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第363話 採用確定。

「これでどうでしょうか。」

武雄はアリスに清書をしてもらった内容をマイヤーとアンダーセンとトレーシーに見せる。

「キタミザト殿、私が総監という役職になっていますけど。」

マイヤーが武雄に聞いてくる。

「ええ、試験小隊と研究組の両方を見て貰いたいですね。

 管理職を作りました。」

「えーっと・・・小隊長ではなく?」

「はい。

 アンダーセンさんが小隊長、トレーシーさんが研究室長としました。

 マイヤーさんには両者の仲違いを予防し仲裁をしてもらいます。

 それに小隊がちゃんと試験をしているのか、隊員の訓練方法が適正なのかの確認は私にはできませんからね。

 そして研究組が資金をちゃんと研究に使っているのか、進捗具合はどうなっているのか、備品の管理は適正にされているのか等々の管理もしてもらいます。」

「キタミザト殿、私達が不正をすると?」

トレーシーが訝しがりながら聞いてくる。

「思っていませんよ。

 でも今後成果が上がって人員を増やした際にトレーシーさんだけ、アンダーセンさんだけで部署全体を見れるわけではないでしょう。

 必ず、上役の全体管理が必須なのです。

 これは今だけではなく今後の事も含めて最初から組み込んでおかないといけない管理方法ですよ。」

「確かに数年後はわかりませんからね。」

アンダーセンが頷く。

「発足時の人員はしっかりとしている物です。

 ですが、数年、十数年経って新しい人が増えてくると不正をしたり怠慢になったりと荒れるのが普通です。

 その時になって慌てて管理方法や組織を変更しても遅いのです。

 なら最初から両方を満遍なく監視する者を上に置いて、各作業報告と研究の進捗を確認させ、自分達以外の目が光っているんだよとしないといけない。

 組織はそうやっておくべきだと思いますね。」

武雄の言葉に3人が頷く。

「とまぁ、やることも決まっていない段階で管理方法云々言ってもしょうがないですけどね。

 とりあえずマイヤーさんには全体の管理を、アンダーセンさんには小隊運用を、トレーシーさんには研究室運用をしてもらいます。」

「「「はい。」」」

「研究所内の給料はこんな感じで良いですか?」

武雄は3人に見せる。

武雄は内心ドキドキする。「ダメって言われたらどうしよう」と。

「私は構いません。」

マイヤーが言うと他の2名も頷く。

武雄は安堵する。

「では、後は試験小隊の人員ですけど。

 とりあえず今年度は10名程度の採用をしたいですね。」

「え?20名ではないのですか?」

アンダーセンが聞いてくる。

「ええ、ゆくゆくは20名に・・・2、3年かけてしますかね。

 最初の年に全員を採用する必要はないでしょう。

 それに上限いっぱいの状態で欲しい人材が現れても困りますし・・・

 皆の軍服やら試作装置やら資料とか・・・絶対お金が足りませんからね。

 余った10名分で買い揃えます。

 なので10名を・・・いや8名をこのリストからマイヤーさんとアンダーセンさんで協議して決めてください。」

「なぜ2名少なくしたのですか?」

マイヤーが聞いてくる。

「いえ、昨日魔法師専門学院に行った際に2名ほど声をかけたのでもしかしたらこっちに来るかもしれません。

 まぁ来なくても気にしませんけどね。その時は8名が初年度の採用とします。

 給料面や例の覚悟がありそうな人を探してください。

 出来ればベテランが良い経験をしていそうですし、戦になっても逸る気持ちをあまり持たないでしょうから・・・」

「「はい。」」

マイヤーとアンダーセンが頷く。

「私はどうしましょうか。」

トレーシーが聞いてくる。

「そうですね、総監局の方と話し合って貰いいつまで学院長をするのかの確認をしてください。

 最長は来年春の卒業まででしょうが・・・王都の都合に合わせます。

 無理をしてまで学院を早期退職することもありません。

 こちらの準備自体が何も始まっていませんので。」

「わかりました。」

「あとは研究に関する本を探してください。

 魔法関係、素材関係、歴史、地理、地学ですかね。

 もっと他にもありそうですが、今はそのぐらいが必要ですね。」

「素材まではわかりますが、歴史や地理、地学は何故でしょうか?」

「ん?歴史的にどんな戦いがあってどう対処したか。

 そもそもアズパール王国では、どういう戦場が用意できるのか。

 その対処法は?敵の侵入経路のあぶり出しとその対策は?

 言ったでしょう?魔法具を作るだけの研究所ではないですよ?

 戦術を考えるにはまず地理をしっかりと認識することが重要でしょうね。

 エルヴィス伯爵家で地図は見させてもらいましたが、もっと詳細な物を探してください。」

「探すのが大変そうですね。」

トレーシーが苦笑する。

「では・・・エルヴィス領を中心に魔王国に面した3伯爵領でまずは目星をつけてください。

 いくらまで捻出できるのか・・・確認してから買う本を決めましょう。」

「はい、わかりました。」

トレーシーが頷く。

「私が戻って来るまでに人事や本の大まかな方針だけでも決めておいてくださいね。」

「キタミザト殿、どこかに行かれるのですか?」

アンダーセンが聞いてくる。

「当初の目的の通りに明日からカトランダ帝国を視察してきます。

 戻りは・・・20日後ぐらいになるかもしれませんね。」

「カトランダ帝国ですか・・・」

「ん?何かあるのですか?」

マイヤーの呟きに武雄が不思議そうに聞き返す。

「いえ、敵国ですので十分に気を付けて頂かないといけないと。」

マイヤーが微妙な顔をしながら忠告してくる。

「そうですね。

 見ておきたい者がいるので・・・

 予定を変える気はありませんが、マイヤーさんの忠告を心に留めておきますね。」

「見ておきたい物ですか。

 それは重要なのですか?」

トレーシーが聞いてくる。

「そうですね・・・もしかしたら研究所の方針が変わるかもしれない者を見てきます。

 実際に見れるかは・・・わかりませんがね。」

武雄はあっけらかんと言う。

「とりあえず、以上ですね。

 お疲れ様でした、今後ともよろしくお願いしますね。」

武雄が席を立つと3人が席を立つ。

「失礼しました。」

3人は武雄達の部屋を退出して行った。

・・

「タケオ様、優秀な人材が手に入りましたね。」

アリスが嬉しそうに言う。

「ええ、まさか試しに声をかけただけなのに王都守備隊から2名、元王家専属魔法師が1名・・・

 私は引きが強いですね。」

武雄が席に着きながら答える。

「王家専属魔法師・・・テイラー店長ですよね?」

「やはりそう思いますよね。

 確か・・・4年前と言っていましたよね。

 テイラー店長は何年前に辞めたのでしょうね?」

「さぁ・・・気が付いた時には店を出していましたし・・・

 精霊魔法・・・それってニオですよね?」

「たぶん・・・となるとトレーシーさんはテイラー店長を見て辞めたことになりますね。」

「事前に言いますか?」

「面白いので言わないでおきましょう。

 引っ越してきてからが楽しそうです。」

武雄は楽しそうに思案するのだった。


ここまで読んで下さりありがとうございます。

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