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第362話 第2皇子の側室と武雄の部下。

「で?」

アズパール王がニールを見ながら聞いてくる。

クリフとウィリアムは「なにやってんだか」と呆れモード。

「側室にしたいと思っています。」

「うむ、良いぞ。」

アズパール王が簡単に了承する。

「え?父上、簡単に了承しますね。

 よろしいのですか?」

クリフが聞いてくる。

「何か断らないといけない理由があるのか?」

アズパール王が不思議そうにクリフに聞き返す。

「いえ・・・そうは言っても王家の婚約で事前に何も審査がないというのは・・・」

「・・・事前審査?そんなのは必要ないぞ?

 流石に行きずりの女性とかなら反対するが・・・警護兵なのだろう?

 身元も元第1騎士団兵士の娘でしっかりしてるではないか。

 それに昔からエイミーやクリナを知っているのだろう?

 親子関係もイザコザがなさそうだ。

 こんな良縁があるのか?」

「そう言われるとないですが・・・」

クリフが「良いのかぁ?」と頭を捻る。

「で、その・・・女性はどうした?」

「エイミー達と隣室に押し込めています。」

セリーナが言う。

「オルコット、エイミーと一緒にこっちに来るように伝えよ。

 挨拶をしないといけないだろう。」

「畏まりました。」

オルコットが返事をして退出していく。


------------------------

「難しいですね。」

アリスがリストを見ながら呟く。

武雄達は部屋でお茶をしながら武官、文官リストと格闘していた。

ミアとクゥは食後の朝寝を満喫しています。

「んー・・・年間金1750枚の予算管理が出来る方はどなたですかね・・・」

武雄もリストを見ながら経歴を見比べて考えていた。

「んー・・・経歴だけで見れば財政局や総務局の職歴がある方が良いのでしょうけど。

 こればっかりはわかりませんね。」

アリスも難しい顔をする。


と、部屋の扉がノックされ、アリスが「どうぞ」と返事をするとマイヤーとアンダーセンとトレーシーが入って来る。

「「「失礼します。」」」

「お3方・・・どうしたのですか?」

アリスが座りながら聞いてくる。

「はい。

 キタミザト卿。

 私カルロ・マイヤーは、キタミザト卿からの試験小隊長の要請を受諾させていただきます。」

「私ドム・アンダーセンは、キタミザト卿からの試験小隊副隊長の要請を受諾させていただきます。」

「そうですか、早速の色よい返事ありがとうございます。

 で、魔法師専門学院の学院長はどうしてこちらに?」

「はい。

 キタミザト卿。

 私オーラ・トレーシーを研究所の研究員として雇って頂けないでしょうか。

 一度は諦めたのですが、どうしても魔法の研究がしたいという願望が捨てれなく恥ずかしながらお声を掛けさせていただきました。

 何卒、お願いいたします。」

トレーシーは深々と頭を下げる。

「・・・アリスお嬢様、どう思います?」

「私に聞かれても・・・ですが、この研究所はタケオ様のお仕事ですからね。

 お好きに決めても良いと思いますよ?」

「そうですか・・・とりあえず座って話しましょうか。

 すみませんが部屋の隅にある椅子を持って来て貰えますか?」

「「「はい。」」」

3人はそれぞれ空いている椅子を取りにいき、武雄は3人のお茶の用意をするのだった。

・・

「さてと・・・マイヤーさんとアンダーセンさんは所属と経歴はわかりますが・・・

 学院長は経歴がわからないですね。リストにはなかったですよね?」

武雄がリストを見ながらトレーシーに聞く。

「キタミザト卿、トレーシーで結構です。

 私は現在、総監局付き次長をしており、外局の魔法師専門学院の学院長をしております。」

「なるほど。最初から総監局に?」

「いえ、魔法師専門学院卒業後は王家専属魔法師部隊に所属していました。

 そこから総監局に異動しました。」

「・・・」

武雄もアリスも声を出さないが驚いている。

「王家専属魔法師とは、その名の通り、王家専門の魔法師なのですよね?

 魔法師にとっては最上位機関なのではないですか?

