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第35話 街の雑貨屋。

武雄とアリスは雑貨屋を目指していた。

「タケオ様、魔法が使えて良かったですね。」

「ええ。戦力としては使えないでしょうが、日常生活では活躍しそうです。」

と武雄は朗らかに答える。

「日常生活でですか?タケオ様は何か面白い事を考えておいでですか?」

「ん?面白くはないですよ?

 どこか遠出をした際にお茶が飲みたいならすぐにお湯が出ますし。

 焚き火をするのにも着火剤はいりませんし。

 少し時間はかかるでしょうが、露天風呂も作れそうです。

 ほら、満喫できる旅でしょう?

 私は、この小さいけど便利そうな魔法は気に入りましたね。」

「魔法をそういう風に使うという発想が私たちにはないですね。

 魔法は戦力ですので。」

「なるほど。」


------------------------

目的の店に着いたらしい。

「タケオ様、ここが雑貨屋になります。」

二人で入店すると、店員が挨拶をしてくる。

「アリスお嬢様、いらっしゃいませ。」

「ええ。今日はいろいろ見させてもらいます。」

と挨拶をする。

武雄とアリスは、それぞれ適当に見て回ることにする。

武雄は店の中を見て「ほぉ」と思う。

小物入れから本、シャベル、カゴ、バック、棚、食器に調理器具・・・

いろんな物が所狭しと並べられていた。

ちなみにアリスは小物を見る様だ。

武雄はまず、財布を探そうと思う。

こちらに来るまでは、札と小銭だけだったのだが、こっちでは貨幣が主流。

武雄は、がま口財布があればと思ったのだが・・・なかった。

よくよく考えればスーツにがま口・・・首から下げた姿を思い浮かべ苦笑した。

シュールだ。

なので、巾着袋を探すことにした。

ほどなくして皮の巾着袋を見つける。

これなら平気だろうと思い購入を決定。


次に男性用の下着はどんなのがあるのかと思い奥に向かう。

何やら服っぽい物が目についたのでさらに奥に行こうとして腕を掴まれる。

アリスだった。

「・・・タケオ様、その先はダメです。」

「え?そうなのですか?」

「・・・その先は・・・その・・・ご婦人の・・・」

武雄は気が付く。女性用の下着売り場だった。

「あぁ、なるほど、女性用なのですね。」

「はい。ですから、タケオ様は入ってはダメです。」

「わかりました。」

と素直に言い向きを変える。


------------------------

アリスは連れが皆から変態と呼ばれることを阻止したのだ。

「タケオ様は目を離すとどこに行かれるのかわからないわ。」

と少し愚痴を言う。

そんなアリスに一人の店員が寄ってくる。

「アリスお嬢様、これ面白いですよ。実は・・・」

店員は本をアリスに勧める。


------------------------

武雄は男性店員を見つけ男性用下着はどこか聞き出していた。

売り場を見つけて悩む。

これはトランクスなんだろうか・・・でもスカスカだね・・・

もうちょっとフィット感があるのが良いのだが・・・

生地もあまり良くないか・・・

でも、これしかないので、下着数枚の購入を決定。


武雄は、次に何を物色しようかと思い周囲を見ると、アリスと目が合う。

手には本が開かれているが、目線を本に向けずにただこちらを「じーっ」と見ている。

武雄はアリスの行動が不自然すぎてスルーすることにした。


次に目についたのはマグカップだった。

さっきアリスと話をしていた遠出した際にお茶が出来る様に携帯に便利そうな物を物色する。

たぶんアリスも同行することがあるだろうから2組買うかと茶入れと茶こし、コップと小箱を選んでいく。

選び終わって周囲を見るとアリスがこちらをまだ見ている。

格好も先ほどとほぼ同じでだ。

ただし先ほどよりニコニコしているのがわかる。

武雄は「一体、あの本に何が?」と思う。

とそこである閃きが思い浮かぶ。まさかね・・・

「アリスお嬢様は普段も綺麗だが、今日は一段と綺麗だな。

 そういえば、前に抱きしめた時は顔を赤らめて可愛らしかったなぁ。

 お嬢様はスタイルが良いから私も気持ちが良かったし、いつかまたしたいものだな。」

 等々、ちょっと卑猥なことも含めて考えてみる。そしてアリスを見ると顔を真っ赤にしていた。

・・・ほぼ確定だね。と武雄は思う。


だが、いきなり言うのもアレなので、次は今持っているカップ等を詰め込むリュックを探す。

生地も丈夫そうで、容量も大きく、サイドポケットもついているリュックをすぐに見つけ購入を決める。

と、アリスが待つ方に向かう。

「アリスお嬢様、お待たせしました。」

「いえ、私は楽しんでいるので構いませんよ。」

・・・ナニを楽しんでいるのか・・・

「そうですか。ちなみに何の本を読んでおられたのですか?」

ビクッ・・・アリスが少し体を硬直させる。

「・・・ちょっとした本です。」

「そうですか。私も見てみたいで」

「ダメです。」

「え?」

アリスの間髪入れない拒否が武雄を驚かせる。

「・・・絶対に?」

「ダメです。」

アリスは頑なに見せようとしない。

武雄もまぁそこまで見なくても良いかと思い、切り上げる。

と、傍の棚に「一番売れています」と書かれた何やら児童書のような本があった。

何気なく武雄は手に取ってみる。

「あっ」

アリスは少し驚くが急に素知らぬ顔をし始める。

武雄はアリスの変化に違和感を覚えるがスルーして、本を軽く読んでみる。

・・・

・・

購入決定。

「さ、アリスお嬢様、そろそろ行きましょうか。」

と本を持って会計をしようとする。

「え?その本も買われるのですか?」

「ええ、良いお話なので。」

「う・・・そうですか。」

アリスは恥ずかしそうな顔をして付いてくる。

会計の際に、店員は本を見て、次にアリスを見て少し驚いた顔をするが、何も言わずに会計をしていく。

買った商品は一緒に買ったリュックに入れて貰い、武雄が担いでいく事にする。

もちろんアリスが先ほどから持っていた本も一緒に購入する。

二人は会計を済ませ店を後にするのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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