかしい事なのですか?
恥ずかしがるアリスお嬢様も可愛らしかったですよ?」
「むぅ・・・そんなこと言ってもごまかされませんよ。
それに・・・普通・・・男性用コーナーに入るのは既婚の女性か恋人がいる女性くらいで・・・」
とアリスは、下を向いてごにょごにょ言っている。
武雄には全く聞こえていない。
「さて、他になければ会計をしましょうか。」
と武雄はアリスを連れて会計をするのだった。
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