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第379話 国境間の主が挨拶に来る。新しい部下登用。

「「「・・・」」」

草原から街道に出てきた魔物を見て武雄達一行は言葉を失っていた。

「・・・」

魔物は何も言わずにこちらを伺っている。

「・・・主、私が話をしてきます。」

「気を付けて行きなさい。」

「はい。」

ミアが飛びながら魔物に寄っていく。

武雄はミアと魔物との間にシールドが発動できるようにイメージを膨らませる。

・・

「にゃ。」

近づいたミアが話しかける。

話しかける相手は白地に黒の縞々模様のアメリカンショートヘア・・・でっかい猫だった。

ライオンより大きく全長3mはあるだろうか・・・大きいのだが・・・猫です。

武雄的にもうやる気はなくなっています。

だが、一応警戒はそのまま。

「ニャ。」

猫は鳴くと伏せをしてミアと話をし始める。

「にゃ?」

「ニャニャ・・・ニャ?」

「にゃにゃ。」

「ニャ~・・・ニャ?」

「にゃ。」

「ニャ??」

「にゃ?にゃ。」

「ニャ。」

「にゃ??」

「ニャ。」

武雄的には「緊張感がなくなる鳴き声だなぁ」と集中力が切れそうで困っていた。

と、ミアが戻って来る。

「主、マイヤー様、とりあえず話をしてきました。」

「はい、ご苦労様。

 何と言っていますか?」

「えーっと、彼女はこの辺の主なのだそうです。」

「ほぉ・・・」

マイヤーが感心したように頷く。

「で、どうもクゥが先に伝令をこっちに送ったそうで。

 妖精を帯同している人間には手を出すなと聞いたとのことです。」

「クゥが?」

「はい。小鳥や鳥達から話をされたとのことです。

 久しぶりにドラゴンからの忠告が来たので手は出さないが見に来たと。

 それに私に挨拶もしようかと。

 妖精は珍しいと言っていましたので。」

「そうですか。で?随分長く話していましたが?」

「その・・・実はですね。

 何体か子供がいるので・・・出来れば私の部下に取り立てて貰えないかと・・・」

「え?ミア殿の部下に?」

マイヤーが驚く。

「はい。彼女曰く『幻想種に仕えることは誉』とのことで滅多に出会えない幻想種が来たので頼んでみたとのことなのですが・・・

 そんな話は聞いたことがないんです。

 主、どうしましょう?」

ミアが困った顔をしながら聞いてくる。

「んー・・・ミア、主さんに私と話せるか聞いてくれますか?」

「わかりました。」

ミアが再び猫の方に飛んでいく。

「にゃ?」

「ニャ。」

と、すぐに戻って来る。

「良いそうです。」

「そうですか・・・マイヤーさん、すみませんが待っていてください。」

「はい。」

武雄とミアは猫に近寄っていくのだった。

・・

≪以下。武雄達と猫の会話(訳:ミア)≫

「初めまして、人間種。私はこの辺の主をしているコラと言います。」

「初めまして、コラ殿。ミアの上司をしています。タケオ・キタミザトと言います。」

「ドラゴンのクゥ様から伝言を頂いていましたが、本当に人間が妖精を従えているのですか?」

「ええ、いろんな経緯はありましたが・・・結果的に部下になって貰っています。」

「そうですか。

 うちの末っ子をミア様の部下にしてほしいのですが、いかがでしょう。」

「判断をする前にこちらからお聞きしたいことがありますがよろしいですか?」

「はい、構いません。」

「私達と行動を共にするなら、私の指示には従って貰いたいのですがそれは平気ですか?」

「構いません。」

「私達はアズパール王国の東北の魔王国側の領地に住んでいます。

 ・・・生まれた所を遠く離れてしまいますがそこはどうでしょう?」

「構いません。向こうにも我らと同じ種族はいると思います。

 そこの者と仲良く過ごしてくれたらと思います。」

「私達はこれからカトランダ帝国・・・住んで居ない国に行きます。

 命を落とす危険性もありますが、構わないのですか?」

「構いません。強者のみが生き残る・・・我々はそうやって生きてきています。」

「そうですか・・・ちなみにコラ殿の種族的な寿命はどのくらいが平均ですか?」

「100年程度です。」

「そうですか・・・ミアの部下になる子は今はおいくつで?」

「5歳になります。」

「その・・・平気ですか?

 幼すぎませんか?」

「問題ありません。あ、出来れば食事は今は汁物か柔らかい物でお願いします。

 あと10年くらい経つとお肉も食べれますので。」

コラはもう武雄達に子供を預ける気満々だ。

「今の大きさはどうですか?

 流石にコラ殿の大きさを住んで居ない国に連れて行くわけには・・・」

「今は小さいですよ。

 タマ、おいで。」

コラにタマと呼ばれた子猫が草原からちょっと顔を出す。

・・・「タマかよ!?」と武雄は心の中でツッコミはするが、表情には出さない。

「小さいですね。」

「はい、このサイズなら連れていけるでしょう。

 何卒、ミア様の部下に!

 タマ、こっちに。」

「あい・・・」

子猫がオドオドしながら武雄に近寄って来る。

武雄は「うぅ・・・可愛すぎる」と心の中で泣きそうになる。

「・・・コラ殿、タマのこのサイズはあと何年くらいですか?」

「そうですね、20年程度でしょうか。

 それから私の大きさになるのは30年くらいかかります。」

「そうですか・・・

 ちなみにですが、タマは何か出来るのでしょうか?」

「今はまだ何も発現していませんが・・・種族的には大きくなれば身体強化くらいは出来ます。

 人間種、この子に何があっても私は何も言いません。

 安心してください。

 タマ、新しい地に行きミア様に尽くしなさい。

 ・・・では、よろしくお願いします。」

と話を切り上げコラが去って行っていく。

武雄は何も言えずコラを見送るしか出来なかった。


「ニャ。」

タマが小さい瞳をウルウルさせながら武雄に向けて鳴く。

「主、断れませんでしたね。」

「ええ・・・タマ、おいで」

武雄はしゃがみ込みタマに向け手を出す。

「・・・ニャ。」

タマが近寄って来たので武雄は抱き上げる。

タマはビクビク震えている。

「大丈夫だから。」

武雄はタマの背を軽く叩いて上げる。

「タマ、旅の最中は、私の近くに必ず居ること。

 最低でも目の届く範囲に居てください。

 勝手にどこかに行ってもいけませんし、どこかの店先に入って勝手に物を食べてはいけませんよ?」

ミアが通訳し「ニャ。」とタマが頷く。

「人間社会は、基本的に物の売り買いで成り立っています。

 ですから金銭を払って食べたい物を買うのです。

 何か食べたい時は私やミアに言ってください。買ってあげますからね。」

ミアが通訳し「ニャ。」とタマが頷く。

とマイヤーが居る方に戻るのだった。

・・

「マイヤーさん。」

「断れませんでしたか。」

マイヤーが苦笑する。

「ええ、同行者が増えました。

 タマです。」

「ニャ。」

タマが鳴くと「か・・・可愛いですね。」とマイヤーが朗らかに言うのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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