 その・・・言い辛いかもしれませんが、どうして王家専属魔法師部隊をお辞めに?」

「はい。

 所属して数年後に後輩が入って来たのですが、後輩の天才性を目の当たりにしたり精霊魔法の威力を思い知りまして・・・人生初の挫折でした。

 心が折れてしまって異動を願ったのです。」

武雄もアリスも「あれ?どこかで聞いた話ですね?」と思うのだった。

「キタミザト卿の研究所の話をお聞きし、自分の中に研究をしてみたいという純粋な欲求があることがわかりました。

 何卒、研究員の件、お願いいたします。」

「良いですよ、採用します。」

武雄はあっさりと了承をする。

「え!?」

トレーシーが逆に驚きの声を上げる。

「その・・・良いのでしょうか?」

「ええ、採用します。

 王家専属魔法師部隊に行かれるほどの能力もお持ちなのでしょうし、学院の運営もしている。

 昨日の研究でのデメリットも聞いています。

 それでも研究がしたいと言われるのでしたら断る理由はないです。

 ただ・・・」

「ただ?」

トレーシーが息をのむ。

「トレーシーさんには研究所の当面の全体資金運営もお願いしたいのですけど。」

「はい?」

「小隊人数20名、研究員3名の小さい所帯ですけど、

 全体の資金の流れを見てほしいのです。

 もちろん小隊には自身の演習費用の算出や武具、馬等々の管理費用も頭に入れさせます。

 ですが、研究にかかる物資の管理、購入、支払い等々を見れる人材がいないのです。

 もちろん、後々は私の貴族の方の報酬で誰か良い人を探しますので、それまで臨時で兼務をしていただけませんか?」

武雄がトレーシーに頭を下げる。

「そ・・・それは構いませんが?」

トレーシーは武雄が頭を下げた事に驚く。

「本当ですか!?一つ懸念がなくなりました。」

「タケオ様、良かったですね。」

武雄とアリスが喜ぶ。

「キタミザト卿。」

「卿は付けなくて良いです。」

「キタミザト殿、ちなみに研究所の運営資金はいくらなのですか?」

マイヤーが聞いてくる。

「年間金貨1750枚。」

「「「え!?」」」

3人は固まる。

「兵士や研究員の給与をいくらにするか等々も決まっていないのです。

 ・・・いくら欲しいですか?」

武雄はため息を付きながら3人に聞く。

「「「いやいやいや。」」」

3人は発言を拒否する。

「キタミザト殿、そこら辺は何と言われたのですか?」

アンダーセンが聞いてくる。

「各騎士団の国内平均給与と同じぐらいで試算したと言われましたが・・・

 まずは国内平均を教えて欲しかったですよね。」

武雄が困りながら聞いてくる。

「・・・大体ですが、騎士団長が月金7枚と銀5枚、騎士長が月金5枚と銀5枚、騎士が月金4枚だったかと思います。」

トレーシーが考えながら答える。

「なるほど・・・んー・・・」

武雄は紙に簡単に皆の給料を計算し始める。

3名は自分の給料が目の前で計算され始めてハラハラしながら見守るのだった。


------------------------

「うむ、良い良いな♪

 リネット・アストリーよ、ニールをよろしく頼む。」

アズパール王が嬉しそうにリネットに向かって言う。

「は!陛下。」

「リネット・・・そこは『はい』です。

 兵士ではなくなるのですから。」

エイミーが苦笑しながら訂正を入れる。

「あ・・・はい、陛下。」

リネットが顔を赤くしながら言い直す。

そんなリネットを王家皆が朗らかに見守る。

「はぁ・・・初々しいわね。」

ローナが呟く。

「で、どこで式を執り行う?

 王都か?ニールの屋敷か?」

アズパール王が楽しそうに聞く。

「父上・・何も決まっていません・・・

 とりあえず一旦領地に戻ってリネットの親御さんに挨拶をしに行かないといけないですので。」

「ふむ・・・まずはそこからか・・・エイミーも一旦帰るか?」

「はい、お爺さま。

 父上と一緒に謝ってきます。」

「うむ、そうだな。」

「私達も一旦領地に帰ろうと思います。」

セリーナが告げクリフとローナが頷く。

「うむ、そうか。

 皆はいつ帰る気だ?」

「そうですね。

 私は王立学院の一時休暇の手続きがありますけど・・・明日には出立できそうです。」

エイミーが答える。

「では、私達も明日にしましょう。」

ローナも頷きながら答える。

「随分、急だな。」

アズパール王がつまらなそうに言う。

「あ、お義父さま。」

「レイラ、どうした?」

「タケオさんが明日、カトランダ帝国に向けて出立すると言っていましたよ。」

「相変わらず行動が早いな・・・皆が一斉にいなくなるのは少し寂しいぞ。」

アズパール王が寂しそうに言う。

「またすぐに王都に来ないといけないでしょうけどね。」

クリフがため息交じりに言う。

「そうね。

 ニールもリネットの親御さんがお義父さまに挨拶に来ないといけないし。

 私達はタケオさんが帰ってきたら爵位の授与で立ち会わないといけないしね。

 お義父さま、爵位の授与はいつの予定ですか?」

ローナがアズパール王に聞く

「そうだな。

 タケオがカトランダ帝国に入るのに馬で6日、向こうで8日くらい滞在したとして20日はかかるか・・・

 1か月後に新貴族と合わせて授与式が出来るように進めようと思う。」

「そうですか。・・・年末年始は王都かな?」

ローナが呟く。

皆も同じく予定の確認を頭の中でするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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