第354話 王城に帰って来て・・・まずは夕飯作りだ!
王城に武雄達一行が帰って来て武雄は厨房へ。
アリスとミアとクゥとエイミーは、レイラの元に向かっていった。
武雄は厨房に入るなり料理長を探す。
と料理長と目が合いこっちにやって来る。
「キタミザト殿、おかえりなさいませ。
今日は何をお作りになりますか?」
料理長は楽しそうに聞いてくる。
王城内の厨房を料理長権限で武雄は勝手に使って良いとしていた。
もちろん誰かが立ち会う事を条件にだが・・・今日まで傍には料理長が居た。
「料理長戻りました。
実はエイミー殿下から今日の王家一同の夕食に1品作ってくれと依頼されまして。」
「畏まりました。
エイミー殿下の仰る通り1品でも2品でもお作り下さい。」
「料理長、献立は決まっているでしょうに・・・すみません。」
「いえいえ、キタミザト殿でしたら食材も人材もいくらでも使って構いません。
皆、良い勉強になっております。
で、食材はどうされますか?」
「実は今日は干物屋に寄って買ってきたのですが、見て貰えますか?」
「はい、わかりました。」
武雄は買ってきた食材を並べる。
・・
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「これは精力キノコですね?」
料理長がキノコを手に取り確認する。
「わかりますか。
お店で確認はしたのですが・・・これは夕食にだして平気な物ですか?」
「問題ないですね。
健康に害もありませんし、そもそも男性にしか効きませんので。
まぁ価格が高く、収穫数が少ないので王城内でも頻繁には出していません。
それにしても一般には出回らないと思うのですが・・・コレをどちらの店で?」
「昨日、行った干物屋の隅でゴロっと置かれていました。
王家の方に出しても問題ないのでしょうか?」
「今すぐ誰かに買いに行かせます!
王家の方に出しても問題はありません。
それに王家の方々は必ず1回は食べていますからね。
あ、お子様方には食べさせていませんよ。」
「必ず1回?」
「はい、初夜用の食材なのです。
それに第3皇子一家には週に1回は出しています。」
「王家の調理人も苦労していますね。
効果は問題ないのですね?」
「ええ、問題ない効力を発揮しますよ。」
武雄と料理長はニヤリと笑い合うのだった。
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「・・・」
レイラはアリスからの相談事を聞いて腕を組んで考えていた。
アリスはエイミーと一緒に帰ったことを報告しに来たのだが、アリスが「タケオ様がキノコで画策しています」と報告していた。
エイミーは顔を真っ赤にしている。
まさかさっきの食材でそんな物を買っているとは思っても見なかったのだ。
そして自分が食べたいと言った事が少し恥ずかしかった。
「私はまだそういうのは求めていないもん!知らなかっただけ・・・そう知らなかったの!」
エイミーは自身に言い聞かせるのだった。
チビッ子2名は日当たりの良い所でお昼寝しています。
・・
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「・・・エイミーちゃん。」
「はい!」
エイミーが背筋を伸ばしながら返事をする。
「良くやったわ!」
レイラがエイミーを抱きしめる。
「最高の食材を最高の料理人が調理してくれるのね!!」
レイラは顔をキラキラさせながら言う。
「え?・・・レイラお姉様、タケオ様を止めないのですか?」
「なぜ止める必要が?・・・良いじゃない、好都合だわ!」
「いやいや精力キノコって・・・怪しすぎます。」
アリスは呆れながら言う。
「ふむ・・・そうね。
確認は必要か・・・エイミーちゃん。
ローナお姉様とセリーナお姉様を呼んできてくれる?
あとタケオさんと料理長も。」
「は・・・はい!」
エイミーはレイラのお願いをあっけにとられながら皆を呼びに行くのだった。
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王城内の広間では会議は終了したアズパール王と3皇子とクラークとオルコットが残っており、会議の後のティータイムをしていた。
「とりあえずの目途は立ったな。」
アズパール王が「やれやれ」と言いながらお茶をすすっている。
「はい。後はアリス殿とキタミザト殿が示談に納得していただけるのか、ですね?」
オルコットが苦笑をしながら言う。
「うむ、そうだな。
クラーク、貴族会議はなんで急にふざけた慣例の補償金を捻出しますと言い出したのだ?」
「今日の午前中にキタミザト卿と会いまして、『貴族会議からの謝罪については私は補償等の中身を見てから』と言われてしまいましてね。」
「ふむ、タケオは昨日の会議を聞いていたのだな?」
アズパール王がウィリアムに顔を向ける。
「はい、父上。
パットの処遇の判断時と2家が追放されるところはレイラと一緒に聞いていたそうです。
自身への補償内容については『補償される方が事前に知るのは不公平です』と退出していったと聞いています。」
「ふむ・・・では、タケオがクラークと話をしていて何か思ったのだな。
で、クラークはタケオについてどう思った。」
「そうですね・・・別に金額がいくら欲しいと明言しない辺りは怖いですね。」
「あぁ、クラークもそう思うか。」
「はい。金額を言ってくれればそれを捻出して終わり・・・と言えるのですが、キタミザト卿はこちらの姿勢を見ているのだと感じました。
なので、時間が過ぎれば過ぎるほど結果的な価格が上がるかと。」
「うむ、我もそう感じている。
時間が経てば経つほどこっちの皆が『価格を上げないと納得しないのでは?』とか勝手に思ってしまうと。」
「ええ。もしかしたら少ない金額でもキタミザト卿は納得するのかもしれませんが・・・」
「ふむ、王都と貴族会議・・・面子の問題も出てきそうだな。」
「はい。早く決めないと『新貴族相手に高すぎる』派と『王都の面子にかけて高い金額を提示する』派に分かれて言い合いそうですし・・・その間もキタミザト卿は何も言わない事で王都の姿勢を見るかと。」
「はぁ・・・タケオはその辺の交渉術も知っているだろうからな。
たぶん持久戦になったら先に折れるのは王都だろう。
醜態を晒す前に早く切り上げるのが得策だったな。」
「はい。」
「・・・あとはクリフだな。
エルヴィス伯爵に金貨60枚、タケオとアリスに金貨20枚の迷惑料だったな。」
「はい。うちの家から緊急に出せるのはそれぐらいが限度ですね。」
「うむ、もう少ししたら2人とも帰って来るだろう。
はぁ・・・なんて切り出すかな・・・」
アズパール王は「んー・・・」と考えるのだった。
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