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第342話 魔法師専門学院へ。(演習中。)

武雄達一行は魔法師専門学院の門の横で受付を済ませて校内の学院長室に向かうべく運動場の横を通っている。

「「砲撃開始!」」

授業中なのか2手に別れて砲撃役の組と防御役の組で演習をしている。

「へぇ、今はこんな実践的な演習もするのですね。」

アンダーセンが演習を横目に感想を述べる。

「第三魔法分隊長はここの卒業生ですよね?」

エイミーがアンダーセンに聞いてくる。

「そうです。

 ちなみにですね、エイミー殿下。

 王都守備隊隊員は9割方はここの卒業生です。」

「そうなのですか?」

アリスが聞いてくる。

「ええ。私は魔法分隊ですけど近衛分隊や情報分隊とか名前では魔法戦が得意そうではない分隊でも王都の騎士団の魔法小隊と同等・・・いやそれよりも魔法戦が得意だったりします。

 さらに私達は剣技もある程度できないといけないですし、装備している剣とかは何かしらの魔法がかかっていたりしますね。」

「最強部隊は基準が高いですね!」

エイミーが自慢げに胸を張る。

「424番!412番!467番!発動を皆に合わせろ!

 お前達は部隊を壊滅させる気か!」

「「「すみません!!」」」

何やら怒られている学生がいたりする。

「皆、番号で呼ばれるのですか?」

武雄は素朴な疑問をアンダーセンに聞いてくる。

「講義や演習中は番号で呼ばれますね。

 兵士教育の一環でもありますが・・・4番代かぁ。」

アンダーセンが難しい顔をする。

「番号の振り分けはどうやるのでしょう?」

「入学時の魔法適性と魔力量が高い者から順に番号が振り分けられるのです。

 最初の番号が学年を表しているのですが・・・最初が4番だと春には卒業ですね。」

「そうなのですね。

 では、あの中からうちに来てくれそうな子を探すのですか?」

アリスの言葉に一行は足を止めて演習を見るのだった。


------------------------

校舎の玄関横の扉に「学院長室」とデカデカと看板が掛かっている。

「・・・なぜ?」

エイミーが看板の前で「自己主張なの?」と首を傾げる。

武雄は「良くドラマとかで見る◯◯事件捜査本部と書かれるヤツと同じ大きさですね」と思ったりする。

「さて、こういった先導がいない場合は誰が扉をノックするのでしょうか?」

武雄が素朴な疑問を誰となく聞く。

「エイミーさんが一番上ですよね?

 でも予約を入れたのはレイラお姉様で私とタケオ様が来る事は言われているのですよね?」

アリスが現状を確認をする。

「私はただの同行者と思っています。

 タケオさんで良いのではないですか?

