第359話 24日目 早く寝よう。
王家一同は夕飯を終え各自の部屋に戻っていた。
「さ、さ、行きますよ?」
「「「は~い。」」」
「きゅ~。」
エイミーはチビッ子達とアンとクリナと一緒に移動を開始する。
すぐに廊下の端に端麗な女性兵士が立っており、エイミーが軽く頷くと頷きを返してくる。
エイミーは「父上をよろしく」と思うのだった。
「では母上方、僕は部屋に戻ります。」
とパットはそそくさと若干前屈みで部屋に戻って行く。
「・・・セリーナ。」
「ええ、若いわね。もう効果が出ているみたいね。
ふふ、後で第1騎士団にお願いして朝まで部屋から出さないように・・・軽く監禁してもらうわ。
今回の罰の1個にしましょう。」
「・・・朝まで悶々とさせるの?
セリーナも怖いこと考えるわね。」
「下手にその辺の女の子に手を出されても困るからね。」
「まぁ・・・そうだけど。
パットのあの様子を見ると効果はあるみたいね。
ただ効き始めるのに差があるのか・・・」
「ええ、今夜が楽しみだわ。」
と、兄弟で話していたクリフが2人に近寄って来る。
「ん?子供達は?」
「もう部屋に戻って行ったわよ。」
ローナが言うと。
「そうか。私達も部屋に行ってのんびりとするか。」
「「ええ♪」」
第1皇子夫婦も部屋に戻っていた。
「じゃあ、レイラ。僕達も戻ろうか?」
「はい♪」
「ん?レイラ、上機嫌ね。
何かあったの?」
アルマが聞いてくる。
「今日の夕飯ですよ!
キノコづくしでしたが、全部違った感じでしたからね!
これからタケオさんと連絡を密にしていけば、さらに美味しい料理が食べられそうです!」
「確かにね~。
あの料理だけでもタケオさんには価値があるわよね。
じゃあ、私は部屋に戻るから。」
アルマはさっさと自室に帰るのだった。
レイラとウィリアムはそんなアルマを見送ってから自分達の部屋に戻るのだった。
「殿下、お部屋までお供します。」
「ん?別に子供じゃないんだから・・・
いや、ご苦労さん。ついでにお茶の相手をしてくれ。」
「はい、畏まりました。」
「はぁ・・・今夜はゆっくりとエイミーから寄宿舎の話でも聞こうと思ったのに・・・
これが噂に聞く親離れなのか・・・さっさと他の子供達を連れて行ってしまったな。」
ニールは寂しそうに呟く。
女性兵士は「違うんだけどなぁ」と思うのだった。
「なんだ。皆マッタリか・・・
我はタケオの所にでも行くかな?」
歩き始めたレイラが緊急停止してアズパール王の方を見る。
「陛下、キタミザト殿ですが、先ほど夕飯を持って自室に戻られる時に『今日は疲れたからさっさと寝ますかね。』と呟いておりましたよ。」
「そうか・・・まぁ今日も早くから起きていたし睡眠を邪魔するのも悪いな。
ふむ・・・だが我だけ暇だ。」
「陛下も朝から起きていましたから寝た方がよろしいのでは?
もう若くはないのですから。」
「一言余計だ。
でも・・・そうだな。寝る前に酒を少し飲みたいな。」
「ブランデーでよろしいですか?」
「確かこの間の残りがあったはずだ。1杯だけ飲んでから寝るとしよう。」
「畏まりました。
準備が出来次第持って参ります。」
「うむ。」
アズパール王が頷き自室方向に執事と歩いて行く。
そんな後姿をレイラがホッとしながら見つめるのだった。
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「あぁぁぁ・・・なんで貧乳なんかに目が行くんだ・・・」
パットは自室に戻ってからベッドに横になって悶々としていた。
右を向いては落ち着かない。左を向いても落ち着かない。
体の疼きが止まらない。
パットの眠れぬ夜は始まったばかりだ。
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「タケオ様。その・・・キノコの効能はどうですか?」
アリスが武雄に抱き着きながら聞いてくる。
「いや、それはアリスお嬢様も実感されたのでは?さっきも上にま」
「さっきまでの説明は結構です!」
アリスは赤くなりながら武雄の口を塞ぎにかかるが武雄は顔を背けさせない。
「はいはい、キノコでしたね?
身体的な効果はかなりありますね。
ただ、性的興奮については増大をあまりしてくれないですね。」
「性的興奮?」
「そうですね・・・むやみやたらと女性と一つになりたいとかそういう感情面の変化はあまりないですね。
どちらかと言えば持続するという効能です。」
「んー・・・?」
アリスが「わからないです」という顔をする。
「ふふ、アリスお嬢様はわからなくて良いですよ。
これは男性陣に限ってわかる話でしょうからね。」
「むぅ・・・のけ者ですか?」
アリスはジト目をして抗議してくる。
「ふふ、のけ者ではないですが、感覚的にわからない物かもしれませんね。
それに・・・これから体験してもらいますから。」
武雄はアリスの太ももを撫で始める。
「え?・・・タケオ様、まだするのですか?
・・・その・・・少し休ませてほしいのですけど。」
「じゃあ、少しだけですよ?」
武雄はアリスの頭を撫でながら優しく言う。
2人は夜を満喫するのだった。
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「さぁ!ウィリアム!するわよ!」
ベッドでゴロンとしていたウィリアムにレイラがベッド横で仁王立ちで腕を組んで宣言する。
「いやいや、何を口走っているのかな?うちのお嫁さんは。」
「どお?体に変化はないの?」
レイラは顔をキラキラさせながらウィリアムに聞いてくる。
「変化?・・・若干、顔が火照っているとは思うけど?」
「むぅ・・・面白くないですね。」
「夕食後から随分嬉しそうだったけど・・・
タケオさんに何か頼んだね?」
「う!?・・・いえ?頼んではいないわよ?」
「そうかい?そう言えば今日の夕飯はキノコづくしだったね。」
「そうでしたっけ?」
「世の中には『精力キノコ』というのがあるらしいよ?」
「へ・・・へぇ、そうなの?」
レイラは明後日の方を見ながら返事をする。
「ふふ。」
ウィリアムはレイラに近寄り抱きしめる。
「うぅ・・・タケオさんに男性陣の夕飯に精力キノコを使って貰うように依頼しました。」
レイラは観念してボソッとばらす。
「どれが精力キノコだったのかな?」
「男性陣のキノコ全部が・・・」
「うん、それは効くだろうね。
ちなみに効能は調べたことがあってね。知っているからね?」
「え!?ウィリアムは知っていたの?」
レイラが驚きながらウィリアムを見る。
「知っていたよ?
ふふ、じゃあ・・・試してみるかい?」
「よ・・・よろしくお願いします!」
第3皇子夫婦の夜も更けて行くのだった。
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