第33話 魔法具商店再び。・・・近代兵器発見。
武雄とアリスは魔法具商店に着いた。
中に入ると。
「アリスお嬢様、キタミザト様、いらっしゃいませ。」
「ええ。」
「お邪魔します。」
とアリスと武雄は返事をする。
「昨日はありがとうございました。
今日は、ちょっとした依頼があるのですが。」
と武雄はトレンチコートの概要と襟章について話す。
・・
・
「なるほど。その『トレンチコート』は良いですね。」
「ついては、こちらに襟章を作って頂きたいのです。」
「はい、喜んでお受けします。
ただ、襟章の製作自体はできますが、個人認証と個人情報を入れるのはあまり・・・
正直にいうと、読み出す方法も書き込みと同じ魔法で成り立ってしまうので、偽装ができてしまうのです。」
「なるほど。」
「なので、一度魔法をかけると二度と解除できない物ですが、
変更不可の魔法をかけてはいかがでしょう。」
「んー・・・では、首にかけるネックレスタイプのネームタグに名前と所属を彫ることはできますか?」
「可能ですね。」
「偽造防止は視覚的にも確認できますか?
・・・例えば触れると色が変化するとか、光るとか。」
「可能ですね。」
武雄はしばし考える。
「では、一回撫でると階級章は赤地が紺色に変化。所属章は紋章部分が青く光る様にしてください。
ネームタグは二回軽く叩くと所属の紋章が浮かび上がる様にしてください。
そして全部に製作後変更不可の魔法をかけてください。
もし変更しようとすると全体が水色になり、各変化もしなくなる様にしてください。」
「わかりました。」
「種類は4種です。
形の素案は簡単に紙に書きましたので、今のところはこれで考えてください。」
と武雄は店員に渡す。
「では、見積もりをください。
50個ずつ作る場合でお願いします。」
「そうですね・・・しばらく店内を見ていてください。
その間に作成します。」
「わかりました。」
とアリスと武雄は店内を物色するのだった。
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武雄は、ここは魔法が使えるが中世のヨーロッパと考えていた。
現代の日本と違って治安が悪いだろうとも。
そうすると護身用に何か道具が欲しいとは思うのだが・・・
体力も普通の・・・もしかしたら普通より下だし、剣道も柔道もしたことがない・・・
何か良い物はないのか。
机の上ばかり見ていたが、ふと目線を上げ、壁に掲げられている物を見て驚く。
「え?なぜ?」
武雄は口に出してしまうほど驚く。
日本の祭りの夜店の射的に使われている様な物が掲げられている。
・・・銃?
昔の戦争の写真や映画とかで出てくる様な銃だった。
「あの・・・これを持っても良いですか?」
と武雄は店員に聞いてみる。
「構いませんよ。」
と了承を得たので、手に取ってみる。
価格は金貨10枚となっていた。
何の気なしにレバーがあるので90度回転させると手前に引けた。
レバーを手前に引くと銃身に物を入れられる様になっている。
「これは・・・」
「あぁ、その『小銃』と言うのは、付属の『弾丸』というのを入れて、さっきの位置にレバーを戻すと撃てるらしいですよ。」
店員は説明をしだす。
「カトランダ帝国で魔法適性がない人でも飛び道具を使える様にと作られたらしいのですけどね。
見ての通り1発ずつしか撃てないのとその度に弾丸を入れないといけないなど利便性があまり良くないのですよ。
それに高価ですから・・・
面白そうだからと思って仕入れてみたのですけどね。さっぱり売れません。」
「そうなのですね。」
「ちなみにこれはいつから販売されているのですか?」
「いや、最近ですよ?昨年でしょうか。」
「そうですか・・・」
武雄はこれは自分の武器としてはありだが、弾丸の補充をしないといけないのがネックだな、と思う。
「ちなみに、これを私が買うと言ったらいくらにしてもらえます?」
「え!!?買ってくれるのですか?」
「まだ仮定です。」
「・・・そうですね。置いていてもどうせ売れないので・・・金貨6枚でどうでしょう。
弾丸の費用も込みでお売りします。」
「弾丸は何発分ありますか?」
「50発お付けします。」
「これは1個しか仕入れていませんか?」
「・・・いえ・・・あと2つほど在庫があります・・・」
店員は暗い顔をする。
武雄は不良在庫か・・・と同情する。
「・・・では、その在庫も私が買います。」
「え!!??では、3つで金貨15枚にさせてもらいます。弾丸も仕入れた200発全部付けます。」
と店員は嬉しそうに言う。
「ここからは私が改造依頼をさせてもらいます。
この銃を私用に改造してください。
そして弾丸の補充・装填がいらない銃を作ってください。
一つは店員さんの試作用で使ってください。一つは私への納入用・・・完成品ですね。
可能ですか?」
「・・・キタミザト様の魔法の系統なら・・・可能かと。
ただし、宝石を使うのであまり安くはならないかと・・・」
「・・・ええ・・・でも面白そうでしょう?」
「はい、それはもう!」
「かといって上限なく作られても困りますので、銃の購入費用と合わせて上限は金貨25枚とします。
明日また来ますので、仕様の検討をしましょう。」
「わかりました。」
「この小銃は、もう仕入れない方が良いかもしれませんね。」
「今回は運良くキタミザト様に買っていただけましたが・・・もう仕入れません。」
と店員は苦笑いをする。
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