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第361話 エイミー特別捜査官取り調べ中と幹部達の決断。

重苦しい空気が部屋に充満している・・・ようにニールは感じている。

「「「・・・」」」

エイミーはニールの前で仁王立ちで腕を組んでいる。

ニールはパンツのみ着用しているが床に正座をしてうな垂れていた。

女性兵士はニールの後ろに服を着て立っていた。

さっきから苦笑しっぱなしです。


と、部屋の扉がノックされるが誰も返事をしない。

ローナとセリーナとアルマとレイラがソロソロと入って来る。

と、娘の前で下着姿の父が正座している光景に唖然とする。

「・・・これはどういった状況なんでしょうね?」

沈黙を破ってアルマが誰に向けてでもなく質問をする。

「父上・・・もう一度、説明してみてください。」

エイミーが淡々とニールに告げる。

「その・・・手を出しました。

 で、朝、エイミーに見つかりました。」

ニールは顔を上げずにボソボソいう。

「父上、見つかったとはどういう事ですか?

 遊びでリネットを抱いたのですか?」

「いえ・・・そうではないです・・・」

「じゃあ、どういう事ですか?」

「・・・」

ニールはチラっとリネットに目を向けそうになるが。

「わき見をしない!」

エイミーがさせない。

ローナとセリーナは「あの後姿の迫力・・・母親譲りね。」と感心していた。

レイラは笑いを堪えている。

アルマは見守っていた。

「・・・側室に迎えたいと・・・」

ニールはボソッと呟く。

「父上がそう思うのでしたらそれでも良いですが・・・

 リネットの親御さんにはなんて言うのですか?

 もし婚約が決まっていたらどうするのですか?