 名目はエルヴィス伯爵の代理なのでしょうから。」

エイミーは「誰でも良いのでは?」という顔をする。

「では、私が先導しますね。」

武雄が扉をノックする。

中から「どうぞ。」と許可が下りるのを確認し扉を開け入室する。

中には男性が起立して待っていた。

「ようこそ、お出で下さいました。

 私は当魔法師専門学院 学院長のオーラ・トレーシーと申します。」

「突然訪問して申し訳ありません。

 タケオ・キタミザトと申します。

 エルヴィス伯爵家に勤めております。」

「アリス・ヘンリー・エルヴィスです。」

武雄とアリスが礼をする。

「はい、よろしくお願いします。

 ご高名なお2人のお越しを歓迎いたします。

 エイミー殿下、お越し下さりありがとうございます。」

「学院長、突然すみませんね。」

「いえ、学院一同歓迎しております。

 いつでもお越しください。

 で?アンダーセンは護衛かい?」

トレーシーはいきなりアンダーセンに対してフランクに対応する。

「そうだった・・・ここのトップはお前だったな。

 お3方の護衛だよ、トレーシー。」

アンダーセンがため息をつきながら答える。

トレーシーは苦笑している。

「さ、さ、皆さま座って歓談いたしましょう。」

トレーシーに促され皆が座る。

「学院長、第三魔法分隊長とどういった関係で?」

エイミーが座るなりトレーシーに聞いてくる。

「はい、私達は同級生なのです。

 私達はここの卒業生です。」

トレーシーが説明する。

「ん?お2方はおいくつなのですか?」

「アリス殿、私達は35歳です。」

アンダーセンが答える。

「タケオ様と同じですね。」

「「「え!?」」」

エイミーとアンダーセン、トレーシーが驚きながら武雄を見る。

第三魔法分隊隊員も注目をする。

「えーっと・・・何か?」

武雄が苦笑しながら3人を見る。

「いえ・・・その・・・もう少し若いかと・・・失礼しました!」

エイミーがバツが悪そうに目線を逸らす。

「別に気にしませんけど・・・そんなに若く見えますか?」

武雄が苦笑する。

「30歳前後には見えますね。」

トレーシーが言う。

「女性ならそれは誉め言葉でしょうが・・・私に言われてもねぇ。」

武雄は苦笑しか出来ない。

「おっと、無意識に口説いてしまいましたね。」

トレーシーが楽しそうに笑う。

「おい、トレーシー。キタミザト殿に失礼だぞ?」

アンダーセンが注意する。

「アンダーセンさん、構いませんよ。」

「そうですか・・・すみません。」

アンダーセンが謝る。

「アンダーセンが謝ったし、さっさと本題に入りましょうか。

 今回のご訪問の理由は来年春にエルヴィス伯爵領の兵士に採用される人の確認でしたね。

 えーっと・・・実はですね、各地方や王都からの求人の締め切りが11月末になっています。

 そして12月1日に全部を開封し、即日張り出す事になります。」

「はい。」

トレーシーの説明に武雄が返事をする。

「そして10月末時点の成績上位者から自分が行きたい部署に登録して行き、定員が埋まった時点でその部署の求人は終わりという事にしています。

 これは生徒たちのやる気や自主性を重んじてのことです。

 それにいろんな思惑が入り乱れる事がありますが、生徒たち仲間内で話し合っているからでもあります。」

「そうなのですね。

 ちなみにですが・・・エルヴィス領の兵士の人気はどのくらいでしょうか?」

武雄が何気に聞いてみる。

「・・・えーっと・・・答えないといけないでしょうか?」

トレーシーが困った顔をする。

「あ・・・いいです。その返答で大体わかりました。」

「申し訳ありません。」

「では、見せられる範囲で構わないのですが、過去の求人一覧はありますか?」

「そうですね・・・3年前の物なら見せられますね。

 そちらでよろしいですか?」

「はい。」

武雄は頷くとトレーシーが席を立ち、壁際の本棚から冊子を持ってくる。

「こちらになります。」

トレーシーから武雄に冊子が渡され、武雄が中身を軽く見ていく。

・・

「・・・なるほど・・・これではエルヴィス領の人気はないですね。」

全部を見終わった武雄は冊子を隣のアリスに渡しながら苦笑する。

「ちょっとタケオ様、いくらなんでもその言い方はな・・・あれ?・・・」

アリスは武雄に文句を言おうとしたが、自分の家の求人と前後の求人を見比べて固まってしまう。

「うちって収入が少ないですからねぇ・・・」

アリスはため息を漏らす。

「そうですね・・・まさか銀貨5枚も違うとは・・・新人の給料でこれだと幹部達の給料差が相当ありますね。」

武雄が悩みながら言ってくる。

「ええ。タケオ様、どうします?」

アリスは若干、涙目になりながら聞いてくる。

「どうするもこうするもないですね。

 これが現実なのです。」

「うぅ・・・そうですね。」

アリスはガックリと肩を落とす。

「エルヴィス伯爵及び伯爵家に所属する皆さまには感謝しております。

 確かに給料は他と比べると少し低いですが、採用人数を去年は6名・・・戦闘部隊に4名、事務方小隊に2名でしたか。他の地方貴族領では通年4名なのに対し、多くの生徒を採用していただけるのは本当にありがたく思っております。」

トレーシーが頭を下げる。

「で、ですね。

 今年は去年と同じくらいの採用を見込んでいらっしゃるのでしょうか?」

トレーシーが顔を少し上げて聞いてくる。

「今年は戦闘部隊に3名、事務方小隊に4名とする可能性を示唆されています。」

「7名ですか!?ありがとうございます!」

トレーシーは満面の笑みを向けてくる。

「あ・・・戦闘部隊に3名と仰いましたか?」

笑みが途端に凍り付く。

「はい。」

「そ・・・そうですか・・・」

トレーシーは傍から見ても動揺を隠しきれていない。

「なにかありましたか?」

「・・・はい。」

とトレーシーは席を立ち先ほど冊子が入っていた本棚から違う冊子を持ってくる。

「こちらの資料を見ていただきながら説明いたします。」

トレーシーは神妙な顔つきで説明を始めるのだった。



ここまで読んで下さりありがとうございます。

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