 ちゃんと考えたのですか!」

「・・・浅はかでした・・・すみません。」

ニールはガックリとする。

「・・・第1皇子妃方と第3皇子妃方が来られましたね。

 父上、お姉様方と話し合ってください。

 リネット、私達は隣の部屋に行きますよ。」

「はい・・・エイミー殿下・・・」

エイミーとリネットが退出して行った。

・・

「ニール、まずは服を着なさい。」

セリーナが告げる。

「はい。」

ニールはうな垂れながら服を着始める。

・・

部屋内の机を皆で囲みながら席に着く。

「で?どういう経緯なの?」

ローナが聞いてくる。

「昨日の夜にお茶とお酒をしていたら・・・その流れで・・・」

ニールがガックリとしながら自供する。

「・・・側室に迎えるの?」

セリーナが聞いてくる。

「あぁ・・・覚悟はさっき決まった。

 婚約等々は本人から『ない』と聞いているし、リネットの両親にも俺が挨拶に行く。」

「抱く前に覚悟しなさいよ。」

ローナがツッコむ。

「はぁ・・・エイミーちゃんに見られるとは・・・なんで早くに起きなかったのですか?」

レイラがため息交じりに言う。

「その・・・俺は起きていたのだが・・・リネットが起きなくてな・・・」

ニールの言葉にローナとセリーナとレイラは「上手いな」と感心していた。

事情を知らないアルマだけは「修羅場ね」と思って聞いていた。

「はぁ・・・お義父さまへの報告は朝食の前にはするわよ?」

「わかった・・・」

ニールは覚悟を決めるのだった。


------------------------

隣室にて。

「リネット、一生を左右する事を引き受けてくれて・・・お願い聞いてくれてありがとう。」

エイミーはリネットに抱き着く。

「エイミー殿下、私の方こそありがとうございます。

 もう婚期は逃してしまったと諦めておりました。

 このような大任を仰せつかって嬉しい限りです。」

「任務じゃないわ。

 父上と私達と家族になってくれてありがとう。アナタで安心しています。

 私もクリナもアナタには面倒をかけると思うけどよろしくお願いします、お母様!」

エイミーははにかみながら新しい母親に挨拶をするのだった。


------------------------

アズパール王の書斎にて。

アズパール王とクリフとウィリアム。

王都守備隊総長とマイヤーとアンダーセン。

オルコットと総監局長とトレーシーが居た。

「ふむ・・・タケオから小隊長と副隊長の内示が出されたのか。」

王都守備隊総長の報告を聞いてアズパール王が頷く。

「「は!」」

2名が返事をする。

「ふむ、ウィリアム。

 お前の方の人事はどうなっている?」

「今日は各小隊長や各局長の面接をする予定ですが、2人とも選んでいませんね。」

「なるほどな。

 で?マイヤー、どうするのだ?」

アズパール王がマイヤーとアンダーセンに顔を向ける。

「私は小隊長への就任要請に応えようかと思います。」

マイヤーがアズパール王に告げる。

「ふむ、アンダーセンはどうだ?」

「私も応えようかと思います。

 試験小隊も面白そうですし。」

「そうか・・・総長はどうだ?」

「は!・・・分隊長格が2名いなくなるのは痛手ですが・・・

 本人達もやる気みたいですし、こればっかりはしょうがないでしょう。

 王都守備隊の若返りにもなると前向きにとらえるしかないですね。」

「そうか。

 で?オルコットはどうしたのだ?」

「はい、折り入って相談がございまして。

 総監局長、説明を。」

「はい、陛下。

 この度のキタミザト卿の研究所案件の人事なのですが、うちのオーラ・トレーシーが異動を希望しまして相談に上がりました。」

総監局長の言葉にアンダーセンが驚きの表情をする。

「トレーシーか・・・久しぶりだな。」

「は!陛下、その節はご面倒をおかけいたしました。」

トレーシーが頭を深々と下げる。

「ん?父上、この者を知っているのですか?」

クリフが聞いてくる。

「ん?あぁ・・・うちの爺を知っているか?」

「父上、それでは兄上に通じませんよ?

 クリフ兄上、王家専属魔法師の事です。」

「えーっと・・・うろ覚えですね。

 そう言った者達がいるとは知っています。」

クリフが頷く。

「うむ。トレーシーは元王家専属魔法師部隊所属でな。王家専属魔法師の次期候補にまでなったのだ。

 だが突然、異動願いを出してきてな・・・あの時は王家専属魔法師部隊内で何があったのか・・・肝を冷やしたぞ。」

「は!?」

アンダーセンが驚く。

「ん?アンダーセン、どうした?」

王都守備隊総長が聞く。

「いえ、私とトレーシーは魔法師専門学院の同期でして・・・

 卒業後の進路も教えてくれないまま卒業して、気がついたら総監局にいましたので、その経緯を聞いて驚いております。」

「ふむ。

 王家専属魔法師部隊への入隊はな、少し変なのだ。

 求人票も出さないしな。ただ魔法師専門学院のその年の首席のみ面接を受ける資格があるだけだ。

 で、希望する者は王家専属魔法師部隊全員と面接を行い全員の総意で入隊の可否を決めるのだ。

 コヤツはその中でも優秀でな、将来を嘱望されておったのだ。」

「陛下。

 私は4年も前に後輩の天才性や精霊魔法の威力を見てしまって自身の限界を感じてしまい、王家専属魔法師部隊を辞めたのです。

 挫折者なのです。」

トレーシーの言葉に「あれ?精霊魔法?どこかで聞いたような」とウィリアムが思う。

「ふむ、そうであったな。

 研究所の事を聞きつけたか。」

「はい。昨日キタミザト卿が魔法師専門学院にお越しになられ来年春卒業予定の新人を見ておいででした。

 その際に研究所の概要もお聞きした次第です。

 昔は自身の能力に絶対の自信がありましたが、自分の上を行く天才を前に挫折してしまいました。

 キタミザト卿の研究の話をお聞きし、自分の中に昔のような能力を誇示するというのではなく研究をしてみたいという純粋な欲求があることがわかりました。」

「うむ、そうか。

 オルコット、トレーシーはリストには入っているのか?」

「いえ、実は入っていないのです。」

オルコットが返事をする。

「総監局長はどう思う?」

「はい、陛下。

 トレーシーは王家専属魔法師部隊を辞めうちに異動してきましたが、腐ることなく後任の指導の為に魔法師専門学院関係をずっとしてきました。

 文官として部下の統率能力もありますし実務者能力も十分です。

 そして魔法師としても能力に不足はないと考えます。

 私の後を継ぐであろう者から異動願いが出されたことは痛手ではありますが・・・挫折を味わった者が再びやる気になっているのです。

 上司としては笑顔で送り出したいと考えています。

 何卒、異動可能なリストにはないオーラ・トレーシーを研究所の一員にすることをご許可願います。」

総監局長がアズパール王に深々と頭を下げる。

「そうか。

 オルコットはどう思う?」

「はい。

 特に異議はございません。

 ですが、アルダーソン卿が次はリストを見るでしょうからトレーシーの件は異動を願ったのではなく、あくまでキタミザト卿からの要請を受けて受諾したとしないといけないかと思います。

 それにキタミザト卿が受け入れるかが最大の難所です。」

「ふむ、そうだな。

 では、3名ともタケオに挨拶をして来い。

 そして戻ってきたらその時の結果を踏まえて異動の通達をする。」

「「「は!」」」

マイヤーとアンダーセンとトレーシーが退出して行った。


と、すぐに書斎の扉がノックされ、アズパール王が「構わぬ」と返事をすると妃達とニールが入って来るのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
王家って朝はのんびりしているものと勝手に思ってたら、早朝から夜更けまで忙しいんですね
[一言] 久々に一から読み直してます。 めちゃくちゃ長いので最新話追いつくの何日かかるやら… 読むたび毎度思いますが、アンダーセンとアンダーソンややこしすぎませんか?
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